#リプが来たキャラごとに今思い付いた書く予定なんてひとつもない小説の一場面を書く

ターレットファイター@土曜日東リ19a @BoultonpaulP92

だけど、あなたはいつもどこを見ているのかわからない。わからないから、かえってあきらめがつかない。 　私はただ、あなたのとなりにいたい。ただそれだけ。 　ただそれだけのはずなのに。

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「初霜、どうしました？」 「……いいえ、なんでもありません」 　どうして、同じ布団にいるだけでこんなにどきどきしてしまうの。

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ねえ、雪風さん。

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あなたは、実のところ雪風しか見てないのでしょう。そして、雪風さんがあなたの方を見ていないことも、たぶんあなたは気付いているのではないのでしょうか？ 　初霜さん。

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ええ、ええ、わかっています。私だって艦娘です。人間の感情というものは、本人の意思なんて軽々と吹き飛ばしてしまえることを。本人の意思というものの指図など受けないということを。

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だから、私がとやかく言ったぐらいであなたが振り返ってくれるとは思っていませんし、そうなったらたぶん私は喜ぶより先に悲しむでしょう。今、こんなにもあなたに振り返ってほしいという気持ちと矛盾してますが、どっちも本当の気持ちです。

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姉妹艦でもなく、そして雪風よりもずっと遅く艦娘になった私は、出だしからもう遥か彼方に取り残されていて。だから、もうどうしようもなくて。それでも、着任祝いで髪飾りをくれたのはうれしかった。 　だから私は、毎朝、あなたと同じ髪型にして、そして一回だけため息をつくのです。

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「ふう……これで一段落か」 　戦闘詳報、使用弾薬の補充、所見、その他もろもろの書類の処理を終えると、提督は時計を見上げた。遠征で輸送船団の護衛についている部隊が帰ってくるまであと半日。今のところなにもないが、東シナ海には潜水艦がたむろしているから、油断はできない。

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海上護衛総隊への直通電話が鳴らないことを祈るしかない。直通電話が鳴るときはいつもきまって縁起でもない報せだ。ジッポーのライターを擦った金属的な音に、書類整理と必要な判子がそろっているかを確認していた千歳が顔をあげた。提督は胸ポケットから出した煙草に火をつける。

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「そういえば提督は煙草を吸うのね」 「ん？　まあな。さすがに駆逐や軽巡の前では吸わんぞ？」 　そう言ってさほどうまくなさそうに提督は紫煙を吐き出した。千歳は書類の角を揃えるとファイルに綴じ込む。

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「ふうん。今どきは珍しいんじゃないの？」 「そうかもな。まあ、海上護衛でシンガポールとかに行くたびにたんまり仕入れてもらってるからな。おかげさまで安上がりに仕入れられる。内地の煙草は高くてかなわん」

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「ふうん。それにしても、どうして？」 「提督っていうのは基本的に送り出したから何もできないからね。手持ち無沙汰のは辛いんだよ」 　そう言って灰皿に押し付けて火を消すと、提督は肩をすくめた。

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同僚の提督にも喫煙者は少なくない。とりわけ、自分のような鎮守府から部下の艦娘を送り出す立場の中堅の提督に多い。千歳は納得したように頷いた。 「ああ、私たちが酒を飲むのと似たようなものですね。何もない隙間って、ろくでもない想像が入り込みやすいですし」

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「ああ、私たちが酒を飲むのと似たようなものですね。何もない隙間って、ろくでもない想像が入り込みやすいですし」 「なるほどな。どうだ、遠征が帰ってきたら一杯やらないか？」 「いいですね」