株式市場と上場についての真実

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樋口耕太郎 @trinity_inc

上場企業経営者の最大の悩みが、「なぜ上場してしまったのか?」という笑えない話はよくあります。 RT @GO53110 創建みたいな会社は上場しないで、地道にいい家を作り続けてもらいたい。上場すると無理な成長に走るだけ⁈RT @ky_kn: 創建ホームが2014年度東証二部上場へ

2010-12-07 12:27:11
樋口耕太郎 @trinity_inc

企業の発展と持続性を保障するのは、「量的」な成長ではなく、「質的」な成長以外にない。上場は前者を実現しようとする試みであり、企業の持続性とは無関係であるどころか、質を伴わない成長は衰退を早める可能性がある。

2010-12-07 12:41:18
樋口耕太郎 @trinity_inc

考えてみれば上場という仕組みはほんとうに不思議だ。仕組みを単純化して考えると、企業は上場によって資金を調達するが、株式市場から資本を調達するのは実質的に上場初日の一回のみ。その後延々と続く上場維持のための努力は、資金調達とはまったく無関係な企業にとってのコストである。

2010-12-07 12:46:42
樋口耕太郎 @trinity_inc

たった一回の、それもただでさえ高コストの資本を調達するために、永遠のコスト、それも莫大な費用を支払い続ける。サラ金利息がとても可愛らしく思える。世の中に株式上場ほど高価なお金は存在しない。サラ金からお金を借りて事業をしようとする経営者はいないのに、なぜ上場したがるのだろう。

2010-12-07 12:51:10
樋口耕太郎 @trinity_inc

心ある投資家は、株式を購入するとき、その企業を応援するという気持ちを込める。しかしながら、どれだけ多額のお金でその企業の株式を購入しても、そのお金は企業とはまったく無関係であり、前の株主の支払いに当てられるに過ぎない。

2010-12-07 12:54:13
樋口耕太郎 @trinity_inc

株式市場における取引の99%はこのような「摩擦」であり、本質的に価値を生み出すものでも、企業に資本を届けるものでもない。残りの1%だけが資本の調達にかかるものなのだが、1%のためになぜ99%ものコストが必要なのか、ほんとうに不思議だ。

2010-12-07 12:56:35
樋口耕太郎 @trinity_inc

バークシャー・ハサウェイという会社をご存知だろうか。いわずと知れた世界有数の億万長者、ウォーレン・バフェットが経営する投資会社だ。バークシャーは形式的に上場しているが、株式の流動性(売買額)はその時価総額に比較して極端に低い。昨年の株主の90数%はその翌年も株主である。

2010-12-07 12:59:15
樋口耕太郎 @trinity_inc

ほとんど流動性のない、つまり、実質的に未公開企業であるかのような形式で存在している。株式売買の回転率は数%。日本の株式市場の平均が100%前後であることと比較すると、「1%の資本調達のために99%の取引がある」状態を解消した、世界で唯一の上場企業といえるのではないか。

2010-12-07 13:02:22
樋口耕太郎 @trinity_inc

一方、資本市場の常識は、株式の出来高(売買の頻度)が高ければ高いほど、「注目株」「成長株」として持ち上げられる。「注目株」って、誰が「注目」しているのか、経営者はよくよく考えたことがあるのだろうか?少なくとも、顧客や従業員でないことは間違いない。

2010-12-07 13:05:23
樋口耕太郎 @trinity_inc

少々テクニカルな話。当期利益5億円、PER20倍の株式は、時価総額100億円で取引される。益利回り(当期利益÷時価総額)は5%だ。仮にこの会社の株式が年間100%売買され、投資家が証券会社などに支払う手数料その他のコストが0.5%だとすると、売りと買いで1%。つまり年間1億円。

2010-12-07 13:08:31
樋口耕太郎 @trinity_inc

多くの人は株式を直接購入しないので、投資信託、ヘッジファンド、年金などの運用者に支払う運営委託手数料が、年間投資額の1%だとすると、これも年間1億円。(議論のために相当単純化してはいるが)両者を合わせて年間2億円が、この企業が「負担する」ほんとうの上場維持コストだ。

2010-12-07 13:10:38
樋口耕太郎 @trinity_inc

資本家と企業をつなぐのが金融の本質ならば、企業の当期利益(5億円)をできるだけ「摩擦」なく(5億円の)配当として投資家に届けるのがその仕組みであるはず。ところが、当期利益5億円のこの企業にとって、株式を上場した瞬間から年間2億円の「摩擦」が生じることになる。

2010-12-07 13:13:53
樋口耕太郎 @trinity_inc

年間2億円の「摩擦」は当期利益5億円の企業にとって40%の利益に相当する。つまり、株式市場とは、企業利益の40%で維持されているのだ。本質的に付加価値を生まない金融業は、実業が1年間で稼いだ利益の40%を吸い上げる。

2010-12-07 13:17:51
樋口耕太郎 @trinity_inc

株式投資はリスクが高いと言われる。確かに現象としては事実なのだが、事業会社が生み出した利益の40%を「摩擦」として支払う仕組みが株式市場に内蔵されているのであれば、「株式投資はリスクが高い」というよりも、「株式市場の存在が株式投資のリスクを著しく高めている」と考えるべきだろう。

2010-12-07 13:33:41
樋口耕太郎 @trinity_inc

私はこのシステムの良し悪しを論じているのではない。企業経営者はこの事実を理解した上で上場の可否を決断する責務があると言っているだけだ。残念ながら、資本市場の周辺には、経営者にこのようなアドバイスをする者はいない。

2010-12-07 13:19:39