2015年1月12日

九一式徹甲弾と一式徹甲弾について

大川大佐による九一式徹甲弾の欠陥の改善とその経緯の中で生まれた着色弾である一式徹甲弾についての個人用のまとめ
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さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

大川大佐による九一式徹甲弾の改善と着色弾誕生について書き終えたので公開していきます

2015-01-12 14:37:19
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昭和10年4月、亀ヶ首の発射場において40cm砲の九一式徹甲弾の最終試験として弾道試験実施中に砲身前端部の内筒が破砕飛散し、発射弾が大近弾となる大事故が発生した。事故原因については関係者の大方の意見として砲身の内筒にキズがあったのではないかということで一致していた。

2015-01-12 14:37:40
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しかし呉の砲煩実験部検査官として偶々その現場にいた大川大佐はこの事件を目撃し、その原因を内筒のキズではなく弾丸の被帽ではないかと疑った。

2015-01-12 14:38:09
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

被帽のハンダ付け部分が発砲の衝撃で弾体から剥離したことで弾体と内筒の間に楔を打ち込んだのと同様の作用が働いたのではないかという仮説を立てたがこの時は特に行動に移さなかったようだ。

2015-01-12 14:38:14
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

同年12月、大川大佐は大和、武蔵の46cm砲の徹甲弾の研究実験主任として取り組むことになった。従来の36cm及び40cm砲用の九一式徹甲弾は弾径の9割厚の甲鈑に対して撃角25度以上においては弾体が破砕して貫徹不能というデータがあった。

2015-01-12 14:38:32
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それも踏まえた上で46cm砲用では撃角30度までは完全に貫徹することを目標に改善策を講じることにした。この改善策として先の4月の実験事故とは関係なく被帽に着目した。

2015-01-12 14:38:54
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徹甲弾の欠陥は弾体ではなく被帽の甲鈑表面硬度層に対する破砕能力不足であると判断し、被帽に工夫を加えた3案を出して20cm縮尺弾を作製し対甲鈑実験として実験が行われた。

2015-01-12 14:39:01
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その結果初期の成果を得ることが出来たため46cm砲用の徹甲弾にも適用することとし、昭和12年7月、20cm縮尺弾の最終試験として射程20000mでの弾道試験発射を行った。

2015-01-12 14:39:14
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

すると試射半ばになって被帽が弾道の途中で弾体から離脱し、約3000m付近の海上に落下するのを水柱によって視認した。

2015-01-12 14:39:24
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

これを確認した大川大佐は昭和10年の実験での40cm砲の事故を思い出しその原因を被帽接着のハンダの強度不足だと判断した。さらに念のために過去の実験記録を調査したところ36cm砲用の九一式徹甲弾において弾道発射試験中に大近弾を発生しており不規弾として処理されているいることを確認した

2015-01-12 14:39:57
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

この被帽離脱事故については既に主力艦に搭載している約10000発にも及ぶ徹甲弾全てに対して改修しなければならないほど重大な問題を含むこととなった。

2015-01-12 14:40:11
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

この対策について上司と協議をしたが事が大き過ぎるために上司も判断をしかねていたので、とりあえず大川大佐の独断で製鋼部弾丸主任に強力なハンダの開発を依頼

2015-01-12 14:40:24
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

4か月後に現用ハンダの約3倍にもなる接着力を持った強力なハンダの開発に成功した。残る問題としてはハンダの付換工事をいつ施行するかということであった。

2015-01-12 14:40:37
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

しかしながら10000発にも及ぶ徹甲弾を改修するとなると大工事になり、また大臣訓令が必要とし、艦政当局はその理由と訓令と稟議しなければならなかった。当然これらの理由を明らかにするということは艦政当局の責任と信用問題に発展する恐れがあったために訓令の発令は困難なものと考えられた。

2015-01-12 14:40:50
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

昭和12年12月、艦政本部部員となった大川大佐は弾丸を担当することとなり、この機会になるべく早期に解決したいと考えていた。

2015-01-12 14:41:06
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

そのまま時節は過ぎ昭和14年、国内外情勢が緊迫の度を増した時期に合わせて海軍内でも臨戦態勢の是非が議論されていたことを好機ととらえ

2015-01-12 14:41:30
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

軍令部二部の井上部員に「主力艦主砲の集中射撃を容易にするため徹甲弾を着色弾(風帽内に着色染料を充填して弾着時の水柱に着色する)に改造したいので賛成してほしい」と申し入れたところ、快く快諾してくれたという。

2015-01-12 14:41:35
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

早速連合艦隊司令長官及び呉鎮守府長官宛に徹甲弾改造訓令と呉工廠長宛の改造通牒を起案し、訓令には「着色弾に改造する」とだけ指令し、通牒には同時に被帽のハンダ付換えを追加指令して稟議した。この訓令通牒が発布された時には長年の想いと同時に肩の荷が降りてほっとしたそうだ。

2015-01-12 14:41:46
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

質問が来たので補足しておくと、46cm砲用の九一式徹甲弾のデータを得るために試製された20cm縮尺弾については二号20cm九一式徹甲弾改一として採用されているが実用生産はされていない。

2015-01-12 15:15:39
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

また着色用の色素として赤:Congo Red、Brilliant Scarlet 3R conc 黄:Tartragine NS conc、Auramine 青:Methylen Blue conc 紫:Solar Violet 4BN conc

2015-01-12 15:20:10
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

一式徹甲弾は九一式徹甲弾の被帽のハンダ付け部分の強度不足という欠陥が表沙汰になるのを恐れた艦政本部が、「昭和十五年砲術年報」でも報告された着色弾の有効性を理由に現用の九一式徹甲弾の着色弾への改造という名目でハンダ付けの欠陥をちゃっかり解決。これが謎多き一式徹甲弾。詳細はまとめで

2016-10-22 17:12:35
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

サマール沖海戦では長門が一式徹甲弾四型、金剛が三型、榛名が二型、大和は一式徹甲弾を使用したことが確認される。各型の違いを明確に示した史料は確認できないが、証言や常識的なことから考えるに充填される着色剤の違いであると考えられる。

2016-10-22 17:15:59
さむらい@戦史調査中! @Type96_AAgun

ヘンダーソン飛行場を砲撃した金剛、榛名が使用した一式徹甲弾は着色弾。写真は私が江田島で撮影してきた一式徹甲弾。弾体自体は九一式と同じであるため写真だけでは判別はつかない。 pic.twitter.com/k8R1Tg0JyV

2016-10-22 17:22:28
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