- rainbow_solara
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⑤ 泣き笑いしながら抱き締めてくれたすばる。 この人と生きていく。 そう決めた。 すばるなら、私が進むのを止めたりしない。 私も、すばるが進むのを邪魔しない。 何があっても、それだけは守る。
2014-12-12 18:06:39⑥ "その後、連絡ないん?" 一度だけ、あった。 酔って、クダ巻いて。 3年待ってくれって。 迎えに行くからって。 "…で?" はいはいって適当にいなして、 電話切って、 そのまま着信拒否にした。 『だって、もう必要ないもん』 "…怖っ"
2014-12-12 18:06:45⑦ あっけらかんと言い放つ私を、得体のしれないものを見る目で見る。 いいの。 自分勝手なの、私。 "今の話、すばるは?" 『全部知ってる』 だから気にしなくていいよ。 っていうか、心配? すばるもあっさり捨てられるんじゃないかって?
2014-12-12 18:06:50⑧ 大丈夫。 決めたから。 一緒に行くって。 そう、宣言してあるから。 大丈夫。 "そっか" 無理矢理納得したような、そんな顔で頷く。 思わず笑ってしまった。 いいよ、わからなくて。 横山君は、私みたいな女に引っかからないでね?
2014-12-12 18:06:551 意外と小さい、彼の車。 助手席に座るのは何度目か。 皆で会って、送ってもらう。 少し遠回りして、コーヒーを買う。 マンションの前に車を止めて、飲み切るまで他愛もない会話をして、ありがとうって別れる。 それだけのこと。
2015-02-02 23:36:282 さっき、部屋に灯りがついてるのが見えた。 彼が来てる。 でも何となく運転席の彼には言い出せなくて、いつものようにコーヒーを口に運ぶ。 少し速いペース。 何だかぎこちない空気。 『じゃ、ありがとう。またね』 誤魔化すように、無理矢理笑った。
2015-02-02 23:36:463 ドアに手をかける。 カタンッ え? ガッタン 『きゃっ!』 ドアロックがかかり、そのまま座席が倒された。 驚く間もなく、覆い被さる影。 唇に触れて、離れる。 冷たくて乾いた、彼の唇。 何度も啄むキスは少しずつ深く。
2015-02-02 23:36:534 まるでこうすることが当たり前みたいに。 手を握り合って、熱い舌に溺れる。 鞄の中の携帯が鳴る。 彼からの着信音。 『…行かなきゃ…』 一瞬、動きが止まる。 座席に押しつけられて、強く、激しく唇を求め合う。
2015-02-02 23:37:025 「…また、会える、か…?」 捕まってしまった。 鳴り響く警告音。 違う。 彼からの着信音。 でも。 熱く溶けた頭で、手を握り返しながら頷いた。 これが、すばると私の、初めてのキス。 すばると私の、始まり。
2015-02-02 23:37:19暗闇に点滅する光 きっと彼から 他の人の腕の中で 貴方を想う 背徳感と甘美 背中合わせに快楽に狂う 想いを飛ばす 彼とは違う唇手指肌吐息体 全て彼を思い出させるためだけのもの いつでもどんな時でも貴方を想う 貴方は今何を想ってる?
2014-12-23 13:09:33① 飛ばした電信 返事はない 寝てる? いや、奴とおる 何となくわかる 気紛れに適当な相手を捜すけど 結局独り椅子に身を沈める 何度も返信を確認して 進まない時に苛立ちを募らせる 煙草とアルコール お前がおったらこんなんなくても酔えるのに
2014-12-23 17:26:22② すばる、って 呼ばれた気がして身を起こす 随分とヤキがまわってんな、俺も 自虐的に笑って それでももう一度ボタンを押す 今度こそ繋がる気がして なあ、今何しとるん?
2014-12-23 17:27:131 すばる、って、呼ばれた気がした。 目を開けたらお前はいなかった。 何度も繰り返すこんな朝。 笑っていた? 泣いていた? 昨日のあいつはどんな顔してた?
2015-01-26 11:29:492 無邪気に笑うお前 苦しそうに笑うお前 妖艶に笑うお前 声を出さずに泣くお前 快楽に震えて泣くお前 肩を抱えて嗚咽をあげて泣くお前 浮かんでは消える あのお前はいつのお前?
