霧島組放浪記2

時をかける梁山泊
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日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

霧の中に見えたのは船影。それも「しきしま」と同程度の大きさの輸送船でした。「前方に2000人級輸送船。識別信号は……」大和の報告の途中で息を飲みました。「この信号、『しきしま』です」告げられた大和の言葉に、誰もが驚きを隠せずに、大和を、そして前方の船を注視しました #霧島組放浪記

2014-10-08 13:17:53
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

輸送などに用いられるあらゆる艦船は固有の識別番号と信号を持ち、同じものは二つとありません。それが同じなら、その船二つは全く同じものであるということです。つまり、正面からこちらに向かってくるあの船は「しきしま」で、この世に二つないはずの同じ船が同じ場所で出会うのです #霧島組放浪記

2014-10-08 13:40:50
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

もう一隻の「しきしま」もこちらに気付いたのか、速度を上げて接近してきます。「あれは本当にしきしまなのか!?」「深海棲艦の罠なんじゃないかしら」「なら殺せばいいですね」「多聞丸」「先手必勝!今すぐ沈めようではないか!」「はい!榛名は大丈夫です!」「加賀さんペロペロ」 #霧島組放浪記

2014-10-08 22:41:55
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

珍しく主力級艦娘たちが口々に焦燥したような言葉を発しています。でも何か今関係ないの混ざってないか。 #霧島組放浪記

2014-10-08 22:45:56
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

そんなこんなしている内に、通信が入りました。『あーっと……えー、こちらは霧島組、遠征航海中の霧島組です。貴艦の停止を求める。繰り返す。こちら霧島組。貴艦、しきしまの停止を求める。返答がない場合や停止に応じない場合は即座に攻撃に移る。以上』 #霧島組放浪記

2014-10-08 23:42:14
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

通信はそこで一方的に切れてしまいました。声の主は若い女性で、どことなく妙高型姉妹に近い声をしていました。しかし何より興味深いのは、彼女が「霧島組」と名乗ったことです。よもや、偽物だとかそういうことであれば、霧島たちは容赦しないでしょう。 #霧島組放浪記

2014-10-08 23:51:39
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「私達に向かって霧島組を名乗った上に、『そこで停まれ』とは、中々度胸の据わってるじゃない……是非ともお相手してあげたいわ」静かな声で怒りと喜びに満ちた興奮を露わにする霧島。周りの艦娘たちに緊張が走るも、すぐに全員の口角がわずかに上がりました。みんな殺る気のようです #霧島組放浪記

2014-10-10 20:58:34
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

その間にも「しきしま」は迫り、もはや衝突を想定しなければならない距離です。「誰が停まってやるものですか」前方窓の前に仁王立ちしてそう吐き捨てた霧島に、榛名が並びました。「ぶつかったらどうするの?」「そのまま乗り込んで殴りこむのよ」「それは素敵です!」「でしょう?」 #霧島組放浪記

2014-10-10 21:20:26
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「さあ、やるわよ!総員艤装装着!甲板!」「了解!」十数名の艦娘の声が重なり、艦橋に響きました。「あ、もちろん司令もご一緒してもらいます」は?「囮です」は?「英語で言うならデコイです」は?「相手が何者でも、艦娘と深海棲艦が一緒にいたら驚くでしょうし」は? #霧島組放浪記

2014-10-10 21:51:25
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

そんなこんなで、ほぼ強制的に前部甲板に連れて来られました。潮風がやけにざわついているように感じます。そう遠く離れていない「しきしま」が何か動きを見せる気配はありません。このままでは確実に衝突します。というか霧島はそうする気です。霧島組によってまた船が沈みます #霧島組放浪記

2014-10-10 22:28:48
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

甲板上に集まったのは、やまとを除いた全戦艦娘、鳳翔以外の空母艦娘、妙高・高雄・利根型姉妹……軽巡・駆逐艦娘は一人も影がありません。その場の艦娘は皆、各々の主砲を構えて迫り来る「しきしま」を見据えています。接触まであと数分もないはずです。 #霧島組放浪記

2014-10-12 22:24:50
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

二隻の輸送船が舳先を交えるまでの秒読みが始まった瞬間、向かってくる「しきしま」は取舵をとり、衝突を回避する行動に出ました。しかし完全に回避するには接近しすぎていたため、正面衝突は避けられましたが船体の接触を招いてしまいました。大きく、しきしまがゆれます。 #霧島組放浪記

2014-10-12 23:01:38
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

こちらの右舷とあちらの左舷が触れ足下がぐらつきました。それでも顔を上げて「しきしま」を見ていると、接触の瞬間に向こうからいくつかの人影が飛び出したのが見えました。どうやら向こうもこちらと同じ考えだったようです。伊達で霧島組を名乗ったわけではないということでしょうか #霧島組放浪記

