「信号は赤になった」から始まる140字小説はどうですか？ #信号は赤になったで始まるSS

たま(おはぎ) @ohagi_0083

信号は赤になった。待っている間に今吉は赤から青になった。「毎度毎度…飲みすぎだぞ」「宮地クンが家まで送ってくれるからヘッチャラや」ふにゃりと笑う、この顔に弱い。この顔を見たくて世話を焼いている気がする。ああムカつく。「パイナップル投げる！」 「ほな打ち返す！」ああ、またあの顔。

えぐりん @tonde_egurin

信号は赤になった。小気味よいテンポで交わす会話が途切れ静寂が車内を包む。助手席を見やると右手の指先がそわそわと一人遊びしていて、俺は浅いため息を落とし左手をそっと重ねた。「岩ちゃんわざと信号に捕まってるでしょ」と喜ぶ及川を無視してアクセルを踏み込む。さっきまでお前不機嫌だったろ。

のみむし @nomimushi_ttk

信号は赤になった。目の前に連なる白と黒の縞模様の先にいるのは今一番抱きしめたい存在のアイツ。俺はただ前を見る。片手に持った108本の赤い愛の塊を、見せつけるように高く翳す。走る車の風圧に目を伏せた次に見たのは、アイツの泣き顔と両手で作られたOKの信号(サイン)。信号は青になった。

とおる @tomobita

信号は赤になった。その途端、僕とあの人の間を裂くように車が走り出す。「お願いだ、待ってくれ…」そんな声も、虚しく吸い込まれていく。青になり、走れば追い付けるだろうか。ただ一言、君に伝えなくてはならない言葉があるのに。今日じゃなきゃだめなのに。お願いだ、早く、早く、青になってくれ。

えぐりん @tonde_egurin

信号は赤になった。車に乗る前から俺はこの瞬間を心待ちにしていて、右手は急かすようにビート刻んでる。それもこれも岩ちゃんがいってきますのキスしてくれないのが悪い！一緒に出かける時は除外なんてルールいつ出来たのさと、怒ってはみるものの、そっと重なる左手に簡単に絆されちゃうんだけどね。

しゃますけ且つクヤシンス @ane_oneichan

これ、ラスト一文を｢信号は赤になった｣にしてほしい。落ちの一文決めるの面白そう。夢十夜とは逆パターンで。

🆓蒼(ｿｳ 🏊‍♂️ @rui_ruiest

信号は赤になった、確かに自分の目にはそう見えた。周りの人間は一斉に歩き出すのになぜ目の前の信号は青にならないのか。しばらく足元を見ても空を仰いでもやっぱり信号は変わらない。過ぎていく人の笑い声も足音も耳に残ってひどく鬱陶しかった。戻るのも面倒だし、進めもしない。信号は、赤のまま。

たま(おはぎ) @ohagi_0083

信号は赤になった。不幸にもちょうど目の前で。駅まで送ると言われ肩を並べる夕暮れの道。「信号かわるの、どのくらいやろ」「１分くらいか？」「ほな１分長う一緒におれるな」ラッキーやわと微笑む今吉をシバくと蹴りつけたのは照れ隠しだ。どうか覚られませんように。

にし @2shi8ra

信号は赤になったと伝える音声に従い速度を落とし、青になりましたと言い終える前に滑るように発進させる。いつだってロマンに胸躍らせたい、そんな考えで改造したこのカーナビは自慢の品だ。赤、青…色彩とやらを持った遥か昔の人々はどんな思いを抱いていたのだろう！今日も色相式の信号を夢想する。

灯子 @too_cko

信号は赤になった。足は止まるしかないが、溢れる想いはただ前進して車の餌食になっている。世間体より、お前を守る。そんな言葉は轢かれて消えていく。僕が本当にお前を幸せに出来るのだろうか。ツッキー、青だよ！そう言って手を引くお前を見て、一緒なら赤信号も渡れてしまいそうだと手を握り返した

いっすん@セレナ厨 @snkhshs

信号は赤になった。赤い車が目の前を通り、隣には赤い帽子をかぶった老人が赤いトマトを詰めたビニール袋を片手に立つ。無機質な赤いポスト。夕日で目の前に広がる世界は赤く染まり…瞬間強い風が吹き、近くを通りかかった少女の履いているスカートがふわりと舞い、白いパンツがきらり輝いた。白かよ。

ササモト @ssmt_hibi

信号は赤になった。交差点に佇む姿に気を取られなければ、あるいはアクセルを踏んで無理やり通過していただろう。郷愁はカラメルのようにほろ苦く、目の前を横切る彼はちっともこちらに気付かない。…当然か。思っていよいよ可笑しかった。だって自分が免許を取ったことなど、彼は知る由もないのだから

