「フジ・サン・ライジング」 #1

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼と秘書のやり取りを、少し離れた位置で家具のように動かず見守るSPが二人。黒いサングラスをかけ、黒い背広を着た彼らからは油断ならぬ緊張感が放射されている。どちらもアイキドー11段以上。アサルトライフルで武装したハイジャッカーが突入してこようと返り討ちにできるウデマエの持ち主だ。

2010-11-22 22:57:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スチュワーデス=サンを呼べ。膳を下げ渡しなさい」最後にチャを飲み干すと、ディンタキ=サンが秘書に指示した。「ハイ、すぐに」秘書は眼鏡を手の平で直し、紐を引いた。カコン!カコン!とシシオドシ音が反響し、すぐに添乗員が現れた。ガイジン……金髪のコーカソイド、美女である。

2010-11-22 23:11:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「さっきと違うスチュワーデス=サンだな」ディンタキ=サンはツマヨジで奥歯をせせった。「マイコ・サービスのほうは頼んどらんぞ」「いえ」添乗員は首を横に振った。

2010-11-22 23:14:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「まあよい。これを下げてくれ」添乗員はハイヒールをコツコツと鳴らしてディンタキ=サンに近づいた。隅のSPが二人同時に片足を前に出し、殺気を漂わせる。この添乗員がゲイシャアサシンであった場合、アイキドー9段で修得するジェット・ツキが即座に叩き込まれる。

2010-11-22 23:33:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

添乗員はちゃぶ台の横で素早く片膝をつき、額の前で合掌した。平安時代から存在する伝統的な「害意無し」のアピールである。

2010-11-23 00:33:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なんのつもりですか!顔をあげて下がりなさい!」秘書が眼鏡を直しながら叫んだ。SP二人も拳を構えようとした。添乗員はひるまず、「お耳に入れたい事がございます」「……よい」ディンタキ=サンは部下を留めた。

2010-11-23 00:38:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スチュワーデス=サンでは無いな?わざわざ化けてまでワシに近づいたというか」「ハイ」片膝をついたまま彼女はオジギした。「分刻みのディンタキ=サンにお話しするには、この方法しか」膝立ちのスカートのスリットから太腿がのぞく。だがディンタキ=サンの表情は氷のようだった。「言うてみよ」

2010-11-23 00:43:31