2014-10-13 00:06:36
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

威勢のいい着地音を立てて、我々のしきしまに乗り込んできたのは言うまでもなく艦娘です。見たところでは長門、陸奥、飛龍、蒼龍、大鳳の5人。恐らく主力級艦隊でしょう。こちらが負けることは無いでしょうが、厄介なことになりそうです。損害的に。 #霧島組放浪記

2014-10-18 23:32:45
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「戦艦長門参上!貴様らが何者かは知らんが、私達に歯向かうならば容赦はしない!」「貴様らこそ!霧島組の名を騙ってただで済むとは思うなよ!」むこうの長門が一番近くにいるこちらの長門を指さして見得を切ると、こちらの長門も負けじと応えました。すでに火花が散っています。 #霧島組放浪記

2014-10-18 23:35:53
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「まあまあ、落ち着いて」と双方の陸奥が長門を宥めたのは同時でした。やはり同じ艦艇の魂を持っているということでしょうか。もちろんそれに対する長門の反応も同じでした。「くっ……陸奥がそう言うなら……」と。しかし、そこである違いも存在しました。「……ん? あれは……」 #霧島組放浪記

2014-10-18 23:39:35
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

むこうの長門と私の目があったのです。「深海棲艦!それもフラグシップ級戦艦だ!」長門の叫びに向こうの艦娘たちは即座に注意を私に向けました。私の艦娘たちの視線もそぞろに私に集まり始めます。「貴様らは深海棲艦に操られているんだな!やはりこれは奴らの罠か!」 #霧島組放浪記

2014-10-18 23:42:42
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「まずは大将から仕留める!!うおおおおおおおおお!!」それから長門が鬨の声を上げながら私に向かって突撃してくるまでに1秒とかかりませんでした。反応が遅れた他の艦娘たちの脇をすり抜けて、数歩の助走の後に跳び上がり、一瞬で15m以上の間合いを詰めてきます。 #霧島組放浪記

2014-10-18 23:46:56
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

辛うじて目で追えるぐらいの速さだった長門の蹴りが、すぐそこまで迫った瞬間、私の前に一人の艦娘が現れました。その艦娘は空中で長門の足首を掴み、圧倒的な力を以って艤装を装着した超重量級の艦娘を振り回し、空に掲げるようにして逆さ吊りにしました。 #霧島組放浪記

2014-10-18 23:56:39
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「その程度の速さで、大和を出し抜けるとでも?」長門を捕らえた艦娘、大和は普段からは考えられないほど冷たい声で長門に吐き捨てました。「よくも提督に……!許しません!」「な、何が『提督』だ……それは、それは深海棲艦じゃないか……」苦しそうな長門を見ると目を回しています #霧島組放浪記

2014-10-19 00:01:08
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

「ええ。大和の提督は深海棲艦なんです。それが何か?」「深海棲艦は……敵だっ……!」「だから何ですか。深海棲艦は敵でも、提督は提督です」「狂ってる……!」「……霧島組、と言っておきながら、随分刷り込みに縛られているようですね」大和は長門から手を放しました。 #霧島組放浪記

2014-10-19 00:10:55
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

長門の身体が甲板に叩きつけられ、艤装が落ちた部分は僅かに凹んでいます。「砲撃戦ならいざ知らず、白兵戦でまで大和たちに敵わないようでは、あなた達のたかが知れているというものです」起き上がった長門は大和を、私を睨みつけていました。 #霧島組放浪記

2014-10-19 00:16:52
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

大和、その辺にしておけ……私がそう言おうとした瞬間、しきしまの甲板が大きく傾きました。どうやら面舵を取って再び「しきしま」と正面からぶつかる針路を取るようです。「くっ……これから私達の旗艦が乗り込んでくる。貴様と同じ大和の艦娘だ!」長門が吠えます。 #霧島組放浪記

2014-10-19 00:31:30
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

大和同士の衝突となれば、激しい戦闘は避けられないでしょう。まして長門と陸奥に強力な航空戦力の加勢付きです。今のうちに向こうの長門と陸奥だけでも潰してしまうのが良策でしょう。目配せで合図を送ろうと霧島の方を見ると、すでに彼女は長門の背後に右腕を突きつけ構えていました #霧島組放浪記

2014-10-19 20:44:05
日記をつけるフラタ提督@放浪中 @Adm_FS_TaClass

前方からは「しきしま」が先程以上の速力で向かってきていました。接触前に乗り移られる可能性も考えると、あと数十秒の猶予しかありません。やれ、霧島!「了解!」私が号令を下し、霧島の腕が変形し、砲火をあげようというその間際、私達は爆音を聞きました。 #霧島組放浪記

2014-10-19 21:02:32
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