ピケティ「21世紀の資本論」1pごとの要約〜はじめに

来日記念にベストセラー「21世紀の資本論」まとめました はじめに にある38pを1P=1ツイートに対応しています。500pやるのか?さあ? この本を貧乏人である私にトリクルダウンして頂いた山形浩生氏に感謝します。
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シェンロン용일 @shen1oong

1p はじめに。この本では富の分配の問題を18−20世紀の20カ国のデータを基に研究している。富の格差はマルクスが述べたように拡大していくのか、それともクズネッツが述べたように縮小していくのか。 #ピケティ

2015-01-28 20:33:51
シェンロン용일 @shen1oong

2p 資本収益率が産出と所得の成長率を上回るとき、格差が生まれる。その時、民主主義の基盤となる能力主義が衰退する。かつてオースティンやバルザックの書いた小説は、そういった格差が個人の性向にも影響することを描いている。また格差の問題は他の学問でも研究れてきた #ピケティ

2015-01-28 20:34:08
シェンロン용일 @shen1oong

3p 格差の問題を経済学で研究する意義は、経済学が厳密な意味で科学的ではないにせよ、誰もが検証できる形で、きちんと系統だった方法でデータを集め分析することは、批判するにしても多くの人が議論するためのたたき台になることだ。 #ピケティ

2015-01-28 20:34:26
シェンロン용일 @shen1oong

p4 格差に関する経済学の研究の振り返り。1798年にマルサスは「人口論」を発表する。これはアーサー・ヤングの「旅行記」にある、フランスの地方農民の貧困などを題材にした。 #ピケティ

2015-01-28 20:34:54
シェンロン용일 @shen1oong

p5 フランスの人口は1700年には2000万人、そのまま増えて1780年には3000万人まで増加した。イギリスは800万程だった。ヤングは貴族院による二院制が最高の政治体制だと確信していた。それ故フランス革命を恐れたマルサスは貧民の人口減を目指す人口論を書いた #ピケティ

2015-01-28 20:35:12
シェンロン용일 @shen1oong

p6 リカードとマルクスも悲観していた。この2人も小集団が利益の大部分をとると考えていた。リカードは1817年に「経済学および課税の原理」で生産と人口が増加すると、土地の価格が上がり、地主が最終的に得をすると考えた #ピケティ

2015-01-28 20:35:36
シェンロン용일 @shen1oong

p7 しかしその予測は、技術開発と工業の発達によって国民所得に占める農業の率が下がり、農地の価値は下がった。ただ、ここで述べられた「希少性の原理」は大事だ。都市の不動産価格や原油価格を1970-2010年の流れから見るとこれから100年のあいだ不均衡になる #ピケティ

2015-01-28 20:35:49
シェンロン용일 @shen1oong

p8 もちろん、それは需要と供給のメカニズムによって均衡に向かうとも考えられるけれども、それだけでは不均衡の発生は否定出来ない。その後マルクスが1867年に「資本論」第一部を出す。この頃にはすでに都市、工業社会での格差が問題だった。ゾラやディケンズ、ユゴーの小説などに描かれている

2015-01-28 20:36:19
シェンロン용일 @shen1oong

p9 1840年、ヴィエルメ医師の本の影響で児童の労働を禁じた(41年フランスで8歳未満、42年にイギリスで10歳未満の禁止)エンゲルスが45年「イギリスにおける労働者階級の状態」を発表。19世紀前半は産業革命によって経済が上昇しても賃金がまったく上がらなかった

2015-01-28 20:36:38
シェンロン용일 @shen1oong

p10 マルクスは1848年に「共産党宣言」を発表67年に「資本論」を出す(83年死亡)。資本主義システムの内的な矛盾を分析する。労働者の悲惨な現実だけでなく、資本主義をこのまま続けていくという「無限蓄積」の仮定を立てると、ますます少数の資本家に富が集中すると分析した。#ピケティ

2015-01-28 20:40:51
シェンロン용일 @shen1oong

p11 しかし、その予測も外れた。それは19世紀後半からの賃金上昇とさらなる技術開発による生産性の上昇が原因。この予測の誤りはマルクスが予め政治的なバイアスをかけて結論を先に決めてしまったところにある。ロシアでは共産主義国家が起きたが失敗ヨーロッパは社会民主主義的な方向へ向かった

2015-01-28 20:44:02
シェンロン용일 @shen1oong

p12 しかしそれでもマルクスの分析には有意義な点はある。富の集中という問題を ちゃんと事実に基づいて分析し真。そして無限蓄積の原理。それは生産性の上昇によって克服されたが、実際に低成長な時期には富の集中は起こりやすくなる。80s〜90sにおけるヨーロッパと日本がそう #ピケティ

