第61回獣医師国家試験直前講座「トキソプラズマ編」

ずいぶん昔のことですから、リンク切れなどもあるでしょう。 #vetkokushi 等から拾える範囲でぼちぼちまとめます。 新たな知見による訂正・補足等歓迎です。 リストの追加やコメント欄でご指摘ください。
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Stray @K9FCR

獣医師国家試験を受験する学生諸君。諸君全員の合格をここに祈願する!国試合格がゴールではなく、スタートラインなのだ!獣医師はヒトを含めて、地球上の全ての生きとし生けるものの生命を慈しみ、respectし、守るのが仕事なのだ。生涯、勉強!その覚悟はしておけよ! #vetkokushi

2010-02-26 00:43:02
Stray @K9FCR

来週の国試が終わってからでいいから、手塚治虫の「BLACK JACK」全17巻(秋田文庫)と大和和紀「生徒諸君!」と上橋菜穂子「獣の奏者」(講談社、全四巻)を一気に読みなさい!これからの人生に大事なことは、全てそこに記載されている。騙されたと思って読了することをお勧めする!

2010-02-26 00:59:42
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【疫学】極めて多種類の哺乳類、鳥類に感染している。感染率は高温多湿の地域で高い傾向がある。これは排出されたオーシストの発育・成熟に関係する。ネコがトキソプラズマの固有宿主であるが、ネズミなどの齧歯類が高い感受性をもち、ブタ、ヒトがこれに次ぐ。 #vetkokushi

2010-02-26 01:09:22
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【病原体1】Toxoplasma gondii は原虫の1種であり、固有宿主であるネコ科動物の腸管細胞内において有性生殖する。感染したネコは抵抗性のあるオーシストを排泄して環境を汚染する。 #vetkokushi

2010-02-26 01:13:43
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【病原体2】オーシストは排出されたときには未成熟で感染性はないが、10℃以上で数日で成熟する。温暖湿潤な土壌中で1年以上、寒冷環境下ではさらに長期に生存する。 #vetkokushi

2010-02-26 01:16:10
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【病原体3】非固有宿主であるヒトや、ネコ科以外の動物が成熟オーシストを経口摂取すると、オーシストは消化管内で脱嚢し、スポロゾイト(感染性原虫)を遊離する。腸管上皮内以外の組織内に侵入し増殖型となる。 #vetkokushi

2010-02-26 01:19:12
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【病原体4】無性生殖によって分裂増殖した虫体はリンパ流、血流を介して全身臓器に散布される(虫血症)。各臓器に達した増殖型虫体はさらに増殖するが、宿主に免疫が獲得されるに従い、虫血症は消失、主に中枢神経、筋肉内に生存した虫体はシストを形成する。 #vetkokushi

2010-02-26 01:23:27
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【病原体5】シストを含んだ肉や内臓を未感染の動物が食べると、シストは消化管内で脱嚢し、多数の原虫(シスト型原虫)を遊離する。これは細胞内に侵入して栄養型となり、無性生殖によって増殖をくり返す。 #vetkokushi

2010-02-26 01:25:42
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【感染経路1】先天性感染:経胎盤感染。母親が妊娠中に感染したり、不顕性感染している母親で妊娠ストレスにより原虫が再活性化して、流産や早産あるいは胎仔への感染を引き起こす。また、産道・初乳などを通じて新生児へ感染することもある(増殖型の関与)。 #vetkokushi

2010-02-26 01:31:15
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【感染経路2】後天性感染:シストやオーシストの関与する感染様式であり、ネコ、ネズミ、ブタ、イヌ、トリなどが主な感染源となる。シストを保有する食肉を十分加熱しない状態で食したり、汚染された手指、食品・食器を介して経口的に感染する。 #vetkokushi

2010-02-26 01:35:55
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【感染経路3】他に糞便が乾燥して空中に散布されたオーシストによる経気道感染が認められる。その他に創傷部を介して経皮感染することもある。 #vetkokushi

2010-02-26 01:37:19
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ヒト症状】不顕性感染をしている場合が多く、各種のストレスなどは発症の要因となるが、大部分は後天性トキソプラズマ症で、無症状のまま不顕性感染として推移し、発病するものは非常にまれである。 #vetkokushi

2010-02-26 01:42:21
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ヒト先天性】母体内において胎児がトキソプラズマに感染した場合、症状は脳髄膜炎型が多く、網脈絡膜炎、脳水腫、脳石灰化、精神運動障害の4大症状を呈する。胎児脳内シストにより石灰化をきたし、脳脊髄液の循環が妨げられて水頭症の新生児が生まれる。 #vetkokushi

