葉推詩選:2014-2015年、冬。

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葉月野 @hadukino_tc

これから先 お前を傷つけるものはお前自身だよ 間延びする影が告げる コートも無くて寒さに凍えた体 涙も切れて冬の埃っぽい風に傷める瞳 何も考えまいと閉ざした心 雨上がりの夕焼けが 失くしたものを補って赤く染め上げている 欲しいものは、手に入らない 「くれない」 #twpoem

2014-12-01 20:46:56
葉月野 @hadukino_tc

今はもう一人でもなく二人でもなく三人で歩く夕暮れ #tanka #10秒で書く詩 #10秒で書く写真詩 pic.twitter.com/fENPxMBrW7

2014-12-02 18:41:53
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葉月野 @hadukino_tc

寒空にしがみついてる手のひらのかじかむ色があきらめてない #tanka @junju_usako

2014-12-02 19:00:09
葉月野 @hadukino_tc

ころんだ痛みは 自分で受け止めるしかない 耐えられるようになるか 用心するようになるか そうして学んで 成長しても つまづくたび新しい痛覚 散らばる光 疾る電流 鮮明な色彩 名前を付けて 形にして 何度も迷いながら 迎える明日 #twpoem

2014-12-31 23:44:34
葉月野 @hadukino_tc

住宅街を抜けて初詣に出向いた 昼前に曇ってしまった空に 縁起でもないと思いつつ 『一年の抱負』 poetry.hadukino.littlestar.jp/?eid=60 #poem

2015-01-01 21:53:23
葉月野 @hadukino_tc

岬に突き立つフラッグポールが潮風になびく旗を支え続けている。力を貸そうと手を伸ばすが錆びついた表面が拒絶する。はためきに紛れた叫びは水平線に届かない。漕ぎ出す舟はずいぶんと古くて価値を測りかねている。波に押し戻されない辺りまでを最初の目標にする。次はさらに遠くへ。 #twpoem

2015-01-08 22:02:23
葉月野 @hadukino_tc

光る波翳る波間に追う月を見失いまた明日へと帰る #tanka pic.twitter.com/a4YzlRcUqU

2015-01-10 09:58:44
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葉月野 @hadukino_tc

夜が置いて行くものが朝食のテーブルにあるのなら口にしなければすむ。胸の中にあるのならせめて考えないようにする。起きる時に響く軋みが外から来るものだと言い聞かせ、変わらない始まりの暗示をかける。今日を上手く乗り切る小さな知恵でまた眠れない夜が置いて行くものがある。 #twpoem

2015-01-11 02:48:34
葉月野 @hadukino_tc

どこかで機械が唸る音。暗い部屋の壁を敏感肌に変える。誰か、いるのか、確かめる振動。聞き手が耳を塞ぐ。感覚がはぎ取られていく。埋め合わせに瞼の裏がぶつ切りの記憶を映し出す。より分けたはずが混濁しているのが悲しい。最後に残るはっきりしたもの。運命を暗示するカード、か #twpoem

2015-01-11 17:26:49
葉月野 @hadukino_tc

好きなフレーズを何度もまぶす やがて飽きる 火照った顔は 何を隠しきれていないのかな かわらずおいしいものを ずっと作り続けること たゆまない創意工夫と変わらないのに ひとはぜいたくだ 熱が下がればまた忘れる 日常の繰り返しが生む 安心という努力を #twpoem

2015-01-11 18:00:44
葉月野 @hadukino_tc

目が眩み焦がれるほどの望みには心離さぬ怖さが潜む #tanka pic.twitter.com/p4yPcsrtDD

2015-01-11 22:17:49
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葉月野 @hadukino_tc

一日足りない感覚で 少しずつずれて行っても ぐるり廻ればまた重なると言い訳 返ってくるのは隙間風みたいな約束 抜け出せず迷ってばかりの選択 薄明光線が伸び指す先を見定めて 掠れた声を乗せた #twpoem

2015-01-12 09:06:26
葉月野 @hadukino_tc

夕暮れにくすむ金色水色のあわいに焦がれ星下る山 #tanka pic.twitter.com/HvGPPaHm5w

2015-01-12 20:15:52
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葉月野 @hadukino_tc

寄り添う星の出会い方も様々なら、舞台の色合いもいつも同じ黒でもない。毎日会う人にも小さな気づきがあれば、少しは長持ちするのかもと思う。お茶。今日はぬるい。夕暮れでも街明かりで顔が隠れない。慎ましさをマスクにして別れの挨拶。かすかな息苦しさが安心の境目を示す #twpoem

2015-01-12 21:03:28
葉月野 @hadukino_tc

細やかな幸せは波にも似て 緩やかな縁は風に漂っている つないだ手の中の誤解 温もりが不安をとかすように さりげなく届いた便りには 日時の指定と「西の空を」 一番星に寄り添う星が 次に言うべきことを示していた 糸を手繰り寄せる所作にも似て あわい想いは夜に紛れている #twpoem

2015-01-17 19:49:46
葉月野 @hadukino_tc

油性ペンの先が三日前の情報を塗り潰して無情な時刻を指している。ドアの向こうは完全に音もなくどうしたものか迷う。無意味な明滅を目の端に偏愛するページが行ったり来たり。暖かい色をした室内灯は冷え切った部屋を強調する。足りないものが起き出してきたら多分、泣く。 #twpoem

2015-01-17 23:12:25
葉月野 @hadukino_tc

天に星が昇る 天に星が輝く 天に星が満ちる 天に星が溢れる 天に星が撒かれる 天に星が散らばる 天に星が広がる 天に星が流れる 天に星が瞬く 天に星が沈む ただ一言 天に星 #twpoem

2015-01-24 00:03:06
葉月野 @hadukino_tc

夜に咲く白梅の香に誘われて花に紛れる月の光よ #tanka #10秒で書く写真詩 pic.twitter.com/KVZA7hdzNR

2015-01-29 22:33:31
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葉月野 @hadukino_tc

真っ赤なコートに満面の笑みをたたえた女子が乗車口に駆け込むのを夜の窓から眺めていた。大きな幸福をつかんだのか小さな幸運に喜んだのかは分からない。電車が動き始めると感情はかき混ぜられて無表情が一つ増えた。帰りの車内はいつも安らぎを求める色に染まっている #twpoem

2015-02-24 19:45:04