2015-01-26 11:29:553 やめてしまえ 離してやれ あいつの幸せを望むなら そう何度も言い聞かせた でも見つけてしまった俺の半身 好きとか嫌いとか 未来とか過去とか 愛情とか憎悪とか そういう感情じゃなくて 全部俺のもんなだけで 俺の一部なだけで それはあいつも同じはずで
2015-01-26 11:30:004 でなきゃこんな関係 あんな顔して泣くことはないはずで 強張らせて拒否する体を無理矢理抱き締めて 俯く顔を無理矢理あげさせて 逃げる唇を追いかけて 涙も嗚咽も飲みこんで 幸せも苦しみも全部この腕の中に そしてまた同じことの繰り返し
2015-01-26 11:30:055 次は 次があったら もう寝ーへん 寝ないで 出て行くあいつを捕まえて 閉じ込めて 全部 全部 全部俺のもんに 今見えてるあいつの幸せとか未来とか将来とか そんなんもう知らん そんなんは俺がこれから 笑顔も涙も幸せも苦しみも 全部俺と 全部。
2015-01-26 11:30:091 彼の元へ。 そう思って、道を歩く。 あの人にはもうずっと会っていない。 向こうからの連絡も、いつの間にかなくなった。 これでいい。 私は彼を大切にするんだ。 そう心に決めて、顔を上げる。 横断歩道で立ち止まる。 流れていく車。
2015-02-06 09:42:482 その中に、知ってる車を見つけた。 まさか、と思った。 運転しているのは紛れもない、あの人。 助手席に、女性の姿。 前方を見て何か話している。 こっちに気付く様子はない。 胸が大きく跳ねて、体が震える。 スッと血の引く気配がして、足に力を入れる。
2015-02-06 09:42:523 背中を向けて、来た道を引き返した。 私じゃない女と一緒にいる貴方。 私以外の女に笑う貴方。 見たくない。 あそこは私の場所なのに。 あの人は私のものなのに。 あっさり決心が揺らいで、剥き出しになった自分の心。 醜い本音が頭の中を支配する。
2015-02-06 09:42:584 彼からの着信。 ごめんね。 私、あの人の隣にいたいの。 あの人が欲しいの。 今日は、会えない。 彼にそう返事をして、道を歩く。 逢いたい。 触れたい。 抱きたい。 渋谷さん。 ううん。 すばる。 今まで何度せがまれても、そう呼んだことはなかった。
2015-02-06 09:43:025 心の中でずっと呼んでいた名前。 本当は叫んで縋りつきたかった。 愛してるって、言いたかった。 貴方が求めてくれるのが嬉しかった。 もう誤魔化せない。 どうなるかわからない。 でも、今はどうなってもいい。 逢いたい。 足は自然と、あの場所へ向かっていた。
2015-02-06 09:43:071 久しぶりの彼の部屋。 唇を合わせて、絡めて、服を剥ぎ取って、言葉もなく繋がった。 私の姿を認めて、駆け寄って、ただきつく抱き締めた彼。 息苦しくて漏れた呼吸の先、遠目に去っていく女性の姿が見えた。 ごめんなさい。 この人、私のなの。 背中に手を回して胸に顔を埋めた。
2015-02-14 13:26:152 エレベーターの中で唇を貪り合って、手を引かれて部屋に雪崩れ込んで。 何も言葉を発することなく、ただ抱き合う。 彼の熱い楔。 ぎっちり私に嵌って離れない。 頭のてっぺんまで貫かれて、何度も途絶えることなく昇り詰める。 『ッ、ぁ…しぶた、に、…』
2015-02-14 13:26:243 名を呼んで、更に深く繋がろうと手に力を入れた。 急に、ぴたっと動きを止めてしまう彼。 『んっ…やぁ…ッ』 イヤイヤ首を振る私の目を覗き込む。 「名前、呼んでや…」 名前? 「すばるって、呼んで」 切なく熱い、細められた彼の目。 胸も体もぎゅうって締め付けられる。
2015-02-14 13:26:37