「3.1人称」という文章の長所・短所

赤月カケヤ先生(@kakeya_rapid)のツイートをまとめました。
46
赤月カケヤ @kakeya_rapid

「魂が震える感動を」を合言葉に、人の心を動かす作品を書きたい。 「異世界はジョーカーに微笑んだ」「それでも、好きだと言えない」「俺が生きる意味」「最強秘匿の英雄」「キミとは致命的なズレがある」等 青空https://t.co/IrfLpoCSJr

https://t.co/hj0YYePVKh


赤月カケヤ @kakeya_rapid

小説を書く際は、いろいろと悩むことがある。設定、キャラ、構成、文体。ここでいう「悩む」は、たぶんに「楽しい」という気持ちを含んだモノだ。 さて、というわけで僕は今、文体について大いに悩んでいる。

2015-01-08 12:26:20
赤月カケヤ @kakeya_rapid

あまり詳しくない人は、「1人称」とか「3人称」しかわからないだろうが、小説にはほかにもたくさんの演出方法がある。 僕の小説を読んだことがある人はピンとくるだろうが、僕の今までの文体は「自由直接話法」または「自由間接話法」を主とした、いわゆる「3.1人称」と呼ばれるモノである。

2015-01-08 12:32:43
赤月カケヤ @kakeya_rapid

3.1人称はサスペンスやホラー、緊張感のある作風と非常に相性がよく、シャープでクレバーな印象を演出する。また主視点を定めるため、入り込み易く、濃厚な世界観を演出するのにも向いていて、僕は非常に小説向きの文体だと思っている。

2015-01-08 12:37:12
赤月カケヤ @kakeya_rapid

さらには、キャラの心情を字の文に書けるため、ラノベのようなキャラ小説とも相性がいい。主語抜きなどの技術も容易に使え、読むごとに小説に没頭できるという効果も持つ。

2015-01-08 12:38:35
赤月カケヤ @kakeya_rapid

けれどもこの3.1人称は、ラノベの世界ではマイナーらしい。最近、それを知ってびっくりした。僕の好きな作家さんはよく使っていたが、それは一般の作家さんで、確かにラノベ界隈ではあまりみかけない。 また一般小説でも、ラノベ界隈に人気の高い作品は「1人称系」が多いみたいだ。

2015-01-08 12:40:55
赤月カケヤ @kakeya_rapid

なので、ラノベ界隈の人から、「3人称なのに字の文に感情が入るとか変」と言われ、やきもきしたことがある。その度に自由直接話法の話をするのだが、果たして伝わっているかどうか。 そもそも3人称「系」ではなく、3人称と言ってる時点で、もやっとする。

2015-01-08 12:44:01
赤月カケヤ @kakeya_rapid

ラノベでよく使われる3人称系は、いわゆる3.0人称というやつだ。小説の書き方などで、「主視点を定めて書くべき」という意見を目にしたことがあるが、それは3.1人称の考え。3.0人称では主視点を定める必要はない。 またキャラの心情を書けないため、「()書き」で内面を描写する。

2015-01-08 12:46:42
赤月カケヤ @kakeya_rapid

その意味では、漫画的なビジュアルで浮かんだ情景をそのまま文にしてよい、というメリットがある。また構造がシンプルなため、非常に全体像を理解しやすい。 ただ僕は3.1人称が好きなので、3.0人称の文章は引っかかる。途中で主語が変わっている事に気づかず、読み直すことが多いからだ。

2015-01-08 12:49:46
赤月カケヤ @kakeya_rapid

ただ、売れている作家の中にも、上記二つが半々くらいで入っているのがあって、僕を混乱させるモノがある。文体は自由であり、頭の固い人間に「なんじゃこら」と批判されるのは、ある意味クリエーターにとって褒め言葉ではあるけど、演出の方向性がよく見えない。

2015-01-08 12:54:13
赤月カケヤ @kakeya_rapid

誤解しないでほしい。批判はしていない。無論、それは「アリ」だ。感性と感性をぶつけあって、新しいモノを作り出してこそ、創造の意味はある、と僕は考える。 かく言う僕も、たまに3.0人称の文体を混ぜたりするし、「()書き」を使用することもある。

2015-01-08 12:56:54
赤月カケヤ @kakeya_rapid

ただし、「()書き」を使用する場合は、内面の描写というよりも、「音にならない声」という演出で使っている。やはり、思考と声では演出できるモノが全然違う。 まあ、僕のほうがマイナーという理由で指摘が来るのはモヤッとするけど、「文体は自由である」という点に関しては大いに同意する。

2015-01-08 12:58:59
赤月カケヤ @kakeya_rapid

さて、3.1人称にもデメリットはある。それは繊細な心情を書き表すのには不向きという点だ。感情移入をさせたいキャラ小説などでは、圧倒的に「1人称系」に分がある。ラノベで1人称系が多いのは、そのためだろう。 特に「青春」や「恋愛」に関しては絶大な演出力を持つ。

2015-01-08 13:01:33
赤月カケヤ @kakeya_rapid

またシンプルな話を複雑に見せる効果もあり、ミステリなどでは逆のその手法で複雑に見えるよう演出することもある。 無論、一般的には複雑に見える作品はデメリットのほうが大きいので、全体の構成を見回して、複雑な場合は3人称系、単純な場合は1人称系という戦略もとれる。

2015-01-08 13:04:01
赤月カケヤ @kakeya_rapid

また群像劇を書く場合は、特にラノベの場合は、三人称系が良いだろう。1人称系だと、誰の視点なのか判明するまでに時間がかかり、想定外の戸惑いしか与えない。

2015-01-08 13:07:10
赤月カケヤ @kakeya_rapid

1人称系もいくつかあるが、基本的にはキャラの思考や性格に文体が影響を受けるという制約がある。有り体に言えば、キャラの知らないことは書いてはいけないということだ。慣れていないと、この点で苦戦するだろう。

2015-01-08 13:10:43
赤月カケヤ @kakeya_rapid

特に厳密な1.0人称小説では、キャラの知らない単語(ボキャブラリー)は使ってはならない、逆に専門性の高いキャラのなら、専門用語尽くしにしなければならない、というルールがある。まず最近のラノベでは受け入れがたく、「主人公を高校生にしてください」と注意を受ける案系になるだろう。

2015-01-08 13:13:43
赤月カケヤ @kakeya_rapid

1.0人称のメリット・デメリットについては『アルジャーノンに花束を』を読めば、一発で理解できる。 また同じ1人称系でも、回想手法を用いた作品は、大人が書く文章という設定上、単語の幅が広がり、「そのときはそんな悲惨な未来が待ち受けているとは思わなかった」的な演出も可能となる。

2015-01-08 13:17:49
赤月カケヤ @kakeya_rapid

こんなそんなで、文体にはそれぞれメリット・デメリットがあるので、自分が今から書こうとする作品をどう演出したいのかを、延々と悩んでいる。 さすがに今度も3.1人称じゃ、これしか書けないと思われちゃうよな…。

2015-01-08 13:22:47