独断と偏見に基づくTVアニメ『Gのレコンギスタ』1クール目の総括・インプレッション(っぽいもの)まとめ
承前)ミックやマッシュナーら“女性”側の陣営が、戦争発展へと誘導させる陰謀の構造-機能を(彼女らが加担しなかった場合のそれよりも)強化してしまう危うさを秘めているとするなら、そうした“変節”に対抗する為には別方向からの“変節”でもって応じるしかない。“少女”たちのレコンギスタで。
2014-12-29 08:34:29承前)つまり(筆者よりも先に10万人位が既に同じ発想をしてそうだが)本作『Gのレコンギスタ』の「G」とは実質的にGirl<少女>の事であり、2クール目からの展開は“少女”側のキャラクター達が起こすアクションによって状況が大きく移り変わり、物語としての大意も其処に集約されるのでは?
2014-12-29 08:35:22マニィ・アンバサダ と ルイン・リー
ただし前掲した“少女”側のうちアイーダとノレドに関しては、これまで何度か主人公のベルリに対して戦意を発揚させる様な煽てをしている事もあり、戦争回避への“変節”の契機をもたらす可能性は五分五分に思える。そこで注目したいのが(あからさまに鍵キャラなラライヤはさておき)マニィの存在。
2014-12-29 08:35:57筆者はマニィ・アンバサダを、本作Gレコの「裏主人公」と見做して期待を掛けているのだが、ここでちょっと批判めいた書き方をすると、毀誉褒貶あるであろう本作に対して筆者が現時点で感じているほぼ唯一の「作劇に関する問題点」を挙げるなら、それは彼女(及びルイン)のキャラの立て方について。
2014-12-29 08:36:49承前)本作でマニィという人物が今後どういう役割を担い、どんな結末が用意されているかは神のみぞ…もとい富野みぞ知る所だが、いずれにせよ彼女が入隊を決意する(断髪)までの過程、ルインとの悲恋(と同時に死亡フラグ)を匂わせる関係の推移についてはもう少し密に描写するべきではなかったか。
2014-12-29 08:37:35承前)勿論ここ最近の数話において漸くマニィの行動や心情にスポットが当たりつつあるので然程の心配はしていないが、それでも二人の関係変化にまつわる「初動」の機微の描写がすっ飛ばし気味になっている点は、今後の展開次第では(主に視聴者の感情移入の観点からして)痛手になりかねないのでは。
2014-12-29 08:38:27マニィの立場の重要さとは、クンタラの名誉の為に出世を目指していた所を(クンパの陰謀やバララの手引きによって)純粋な戦闘員として変節させられていくルイン…の面影が薄れゆくマスクの有り様を、性愛的に(“女性”側のそれより)未熟なガールフレンドの立場から目の当たりにしている点にある。
2014-12-29 08:39:38そんなマスクを憂いつつも、彼を支援する(あわよくば彼の変節を食い止め、バララにも渡さない!)ため彼女はMS操縦士になる決意をしてしまうが、そうしたメカニズムの悲哀を客観視する契機を持った分、戦争反対!と言いつつ素朴な見地からベルリを焚きつけがちなノレドとは異なる動きを期待できる。
2014-12-29 08:40:37承前)無論そのノレドにしてもラライヤという重要人物の保護者であり彼女の変化を最も近くで見守ってきた者として、そしてラライヤの記憶回復により主人公・ベルリのガールフレンドとしての立場から今後どう振る舞っていくべきかの節目にあり、ゲル法皇と繋がりがある点も含めて動向が注目される。
2014-12-29 08:41:37ベルリ・ゼナムという少年
…ここまで書くと肝心の主人公・ベルリが空気に思われるかもしれないが、個人的には彼の操縦士としての優秀さとは裏腹な年齢なりの浅薄さやアイーダの恋心に浮かされノレドに煽てられGセルフに乗り続ける事で戦争の渦中に呑み込まれていく事への認識の甘さには却ってリアルな少年の身体を感じられる。
2014-12-29 08:43:21敬虔なスコード教信者を“自認”するベルリの無鉄砲な酷薄さや隠れサイコパス予備群っぽい性格は、上官のデレンセン殺し(を余り引き摺ってない様に見える件)にしてもそうだが確かに作劇・倫理的に評価の分れる所だろう。しかし所詮上官は上官でしかなく、どんなに悔いても誤ちは過去でしかない。(続
2014-12-29 08:44:39尊敬する思い人であったカーヒルを眼前で殺されてしまい、その悲しみになかなか踏ん切りを付けられないままその相手であった少年と向き合い、共に(「Gセルフを動かせる」という重大な繋がりもあって)旅をしなくてはならないアイーダの辛さに比べれば、ベルリの上官殺しの悔恨はまだ幾らかヌルい。
2014-12-29 08:53:10とはいえ殺人は殺人だしデレンセンやカーヒルには(戦闘をする以上不可避なリスクではあるが)気の毒なのだが、彼ら2人を殺しても尚、その手を下した“少年”が抱える葛藤や苦しみは“少女”が抱くそれよりもヌルくならざるを得ないのである。これはもはや“少年”に背負わされる宿命と言ってもいい。
2014-12-29 09:01:00結局の所、ロボットアニメという伝統・記号の集積(それもガンダムという大家)に少年の成長物語を仮託させるいつものやり口に「今の時代の空気を反映させる」、そうした目論見を高次に結実させることは至難の業であり、ベルリの人格設定はそうした困難さを逆手に取るという点では巧い造型だと思う。
2014-12-29 09:01:52たぶん「Gレコ」は「Gレコ」でしかないと思うんですけど
ある種の空疎さ、記号的な前提の崩壊をキャラクターの内外に自覚・反映させた上で、では自己の周辺たる「他者」への認識・関係をどういう角度から洗い直し、捉え直す事が出来るのか? ベルリの造型のみならずGレコの作劇スタイル自体がそうした文脈のズラし・再構築を企図した物である様に思われる。
2014-12-29 09:03:00Gレコは「ガンダムとして」「富野アニメとして」のイメージや理想を元手に過分な期待をかけてはいけないタイプの作品で、そういう態度で画面に向き合うと損する確率が高いのではないかという予感が始めからあった筆者はその手の色眼鏡を取り除くよう努めた結果、現状とても純粋な気分で楽しめている。
2014-12-29 09:04:05とりあえずまとめ
「男性(的構造)を支配・操る女」とそれを「待つ(間接的に加担する)女」…という世界の基盤にヒビを入れるのは誰か?という問いが恐らくはGレコ中盤~終盤にかけての重要テーマであり、それを解決するヒントが新OP曲の題名である「“ふたり”の魔法」が暗示する行動に託されているのではないか。
2014-12-29 09:06:37…以上で『Gのレコンギスタ』1クール目の総括・インプレッション、ひと纏りの文章としては一旦終わり。(読む人なんて殆どいないだろうと思いつつ)大した事ない話を畏まった文調で無駄に長く書くという(これでも省略した方ですが…)駄目なパターンを地で行く拙文によるTL汚し失礼致しました;
2014-12-29 09:08:52他にも書きたい事が幾つかあって、例えば巷で指摘されるGレコの「わかりにくさ」問題への所感とか(そっちの方が需要ありそう;)。因みに冒頭で書いた通り筆者は他の方の考察や監督インタビュー等々を極力読まずに本文を書いたので、細かい事実認識の確度が甘い部分があるかもしれない点はご容赦を↓
2014-12-29 09:10:11