冬の小梵フェア
泣きたくなんかないのに。 「強がりも時と場合を選ぶんだな」 強引に腕を掴まれて。 引き寄せられて抱き寄せられる。 優しい仕草なんかじゃないのに間近に聞こえる鼓動がひどく優しくて涙が込み上げる。 「お前なんか」 嫌いだ。 大嫌いだ。 そう言ってやりたいのに。
2015-01-19 01:03:23「……ばかたくら」 強がることしかできない自分は可愛げの欠片もない。 「名前ぐらい正しく呼んじゃどうだ?」 「お前なんかばかたくらで十分なんだよ」 泣いてることに気づいているのにそのことには触れてこない。 この男の振る舞いの、心地良さに気付きたくなんかなかった。 (了)
2015-01-19 01:05:45部屋を飛び出した自分を、追いかけてくる跫が聞こえてきた。 こないで。 こないで。 ほうっておいて。 そうつよくつよく願ったのに、跫は自分をずっと追いかけてくる。 何処をどう走ったのかはよくわからない。 肩で粗い呼吸を繰り返していると。 「梵天丸様」 優しい声。
2015-01-19 01:35:36振り返ったらだめ。 きっと泣いてしまう。 彼に優しさを求めてしまう。 甘えを許してほしいと願ってしまう。 だからおねがい、放っておいて。 そう思うのに。 「梵天丸様」 それを許すように、呼ぶから。 溢れてきた涙を堪え切れなくて。 けれど、甘えることもできなくて。
2015-01-19 01:37:29静かに肩を震わせていると。 「どうか、お独りで抱え込まれますな……」 近付いて来た跫が隣でやんで。 ゆっくりと、正面から抱き寄せられて。 温かな腕と、優しい鼓動に包まれる。 一頻り泣いて、泣いて、泣きやんだら。 小十郎が少しだけ寂しそうに笑った。
2015-01-19 01:41:24だから、今度は黙って飛び出すのはやめようと思った。 小十郎の手を引いて。 人目のないところまで逃げて。 それからでもいいかなと、そんなふうに思えるくらいには小十郎を信じたいと思える自分がいた。 (了) #冬の小梵フェア
2015-01-19 01:42:39#冬の小梵フェア ヒック(っ*//дと) (`Д´、;)オロオロ お、おいどうした梵天丸 → なんでもねえ!(*`//Д;) (`Д´、 )…なんでもねえわけないだろうが → (片倉が好きで苦しいなんて、言えるかよ)Ooギュッ(っ*//д(`へ´、⊂)ポンポン
2015-01-19 20:34:49語らずとも、『私の愛は増すばかり』南天の花言葉ってかわいいのうと思いました。素敵なタグを見つけたのでインテでお配りしたお年賀使いまわしですが…!#冬の小梵フェア pic.twitter.com/9xVrWDjorY
2015-01-18 20:47:20デスクトップマスコット作りました02 #pixiv pixiv.net/member_illust.… #冬の小梵フェア にかこつけてもちこぼんのデスクトップマスコットを作りました。
2015-01-20 03:15:48現パロこんな出会いその1 #冬の小梵フェア ただでさえ、ショッピングモールの年末年始は客が多い。 そこにバーゲンもあるから尚更だ。 そこの片隅にひっそりと店を出している片倉小十郎は、店先で所在なさげに立っている、右目を眼帯で覆う少年が気になり、声をかけた。「どうしたんだ?」
2015-01-18 00:35:02#冬の小梵フェア 迷子となれば、放っていくわけにもいかない。店を店員に任せ、インフォメーションセンターへ連れて行く。 本当は店員に連れて行かせるつもりだったのだが、何故か少年は、893に間違えられるような強面の自分の手を握って離さなかったのだ。 担当者に話して店に戻ろうとする
2015-01-20 00:22:53#冬の小梵フェア 「やだ…!」小さな、だが、はっきりとした声で少年は小十郎のエプロンの裾を握りしめた。 小十郎やインフォメーションコーナーの担当者がいくら宥め賺しても、彼はがんとしてきかない。 しかたないので、相談の結果、小十郎の店で預かることとなった。
2015-01-20 01:10:37#冬の小梵フェア 「俺が、怖くはないのか?」自他共に認める悪人面である。泣かれることこそあれ、懐かれることなど皆無だ。 「怖くない」しっかりと眼を見て、少年は返す。 「政宗、だったな。取り敢えず何か飲むか?」 「うん!」 彼の素直さに、柄にもなく照れた小十郎は、
2015-01-21 00:48:15#冬の小梵フェア 飲み物を用意することを口実に背を向けた。小十郎の店は、カウンターがメインの小さな喫茶店だ。少々心配ではあったがスツールに座らせ、温かいココアを用意してやる。受け取った政宗が、嬉しそうに飲む姿がまた愛らしく、柄にもなく思わずその頭を幾度もなでる小十郎であった。
2015-01-21 01:19:55タグが反映されていなかったので、再び。#冬の小梵フェア #冬の小梵語り企画 コス写。室内で暗殺者と戦う梵天丸。右目は取った後。 「殺れるものなら殺ってみよ!」 強気に言い放つ。何としても耐えねばならぬ。あの男が、異変を察して戻るまで。 pic.twitter.com/T65U5pwnIj
2015-01-18 12:21:15#冬の小梵フェア #冬の小梵語り企画 コス写注意・こないだの続き。 宿直のため、梵天丸の住まう部屋の外を見回っていた小十郎。その耳は、微かな異音を聞き逃さなかった。 「梵天丸様!」 刀の柄に手をかけ、走り出す。 pic.twitter.com/63W6swIMks
2015-01-19 21:40:36空から舞い落つ雪片のひとつひとつが、幼子の藍の衣に髪に睫毛の先に落ち六花を咲かせた。男はこれ以上濡らさぬようにと己が羽織に包みきつく胸に抱く。〝そんなにしたら苦しい〟文句の割には嬉しそうな声。男はとうに気付いている こうして欲しくてわざと薄着で飛び出すことに。 #冬の小梵フェア
2015-01-21 09:43:39「使えねぇ右目なんぞ抉り出しちまえ…俺がお前の新しい右目になってやる」短刀を光らせて片倉は告げる。アンタに何がわかる。アンタが右目になったって俺はもう二つの目で世界を見れもしないし、母上の愛が返ってくる訳でもない。「ふ…ッ、巫山戯たこと、抜かすんじゃねぇッ!!!」#冬の小梵フェア
2015-01-19 20:58:05@yushine7575 小十郎の持っていた短刀を奪い取って片倉の伏せられた片目を狙う。「お前も梵天と同じになれば良い、両目のあるヤツに俺の気持ちなど分かるものか!!!」振り上げた短刀は狙いを逸らしてしまった。左目だけでは世界を真っ当に見れやしないのだと…言われたようだった。
2015-01-19 21:03:08@yushine7575 狙いを逸らした短刀は左頬を裂いた。吹き出す血と紅く染まった手に恐ろしさを感じた。「…あ、あ…ッ」ボト、と血のついた短刀を落とした。畳に染み込む鮮血。歯の根が噛み合わない。ガチガチと葉がなる。「な、んで…ッ」「避けやしねぇよ」
2015-01-19 21:07:55@yushine7575 獣の様な目を向けてくる。「梵天丸」息が詰まる。「お前が俺の目を抉りてぇってんなら好きにすりゃあいい。だが、好きなだけ俺を痛めつけたら…」誰だ、この恐ろしい男は。誰だ。こんな男を俺は知らない。こんな、こんな…ッ…。「俺をお前の右目にしろ」
2015-01-19 21:10:39