2010-02-26 01:46:03
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ヒト後天性】発熱、発疹の全身感染型。黄疸、胃腸炎、肝臓肥大、脳炎、髄膜炎を起こす内臓炎型。頚部・鎖骨上部などのリンパ節の長期腫脹を伴うリンパ腺炎型。網膜黄斑部に病変を起こす網膜脈絡膜炎型(限局性滲出性炎〜境界明瞭な瘢痕病巣)がある。 #vetkokushi

2010-02-26 01:52:31
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【動物症状1】特徴的な症状に欠け、大部分は不顕性感染で慢性に経過するが、若齢動物の場合は急性症状を呈する。高熱、咳、呼吸困難、肢端・耳端のチアノーゼ、下痢・眼粘膜の充血、体表の発赤などにより衰弱する。てんかん様発作などの神経症状もみられる。 #vetkokushi

2010-02-26 01:57:27
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【動物症状2】ブタに感染マウスを餌食させると4〜5日間の潜伏期で発症し、1週間前後の経過で死亡あるいは急性症状が消失する。妊娠している場合は子宮内感染による流・死産あるいは先天性感染胎仔を娩出して短期日で死亡、失明あるいは後躯運動失調を示す。 #vetkokushi

2010-02-26 02:00:39
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ネコ症状1】発熱、呼吸困難を伴う間質性肺炎や肝炎の症状を起こすネコはまれで無症状でオーシストを排出する。抗体をもつネコが感染性オーシストを食べても再感染は起こらないが免疫抑制状態やストレス状態になるとシスト内原虫が増殖型に変わり再燃する。 #vetkokushi

2010-02-26 02:05:41
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ヒト診断法】本疾患は特異的な症状を示さないので、診断には血清科学液検査法で色素試験、補体結合反応、間接免疫蛍光法、間接赤血球凝集反応などがある。 #vetkokushi

2010-02-26 02:11:01
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【動物診断法】血清学的検査法の他、病理組織学的検査法は急性経過で死亡したブタで肺、リンパ節、腸粘膜および肝臓などのスタンプ標本あるいは切片標本から増殖型の原虫を検出する。種々の動物の唾液、涙液、気管分泌物、尿および糞、乳汁中から検出される。 #vetkokushi

2010-02-26 03:08:23
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ネコ診断法1】他の動物と比べ、原虫に対する抗体価の上昇が遅い。若齢のネコでは抗体価上昇の前に発病したり、極めて低い値のまま死亡することがある。IgMとIgGを区別して測定する。間接赤血球凝集反応や補体結合反応では感染後14日以降に出現する。 #vetkokushi

2010-02-26 03:13:20
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ネコ診断法2】病理組織学的検査法は肺、リンパ節、腸粘膜および肝臓などのスタンプ標本あるいは切片標本から増殖型の原虫を検出する。慢性経過例では脳および筋肉からシストを検出する。病原学的検査法では腸上皮感染からのオーシストを検出する。 #vetkokushi

2010-02-26 03:15:59
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ヒト治療法1】感染妊婦の場合、妊娠前から血清反応が陽性ならば投薬しない。妊娠中に感染した場合5ヶ月以降であればピリメサミン(催奇形性により妊娠初期は不可。4ヶ月以前ならばアセチルスピラマイシン)と活性型葉酸製剤の併用にサルファ剤を加える。 #vetkokushi

2010-02-26 03:21:00
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ヒト治療法2】顕性の先天性トキソプラズマ症新生児や後天性患者ではサルファ剤とピリメサミン、活性型葉酸製剤を併用する。不顕性の先天性トキソプラズマ症にはアセチルスピラマイシンを抗体価の推移に注意しながら投与する。 #vetkokushi

2010-02-26 03:23:26
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【動物治療法】ほとんどが不顕性感染のため治療対象にはならない。急性症状を発症した場合にのみ、ピリメサミンと活性型葉酸製剤を併用する。なおイヌの場合にはクリンダマイシンが初期治療薬として用いられる。 #vetkokushi

2010-02-26 03:25:29
Stray @K9FCR

トキソプラズマ【ネコ治療法】成長したネコは感染しても無症状のまま終わるため治療対象にならない。仔ネコでは対症療法に反応しない急性症状が現れた場合、クリンダマイシンの経口または筋肉内投与が第一選択である。第2選択はスルファメラジンとピリメサミンの併用。 #vetkokushi

2010-02-26 03:28:20