鎮守府のクリスマス・２０１４年版

桜の髪留めの武蔵 @BB_Y02_Musashi

18 『想像していたクリスマスでなくても良い。』 『為すべき事へ必死に立ち向かうあなた達の姿こそ美しい。』 『あなたのクリスマスを、あなた自身の手で曇らせないで。』 どこかの誰かのクリスマスのため。目の前の彼／彼女達すら主役であることを思い出させるための夜は、始まったばかり。

桜の髪留めの武蔵 @BB_Y02_Musashi

少し切り上げるのが早くなってしまったが、準備が出来次第次を頼んだぞ、霰ちゃん。 @Arare_destroyer

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス バトンをいただきました、霰です。今回は、鎮守府にいる私の大切な人と、一年間戦って得た私の大切な気持ちの事を考えて書きました…急いで書いたのと、文がうまくないので読みにくいとは思いますが、どうか、お付き合いください…。では、始めます。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 01 12月も後半になって、1年の終わりが近づく鎮守府の片隅。師走という言葉通り駆けずり回る司令官を横目に、秘書艦である私、霰は、一年間かけて貯めてきた小銭を数えていた。 「きゅうじゅう、きゅうじゅういち…」

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 02 100円玉を大量に集めた貯金、総ては今日のために集めたものだ。 「おい、霰」 呼ばれた私はハッとして、小銭を元の貯金箱に戻した。この貯金のことがバレたら困るからである。 「は、はい、司令官…」 「明日の出撃予定を話すぞ、来い」 「はい」

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 03 冬至を少し過ぎた時期。午後の早めとはいえ、少々傾いた西日を見ながら、小走りに司令官の元へ駆け寄る。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 04 鎮守府周辺の海域で深海棲艦が出るようになってから、もう2年の月日が経っていた。時期を選ばない襲来に対しこの地域に鎮守府設備が整備されたのは1年半ほど前のこと。私にとって、この鎮守府と共に出来た司令部が最初の着任地だった。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 05 「司令官」 「おう、霰」 この司令官とも1年半の付き合いだ。最初期に着任した私を育て上げ、戦艦などの戦力を差し置いて錬度リミッターを外してくれたのもこの人。父親のような存在、というべきか。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 06 「明日は、新しい深海性艦の巣、キス島に向かう」 「…はい。」 「編成だが、お前とヴェールヌイ、それと…」 司令官の説明では、夜までには鎮守府に戻りたいとのことだった。錬度の上がった私にとっては北方海域は難しい場所ではない。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 07 「…ということだ。」 「…がんばります。」 「頼んだぞ。」 司令官に敬礼すると、司令官も笑顔で敬礼を返す。このやりとりはずっと続けてきたことだが、続けるごとに、私の司令官に対する信頼は大きくなった。司令官を信頼できること。艦娘にとって一番大切なことだ。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 08 「霰」 司令室を後にして、買い出しに行こうと外へ出た私は、またもや呼び止められてしまった。 「龍驤お姉ちゃん」 サンタクロースの格好をした、私の慕う龍驤お姉ちゃんは、袋から何かを取り出すと私に差し出して、 「明日出撃なんやってな、これ持ってってや！」

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

09 「…えと…おまもり？」 手渡されたのは、手作りのお守りであった。 「下手やけどなぁ、ウチが丹精込めて作ったさかい、効き目は抜群やで」 「えへへ、ありがと、お姉ちゃん」 眩しい笑顔に笑顔で返すと、お姉ちゃんは私を撫で、 「喜んでくれてウチも嬉しいわ。頑張ってな？」 「うん」

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 10 龍驤お姉ちゃんは、着任した初期から私のことを気遣ってくれて、実の妹のように扱ってくれた、私にとっては特別な存在だ。難しい海域でも前線で活躍する姿は、私の目標とも言うべきものだった。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 11 「ぜったい、お返ししなきゃ…あ、そうだ」 素敵なプレゼントをもらって心の温まった私は、あることを思い出して、今度こそ買い出しの為に鎮守府を後にした。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 12 「さみいなぁ」 「そうだね、司令官」 深海棲艦の攻勢は年末になろうと止まず、特に激戦地である北方に、秘書艦である私を初めとした高練度駆逐艦隊が出撃している。司令官と無線越しに話す響、改めヴェールヌイは、この司令部でも私と同じ古参の域に達する艦である。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 13 「霰、こっちにおいで」 秘書艦とはいえ、他艦の練度上げも兼ねた出撃のため、旗艦を退いて出撃している私は、隊列を乱さないように隣同士の彼女に近づいた。 「どうしたの、ヴェールヌイちゃん」 「今日は冷えるから、これをあげようとおもってね」

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 14 彼女はは私に近づくと、笑顔で温かいピロシキを渡してくれた。彼女の満面の笑みに、私の顔もほころぶ。 「ありがと…」 私は、彼女と共に強くなったといっても過言ではない。司令部にいて、ずっとお互いを見てきた仲だった。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 15 「それにしても、今夜は折角のクリスマスイブなのにね。ね、司令官？」 彼女がそう言うと、「仕方ないだろ、仕事だし」と困ったような苦笑いの声が無線から聞こえる。 「ふふ、冗談だよ」 いたずらっぽい顔で、彼女は笑った。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 16 「よし、そろそろ休憩だ」 無線から聞こえる司令官の休憩時間を告げる声。束の間の休息の時間に、他の艦娘からも安堵の声が聴こえる。 「あの、…ヴェールヌイちゃん」 一息つけた私は、魔法瓶からココアを飲んでいる彼女に近づいた。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 17 「ん？なんだい？」 「あの…これ…」 私が渡したのは、彼女の白い服に似合う懐中時計だった。 「くれるのかい？」 「…うん」

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 18 「プレゼントだね、ありがとう。今すぐに返せはしないけど、必ず返すよ」 「えへへ、良かった…」 「懐中時計を出して見る私…どうかな？」 「うん、かっこいい」 「なんか、照れるな」 嬉しそうな顔でそれを眺める彼女を見て、ホッとしたその時。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 19 「電探に感あり！」 耳をつんざくような大声が、見張り部隊の方向から聞こえた。 「三時の方向約5000mに敵、戦艦2と護衛駆逐艦4の船影あり！」 「こんな時に…」 休憩で気を抜いていた艦娘達は、俄かに訪れた襲撃に騒がしくなった。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 20 「迎え撃つしかないな」 司令官の緊迫した声とノイズが、無線から聞こえる。 「行くよ、霰」 「…うん」 練度の高い私とヴェールヌイが先導するしかない。戦闘準備もそこそこに、私たちは敵の方向へと向かった。

駆逐艦霰 改二 @Arare_destroyer

#鎮守府のクリスマス 21 敵は偵察が見た以上に堅く、手強い勢力だった。 「くっ…全然効かない…！」 ズドーン！ 周り中に的の砲撃の水柱が上がり、段々と防戦一方に偏り始めた。皆恐怖に慄き、戦う意志を削がれて行く。 一隻、また一隻、戦線を離脱し、後方へ下がり始めた。