140字SSログまとめ。1月27日更新。

140字SSのログの記憶。一次創作だったり、二次創作だったり。 #桜埋め #架空の食レポ大会 等 2017年1月31日更新。
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ツカノ @tukano_2013

某所に虎のバターを乗せたホットケーキを食べに行く。サバンナを思わせる店内に感心していると店員に緑の傘を渡される。これでどうするのだろうと思っていれば店の奥から虎が走ってくるのが見えた。慌てて椰子の木に登れば虎はぐるぐると回り始める。バターになって溶けるまで。#架空の食レポ大会

2015-09-11 23:17:21
ツカノ @tukano_2013

これから心中しにいく男女が電車に乗っている。何度心中されたのですかと訊ねると、二人は自分たちのぐっしょりと濡れた髪や足元にできている水たまりを見て不思議そうに首を傾げた。暫くして、何度心中したのでしょうねと、二人はニタリと笑うと赤い紐で結び合わせた二本の手を前に出したのだった。

2016-02-03 21:16:36
@tu_2z

花見に行きませんかと少年探偵に誘われたのは、まだ桜が咲く前のこと。まだ咲いてないじゃないかと言えば、少年探偵は指をパチンと鳴らしてお菓子作りが趣味の性悪執事を呼ぶ。(お菓子作りと性悪が何か関係あるかと言えば、全く関係ないのですよ、みなさん)指の音に合わせるように書斎に現れた

2016-03-13 08:07:43
@tu_2z

@tu_2z 性悪執事の手にはキラキラと光るスコップ。スコップと花見と何が関係あるんだと訊けば、少年探偵は器用に片眉だけ大げさに顰める。まるで、明々白々なことを何故訊ねるんだと言いたげに。ああ、嫌な予感がする。少年探偵は内緒話をするかのように声を低くすると、桜の木に埋めるんですよ

2016-03-13 08:11:24
@tu_2z

@tu_2z と言った。何を埋めるんだと恐る恐る訊けば、少年探偵はあなたに決まっているじゃないですかとさも当たり前のように言う。あっけらかんと。唇に浮かぶは、とろりとした笑み。人の生き血を啜って一日だけ咲く珍しい桜があるんですが、今年はそれを見ようと思ってと、少年探偵は不穏なこと

2016-03-13 08:15:06
@tu_2z

@tu_2z を言い出す。ヒトのことを埋める気かと慌てて言えば、少年探偵は埋めちゃいけないのですかと頬に人差し指を当てて小首を傾げる。返す言葉を見失っていると、少年探偵と性悪執事は「一世一代の晴れ舞台ですよ」とか、「ここで花実を咲かさずにどうするんですか」とか、口々に理不尽なこと

2016-03-13 11:59:24
@tu_2z

@tu_2z を実に楽しそうに言い始める。まるで、お茶会のことでも話しているかのように。私は勝手に人の末路を楽しそうに話しているふたりに気づかれないように、書斎から逃げたしたのだった。天災のような相手に対して、逃げだす他に何ができようか。 数日後、花見の招待状が自宅に届く。

2016-03-14 21:32:06
@tu_2z

@tu_2z 戦々恐々としながら、少年探偵の所に顔を出すと、彼は数日前私のことを桜の木の下に埋めようとしたことなど忘れたかのように、 「さぁ、でかけましょう。花の色は移りにけりな、いたづらにですよ」 と、くすくす笑う。私が悪いものでも食べたかのような顔をすれば、少年探偵は

2016-03-14 22:55:33
@tu_2z

@tu_2z 目を細めると指をパチンと鳴らす。その途端、私の目には布が覆い被さる感触がし、目隠しされたのだった。 それから、どこをどう歩いたかは憶えていない。ただ解るのは、次に目隠しが外されると満開の桜の下にいたことだけ。目の前にあるのは、朱色の毛氈の上に広げられた重箱と酒。

2016-03-14 23:04:32
@tu_2z

@tu_2z 花見のお誘いは、嘘でも何でもなかったらしい。桜の木の下に埋められずに済んだことに安堵する。埋めてしまったら、遊べないじゃないですかと私の頭の中を読んだように少年探偵が笑う。じゃあ、この桜の下には何も埋まってないのだねと訊けば、少年探偵と性悪執事が顔を見合わせる。

2016-03-14 23:12:21
@tu_2z

@tu_2z 何か不味いことでも言ったかと後ずさりすれば、誰かの手が私の足首を掴む感触がした。土の中から現れた何者かの手。私が目で助けを求めると、目の前のふたりは「さて、ここで問題です。満開の桜の下には何が埋まっているのでしょうか」と、声を合わせて楽しそうに笑ったのだった。

2016-03-14 23:19:18
@tu_2z

彼女と目が合ったのは、桜の咲く頃の前。とある洋館の二階の角の部屋から、彼女は外を眺めていたのである。彼女は私と目が合うと、酷く寂しそうに目を細める。私のことを呼ぶかのように動く唇。その姿を見ているたけで、胸が締め付けられたように痛みを覚えた。彼女は助けを求めているに違いない。