希菜子 @n_kina

信号は赤になった。さっきまで勢いよく走っていた車も、お行儀よく並んで止まる。「今回もみなさん良く出来ました！ご褒美に、私の下を通る許可を与えてさしあげます！」信号が青に変わると、滞っていた車たちは信号の指示通り進み出す。すべては信号の思い通りだ。

塩鯵 @salt_Mackerel

信号は赤になった。横断歩道を遮る車の波の向こうに君がいる。いつも見る制服ではないその可愛らしい格好にどきりとする。同時に自分のラフな格好を思い出して舌打ちをした。彼女に会うと分かっていたら、もう少しまともな格好をしたのに。向こうにいる彼女が自分に気が付いた。さて、何て声をかけよう

しらたま @shiratama43

信号は赤になった。左を向く。そこに居る緑。見つめる。気づかない緑。触れる。絡みつく緑。 信号は青になった。こちらを向く顔。赤。

イツミン⇔イスミン＠スタジオ自爆スイッチ @itsmin_infinity

信号は赤になった。煙草の煙が上っていった。人と彼らと、天国に近いのはどちらだろうと、なんとなくふと思った。雑踏を自動車が流れていく。めまぐるしく入れ替わる。――急ぐ必要もないので、僕は信号が青になるのを待つ。

日向 @hina_na2

信号は赤になった。そう感じたのは、恋人が告白されているシーンに出くわしてしまったからだ。でも、「悪い。オレ、好きな奴いっからァ」なんて声が聞こえて、それからこちらを振り返って「ナァニ覗き見してんだよ東堂ォ。ほら、こっち来い」だなんて呼ばれたら。信号はあっという間に青に変わるのだ。

来緒 @cheLlNo330

信号は赤になった。踏み出すにはもう遅い。しかし、差し出された青が視界を染める。赤を塗りつぶす。大丈夫。青が言う。大丈夫だ。まだ視界の端には赤がちらついている。赤く染まる自分が見える。赤くそまる彼が見える。風が吹く。まやかしの青が揺れる。それでも。大丈夫。その声に、その手に、触れた

Nao @N_kanau

信号は赤になった。人々は足を止め、歩道に留まる。それにつられて足を止めた。喧騒の中、拾った声音はかつて聞きなれたものと似たもので、音のもとを探すように周りを見渡した。そこに懐かしい姿は見えず、小さくため息をつく。信号は青になり人々が歩き出した。懐かしい声音はもう聞こえない。

ぎる @iboibooooo

信号は赤になった。道路向こうで彼が叫ぶ。なにやってんだ、早く来いよ、と。声色があまりにも呑気すぎて、それを理由に思い切り泣いてしまいたかった。彼はなにも知らないからそう言えるのだ。腹は立つが、君には今のままでいてほしかった。赤が青に変わって、それでも俺は渡らないのだろうと思った。

るーふ/あき @llf39

信号は赤になった。どうせ車などこないだろう、と踏みだそうとした足が、短い葛藤の末に再び地に縫い付く。ルールに従順な小心者としての功績は、輝かしいばかりに自分を支配していると思う。 それでも。 横断歩道の向こう側で、「仕方がないな」という顔をして待つ人がいるから、僕は今日も幸福だ。

潜鯰(せんねん) @altezza_c

信号は赤になった。 貴方が一足先に渡ってしまった横断歩道、赤く照らされた桟橋みたいな其れ。 貴方の姿を探してその向こうを眺めたけれど、もう其の向こうに貴方は居ない。 追い掛けられたら、良かったのに。 何も、変わらない。 信号は、赤のまま。

gonbe @gonbe_w

信号は赤になった。信号は青になった。信号は黄になった。信号は赤になった。信号は青になった。信号は黄になった。信号は赤になった。信号は青になった。信号は黄になった。信号は赤になった。信号は青になった。信号は黄になった。信号は赤になった。横断歩道を横切ったのは、犬が一匹だけであった。

青月七日・旧かなた：各種ﾈﾀﾊﾞﾚ多 @seiduki

信号は赤になった。一歩踏み出せば楽になれる。ふらと揺れる爪先、眼差し。歩を進めかけた少女は唇をかむ。楽じゃなく、幸せになりたいだけなのに、と。

ユーリ @yuly1031

信号は赤になった。我先にとトラックが飛び込んでくる。声を掛けようとした。そんな権利なんかないのに。彼女は僕を見ない。当然だ。そして運命は無慈悲だった。野次馬の視線が彼女を貫く。宙に舞った一瞬、彼女は僕に向かって微笑んだような気がした。希望的観測は意味をなさない。信号は青になった。