テツヤスレイヤー~モスト・コールド・ミソカ・コミケ・ナイト
男が再び目を覚ましたのは、自室のベッドの上だった。「おいおい……いったいどうなってんだ……俺は確かアリアケ・サカサピラミッドに……」そこまで思い出して、男の意識はZBRを決めたかのように覚醒した。「そうだ、コミ・マーケット!ブッダ!アイツのためにウスイ・ホンを!」 21
2014-12-28 00:17:42男はすぐに家を飛び出しアリアケを目指した。時刻は5時。サラリマンたちが続々とシハツ・トレインに集まる時間である。『オツカレサマドス……』「わかってるよ!ブッダ!」電子マイコ音声が言い切る前にトークンを投入!『オツカレサマドスエ。お釣りは……』「ブッダシット!」 22
2014-12-28 00:19:20お釣りも受け取らずに男はシハツ・トレインに乗った。車内はサラリマンとコミ・マーケットへ行くギーグで普段の3倍の混雑だ。(バカ!バカ!なんたるウカツ!これでウスイ・ホンが買えなかったら俺はアイツに顔向けできねえ!)男は自らの愚かさを呪っていた。 23
2014-12-28 00:19:39イヨォー、ポンポンポポン『次はコクサイ・テンジジョドスエ』車内に電子タイコと電子マイコ音声が響く。ガコン!重々しい音を響かせて武装防弾メトロトレインの扉が開く。「ウオオー!」「ザッケンナコラー!」「スッゾオラー!」ギーグがヤクザスラングを吐きながら下車!コワイ! 24
2014-12-28 00:19:54「走ると実際アブナイです!徒歩重点!徒歩重点!牛舎めいてゆっくり!」メトロ職員の声が響くが、暴走したギーグは無視!「ルール違反はムラハチです!ダメ!」すかさずコミ・マーケットの運営がやってきて暴走ギーグを連行!「アイエエエ!?ヤメロー!ヤメロー!」「ムラハチです!」 25
2014-12-28 00:20:18(クソ!急いでるのに!)男の気持ちがはやるが、ここでムラハチにされてしまえばウスイ・ホンは買えない。蜘蛛の糸を切らすわけにはいかないのだ。男は周りの速度に合わせて最大限急ぎながら歩いた。「フィーヒヒヒ!」「フィヒッ!」「グッズ重点!」徐々にギーグが増える。 26
2014-12-28 00:20:41「ここで列を作って待機重点!ようこそドリームランド!コミ・マーケットはあなたを歓迎します!」運営の男が声を張り上げる。奥ゆかしく整列したギーグ達がコミ・マーケットの開場を待つ。(……ワッザ?これはいったいどういうことだ?)男はここで奇妙な点に気づいた。 27
2014-12-28 00:21:01「あの、ちょっといいですか」「アッハイ。なんでもどうぞ」男は運営の男を呼び止めて質問した。「あの、待機列が実際非常に空いてるのですが。その……テツヤグミは?」運営は快活に答えた。「テツヤグミなんていない!いいですね?」「エッ?」「コミにはテツヤグミなんて存在しない!」 28
2014-12-28 00:21:27「あの、でも実際テツヤグミは……」運営はなおも食い下がる男に眉をひそめた後、声を落として言った。「本当のところ、私たちにもわからないのです」「わからない?」「はい。昨夜彼らは確かにいました。ノルマンディめいてひしめいていました……だけど消えてしまった」 29
2014-12-28 00:21:53「消えた?」「はい。跡形もなく」運営は答えた。「実のところ……ニンジャの仕業だなんて騒いでるやつもいましてね」「ニンジャ?」「ええ、ニンジャです」運営が笑った。「ニンジャがニンポを使ったから消えた。俺は詳しいんだ。なんて言い出してね。いいからZBRを抜けって叱りましたよ」 30
2014-12-28 00:24:09男は運営の話を聞きながら今朝の夢を思い出していた。(彼は……あの男は最後に名乗っていた……テツヤスレイヤーと……そして、あの姿はまさしく……)男は身震いした。「まぁ、ヨロシサンあたりがモニターとして連れていったとかそんな感じだと思いますけど……大丈夫ですか?」「アッハイ」 31
2014-12-28 00:26:39「本当に大丈夫ですか?コミ・マーケットでは死なないでください!死ぬなら家に帰ってから!ベッドの上で!」運営はお決まりのコミ・マーケットジョークを飛ばした。男は力なく笑った。運営は彼が満足したものと勘違いしてその場を立ち去った。後には、困惑した男だけが残されていた。 32
2014-12-28 00:29:44男は考えていた。テツヤスレイヤーのことを。彼、もしくは彼女だったかもしれないが、あれは間違いなくニンジャだった。彼は男の願いを叶えると言った。あの時、自分はなんと答えたか。(そう、テツヤだ。テツヤをせずにウスイ・ホンが買えるならと、確かにそう言ったんだ) 33
2014-12-28 00:32:21その結果は?……テツヤグミは確かにいなくなっていた。テツヤグミがいなくなれば……決まっている。テツヤせずともウスイ・ホンが買える。コミ・マーケットの決まりを守り、皆が幸せになれる。テツヤスレイヤーと名乗ったあのニンジャは、確かに男の望みをかなえてくれたのだろう 34
2014-12-28 00:35:24(だけど……テツヤグミは……)男は考えた。あの後、自分が気絶したあとにテツヤグミに訪れたであろう惨劇の数々を。あの場にいたテツヤグミの末路を。そして、下手をすれば自分もそのスナッフィルムのキャストになっていたかもしれないことを。(……ブッダが救ってくれたんだ)そう納得した。 35
2014-12-28 00:39:05ブッダが垂らした蜘蛛の糸は、確かに男を救った。しかし、おごれば糸は切れ、再びジゴクへ落ちるだろう。今はただ、あのブッダニンジャの施しに感謝し、ウスイ・ホンを手に入れることだけに集中する。「実際お待たせいたしました!コミ・マーケット開幕です!」パチパチと拍手が広がっていく。 36
2014-12-28 00:42:53(そうだ、弟に頼まれたウスイ・ホン。あれをなんとしても手に入れなくては)男はニンジャのことなど忘れて歩き出していた。目当てのカベ・サーしか目に入っていなかった。「……オタッシャデー」その背中を見守る運営の男が、赤黒の腕章をつけていることには、ついぞ気づくことはなかった。 37
2014-12-28 00:46:35◆あとがきな◆忍殺風徹夜注意喚起ツイートオーは楽しんでいただけただろうか?楽しんでいただけたのであればとても嬉しい。また、このツイートオーは実際のコミケとは無関係であるが、徹夜が禁止されていることはどちらも同じだ。ルールを守る奥ゆかしさを忘れてはいけないのだ◆つかれた◆
2014-12-28 00:50:02◆カツ丼◆もし、このツイートオーを見ている徹夜組の方々がいるならば、どうか思い直して素直に家に帰っていただきたい。この寒空で待つのも苦痛だろうし、なにより最近は徹夜と始発組にはほとんど差がないのだ。せっかくならばフートンで休んで始発できたほうが、体力の面でも安心だ◆おっかさん◆
2014-12-28 00:52:45◆最後に◆いちオタク、そして忍殺ファンとして、少しでもコミックマーケットの存続が守られて、皆が幸せなオタクライフを過ごせることを祈っている。コミケ参加のみなさま。カラダニキオツケテネ!◆居残り◆
2014-12-28 00:54:37