2015-01-28 20:47:11
シェンロン용일 @shen1oong

p13 クズネッツはそのような格差論を楽観的にした。55年「成長は上げ潮であり、あらゆる船を持ち上げる」と結論づけ1945~75年の仏経済はそのようになった。56年のソローも同じことを言った。クズネッツは初めて所得分配データを整備して使った。後に国が所得税申告のために集める前だ

2015-01-28 20:58:07
シェンロン용일 @shen1oong

p14 所得税は大事で、これによって国民自身が所得をいくら得ているかもわかるし、公平な分配も可能になる。クズネッツの分析だと1913-48年の間にアメリカの格差は急激に縮まっていることがわかったのだ。 #ピケティ #21世紀の資本 #Piketty #nicohou

2015-01-28 21:01:48
シェンロン용일 @shen1oong

p15 マルサス、リカード、マルクスに比べて、参照できるデータを提示し、そして格差の縮小を証明したクズネッツ。しかしこれは自然な法則というより、第二次世界大戦と、大恐慌という外的なショックが大きい影響を与えている。しかし54年に出したクズネッツ曲線はその理論をさらに推し進めた

2015-01-28 21:04:08
シェンロン용일 @shen1oong

p16 クズネッツ曲線は外的要因がなくとも、内的な動きとして格差は最初広がるが、その後縮小していくという理論だ。実のところこれはひとつの予測に過ぎず、かつ冷戦時の対共産国への対策として唱えられた。そしてそれは実際に効果があった。

2015-01-28 21:06:58
シェンロン용일 @shen1oong

p17 しかしアメリカでは、格差は現在1910年の水準にまで拡大している。さらに近年、彼等の仮定した安定成長モデルも疑問視されている。2100には富は中国や産油国に集中しているであろうか

2015-01-28 21:09:18
シェンロン용일 @shen1oong

p18 21世紀の我々は、19世紀の人々と同じように分配の問題を考えねばならない。そのためにはまず広いデータと歴史、それらを比較する事が大事だ。私の研究はクズネッツが行ったアメリカの20世紀の期間のデータを用いた分析を、さらに拡大したものだといえる #ピケティ #21世紀の資本

2015-01-28 21:12:01
シェンロン용일 @shen1oong

p19 今まで課税記録を研究した人がいないのでデータを集めるところから始めた。まずフランス、そこから20カ国まで広げ、50年間分にデータを拡大し、そのごさらに範囲を広げた(サエズは日本も調べた)。情報源とデータの処理方法を統一した。その際WTIDのデータが最も活用された。

2015-01-28 21:15:42
シェンロン용일 @shen1oong

p20 富に関して、資本と労働のデータも共に重要で、これらは相互に補完しあっている。また、相続税のデータも重要だ。これは62年のラップマンの先行研究が存在している。

2015-01-28 21:17:20
シェンロン용일 @shen1oong

p21 この2つのデータはまた、相続した富や貯蓄の重要性の変化や富の格差の動きを見るのにも使える。最後に、18世紀初期からの国富の総ストックを超長期に渡って計測するためのデータも使用した。レイモンドゴールドスミスの先行研究があるが、こちらはコンピューターを使った広いデータが強みだ

2015-01-28 21:22:07
シェンロン용일 @shen1oong

p22 技術の発達によってデータの取り扱いは便利になった。80年代までデータはインデックスカードで集計し、その処理をすることに最もエネルギーが費やされていたのだから。それらの膨大なデータを使ってわかったことは富の分配は経済メカニズムよりも戦争等の要因が大きいということだった

2015-01-28 21:24:26
シェンロン용일 @shen1oong

p23 富の分配の力学を見ると収斂と拡大を進めるメカニズムがわかる。分配に効果的なのは知識や技能への投資だex.中国。実のところ、需要と供給の法則、資本と労働のモビリティ(つまりグローバル化)の効果は実は曖昧だったり。そもそもこれこそが技術普及のプロセスの一部であったりする

2015-01-28 21:32:28
シェンロン용일 @shen1oong

p24 生産技術自体は、より多くの収益を得ることができるがこれによって格差が拡大することもありえる。それはそれで能力主義の立場としては資本家が儲かるよりはいいのかもしれないが。もう一つは若者が貧しく、年寄りが金持ちだから格差があるというもの。これも微力なもので、みんな老人になる

2015-01-28 21:39:29
シェンロン용일 @shen1oong

p25 むしろ技術訓練の適切な投資がないと、格差は逆方向に作用する。そしてこれは自発的なものよりも政策(教育、機関、アクセス)に依存している。他に格差を広げる力としてトップ所得者、そして低成長の社会だと格差は広がる。 #ピケティ #21世紀の資本論 #経済

2015-01-28 21:42:28