【邪悪の樹――二籠】第一戦闘フェイズ――理の樹

万斛の鎌――無感動(@Apathie_Evil) 伽藍の矢――物質主義(@materia_evil
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無感動Apathie @Apathie_Evil

目の前のそれが避けきれずに剣に手応え——包帯が現れるのが見える、だが止血には弱い。広がる赤は溢れるように。 黄金は空を見上げない。——見据えるのはただ相対する瞳。何かが来るとは二度目の判断、だが離れるよりも早く、伸ばされた手が見えた。 ——放っておいても死ぬ。それは見て分かる事。

2015-01-14 19:44:19
無感動Apathie @Apathie_Evil

『序列』に多少の冗長さが加えられても、『それ』の起こした『起点』を無視出来るほどの動を、【無感動】は持たない。——意志故であるならばそれは『終着』を迎え、達されるべきであると。——【無感動】は、『いつも通り』にそう判断した。 故に手放された剣は空気に融けた。故に右手は下を向き。

2015-01-14 19:44:20
無感動Apathie @Apathie_Evil

——放っておけば死ぬ。背後の轟音には気付いていた。無数の影も降り注ぐ何かだろうとも分かっていて、【無感動】は表情一つ変わらないまま。 迷い無くその両手を握ったのと——縫い止める槍の衝撃とは、どちらが早いか。

2015-01-14 19:44:21
『物質主義』マテリアリスムス @materia_evil

伏せられつつあった蒼が、僅か開いた。色を無くしていく世界の中で、向けられた金だけが眩しかった。今や温度を失いつつある小さな手が、別の体温に包まれる。それが誰のものかなど、疑いようもない。

2015-01-14 21:08:43
『物質主義』マテリアリスムス @materia_evil

少女は知らずその手の主へ向けて微笑んだ。裂けた口から元より言葉は出て来ない。代わり、喉元の傷を覆う紅がその色を変える。塗り変わるように滑らかに、包帯はマゼンタのリボンへその姿を変容させていく。 包帯の役目を引きずってぐるぐると過剰に巻かれた不格好なそれには、ただ喉元の部分に一言、

2015-01-14 21:09:00
『物質主義』マテリアリスムス @materia_evil

迫る無数の穂先。手の温度を感じ、最期の言葉を表して尚それが止まることはない。 共に貫かれることこそ望みであるという彼女の心は、何一つ曲がってはいない。故にそれは形を失わず、その通りに少女の全身へと突き刺さる。

2015-01-14 21:09:34
『物質主義』マテリアリスムス @materia_evil

眼を、肩を、腕を、口内に隠れた舌までも、あらゆるところを自らの力によって穿たれながら、 それでも事切れたその表情は、笑みを浮かべたままだった。

2015-01-14 21:09:41
無感動Apathie @Apathie_Evil

衝撃を予期する中——浮かんだ笑みと感謝の言葉が目に入った事に、黄金の眼は僅かながらに瞠目した。——ただ道連する為だけかとも思っていたから。ただその為の意志であろうと、それすら持たない【無感動】には。

2015-01-15 00:05:21
無感動Apathie @Apathie_Evil

鋭い刃が肌を圧し突き刺し突き抜けていく感触は文字通り全身に降り掛かる。痛みは無い。元より失われている。恐怖も無い。それよりも興味が強く残った。 ——一過して、息を吐こうとしてできない事に気付いた。貫かれた翠と蒼、その手を握ったまま槍を受けた背中は俯いて覆い被さるように傾いでいる。

2015-01-15 00:05:24
無感動Apathie @Apathie_Evil

眼を巡らせれば石畳まで貫いて血を滴らせる無数の穂先。全身に異物の入り込んだ違和感、それが消えるまでも幾許もないと思考だけはいつも通りに動く。 眼を上げる。握り合わせた手は奇しくもかその形のままで貫かれていた。 ——血の流れる唇だけが動く。

2015-01-15 00:05:30
無感動Apathie @Apathie_Evil

——望めていたのであれば、と。 それすら持つ事の出来ない金色には。 ——滴る音だけが残る。やがてそれも消え去った。

2015-01-15 00:05:32