2016-03-18 11:07:45
@tu_2z

@tu_2z そう思った私は、彼女が閉じ込められているに違いない屋敷の周囲をぐるりと回ったが、何故か出入り口が見つからない。一体、この屋敷の住人はどこから出入りしているのだろうか。途方に暮れながら元の場所に戻ってみると、彼女はお待ちしてましたと言わんばかりににこりとしたのだった。

2016-03-18 11:15:30
@tu_2z

@tu_2z ああ、彼女は私のことを待っていてくれたのだ。心がじわりと温かくなる。そして、屋敷から助け出せないのならば、できる限り彼女の所に来てあげようと思ったのだった。恐らく、きっと私は彼女に一目惚れをしたに違いない。 それから、私は雨の日も風の日も彼女の所に通うようになった。

2016-03-18 11:22:43
@tu_2z

@tu_2z かの深草少将が小野小町の所へ百夜通いしたのと同じように。彼女の所に通い始めて、何日が経っただろうか。いつものように彼女がいる窓の下にいた所、私は後ろから声を掛けられる。驚いて振り向けば、そこには世にも珍しい絶世の美少女と優男が立っていたのだった。愉しそうな顔をして。

2016-03-18 11:27:39
@tu_2z

@tu_2z 光沢のある真っ白い大振袖に黒い帯を締めた美少女と黒い大陸風の長袍を着た優男は声を合わせて、「ここで、何をしていらっしゃるのですか」と私に訊く。まるで、歌でも歌っているようだと私は思う。それにしても、この二人は何故こんな夜中にこんな所にいるのだろうか。謎である。

2016-03-18 11:47:10
@tu_2z

@tu_2z 私が怪訝な顔をしていると、美少女はにこりとして「もしかして、アレにお会いになられたのですか」と窓辺に立っている彼女を指さした。どうやら、目の前の二人組は彼女のことを知っているらしい。なんというご都合主義な展開だろうか。私が巡り合わせの幸運に、思わず言葉を失った。

2016-03-22 23:01:59
@tu_2z

@tu_2z 会わせてさしあげましょうかと、美少女は手に持った扇子をパチンと音を立てて閉めながら言う。血のように赤い唇に浮かぶは歪んだ笑みか。厭な予感に背筋がぞくりとするが、美少女の誘いを断れば二度と彼女に会えないような気がした。意を決し、恐る恐る頷けば、美少女は笑みを深くする。

2016-03-22 23:14:43
@tu_2z

@tu_2z そして、美少女と優男は背中を合わせた後、屋敷の壁にぺたりと貼り付く。何かを隠すように。いったい何をしているのだろうかと思っていると、二人はこちらに顔を向けて、「いち、に、さん」と声に出して数え始める。「さん」と言い終わるやいなや、二人がさっと左右に別れた。

2016-03-22 23:56:33
@tu_2z

@tu_2z 左右に別れた後に現れるは、今まで存在していなかった木戸。優男が木戸を開けると、美少女がその下をくぐり、くるりと振り向くと私を手招きしたのだった。 初めて入る屋敷の中は何の変哲な所はなく。変哲な所がないからこその違和感を感じた。彼女に会える喜びと何かが起こる予感。

2016-03-23 08:36:25
@tu_2z

@tu_2z 何故、こんなにも不安に苛まれなければならないのだろうか。彼女がいるという部屋に行く途中、美少女は符麗卿、優男は喬生と名乗る。牡丹燈記に出てくる男女の名前。何のつもりで、ふたりはそんな名前を名乗っているのだろうか。訊ねてみたくなるが、その前にとある部屋の前に辿り着く。

2016-03-24 22:59:45
@tu_2z

@tu_2z ここが、彼女の部屋ですと符麗卿と喬生は声を合わせて歌うように言う。扉の両側に立ち勿体ぶった動作で、扉を開くようにとふたりは私を促す。恐る恐る、扉を開くと、背中を押されてたたらを踏みながら部屋の中に足を踏み入れる。ぱたん、ばたん、ぱたん。背中で扉がしまる音がした。

2016-03-25 09:16:36
@tu_2z

@tu_2z どうやら、私は一人部屋の中に閉じこめられたらしい。しまったと思った、その時のこと。窓際から、私のことを呼ぶ甘い声がした。名乗った覚えもないのに。私のことを呼ぶ声の方を向けば、そこに『彼女』がいた。淡い光に包まれた彼女。彼女は桜色の着物を着て、窓際の椅子に座っていた。

2016-03-25 09:21:31
@tu_2z

@tu_2z 桜の幹を思わす黒髪で縁取られた壊したくなるような美しい顔に、絶妙な曲線を描くほっそりとした肢体。そして、ほっそりとした胴から続く足元は、先端が幾重も分かれ、市松模様の床にしっかりと根を張るように埋まっていて。そこまで見て、私はぎょっと驚く。彼女は人ではないのか。

2016-03-25 09:33:06
@tu_2z

@tu_2z やっと来て下さったのですねと、彼女はとろりとした笑みを唇に浮かべる。どこか毒があるが、うっとりするような笑み。ここにはいてはいけないと誰かに囁かれたような気がしたが、時すでに遅しで。ぼこぼこと床が隆起したかと思うと、彼女の根が私の方へ移動してくるのが解った。

2016-03-25 11:34:57