「フジ・サン・ライジング」 #3

B・ボンド&P・モーゼズ作。ネオサイタマを舞台としたサイバーパンク・ニンジャ活劇「ニンジャスレイヤー」の私家翻訳物 詳細はこちら http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

影が目の前を横切り、反対側の壁際へ着地したとき、既にその二人のSPの命は無かった。首がぱっくりと割れ、噴水のように鮮血が噴出。天井を汚す。「スパシーバ!」影はディンタキに向かってゆっくりとオジギして見せた。ガンメタル色の……ニンジャ装束である!

2010-11-26 17:33:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アイエエエエ!」秘書が腰を抜かし、再失禁した。ニンジャはゆっくりとオジギを終えると、ロシア訛りの日本語で言った。「オーチン・プリヤートナ、ディンタキ=サン。サボターです。あなたここで死ぬことになっています」

2010-11-26 17:33:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ク、クセモノ!」秘書が叫んだ。ニンジャは一歩進み出た。そして言う。「イズヴィニーチェ。いいフートンでした。ディンタキ=サン、あなた、この女性のお話きかなければ、まだ少しダイジョブでした。でも、もういけない」聞き取りづらいロシア語訛りである。

2010-11-26 17:44:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

老ディンタキはさすが一代でショーユ・コーポレーションを築き上げた見上げた度胸、たった今おそるべきウデマエで二人のSPを殺して見せたニンジャを前に、毅然としている。「ソウカイヤか?ワシを消す算段をしておったのか」「ニェート」サボターと名乗ったニンジャは首を振った。

2010-11-26 17:49:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「私は念のため監視です。ダークニンジャ=サン、外でよく見ていたですね、あのときに。ゲイシャ=サン、ちょっとおかしいでしただから私、この機にハケンされましたということ。そしてディンタキ=サン見てましたら、ダークニンジャ=サンの心配通りです、接触されまして、これ、よくないですとても」

2010-11-26 18:02:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サボターのロシア風メンポの奥の暗い瞳に凝視され、女----添乗員に偽装したナンシー・リーは身を固くした。映像の最後に一瞬映ったニンジャ。あれが?不自然さを気づかれていた?ウカツ!

2010-11-26 18:14:35
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「スカジーチェ、バジャールスタ……」サボターはナンシーに問うた。「どうもあなた、シンジケートの周り、よくいます?でもデータベース時々不自然であなたの目撃の記録が参照されない。なんだかおかしいですね。でもあなたみたいな人の話が時々出ますし。あなた何ですか名前?」

2010-11-26 18:20:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!BLAM!ナンシーは答える代わりに、太腿のホルスターの拳銃を発砲した。迷い無し!おお、だが見よ、サボターを!「パンキ!」

2010-11-26 18:56:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サボターは両脚を前後に開脚して深く身を沈め、銃撃を難なく回避した。通常のニンジャが行うブリッジによる回避とは違う体系のカラテ動作だ。「ニェート!お話を続けねば。まずディンタキ=サンです。イズヴィニーチェ、話それてしまいました」

2010-11-26 19:05:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!BLAM!ナンシーが開脚姿勢のサボターへ再度発砲した。「パンキ!」だが、だめだ!驚くべき敏捷性でサボターは開脚姿勢から側転、銃撃をかわす。サボターはナンシーを警告的に指差した。「アスタナビーティシ!私のパンキドーに拳銃効かない。跳弾であなたたち不利です。まず話からです」

2010-11-26 19:19:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディンタキ=サンがナンシーに銃撃をやめるよう目配せした。ナンシーは舌打ちし、拳銃を構えたままサボターを睨んだ。サボターは頷いた。「バリショーイヤ スパシーバ。時間無駄ですからね。さて、ディンタキ=サン。お話続けます」茶の間には絶命した二人のSPの血の臭いが漂う。

2010-11-26 19:26:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「いいですかディンタキ=サン、あなたあのまま明日のカンファレンスでキロバキ=サン社長にしてインキョすべきだったでした。そしてそのはずだったでしたね。だからよくないですねこの今のあなた。だから、この、委任状書きますあなた。モージナ?」サボターはオリガミを広げて見せた。委任状である。

2010-11-26 21:48:04
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「これ文面、あなた譲るのこと全権をキロバキ=サンに。これにハンコつきますあなた」床がぐらりと大きく揺れ、機内アナウンスが行われる。「乱気流の近くを飛んでおりますため…」サボターは窓の外の空を見やり、「この後いろいろあって、私はこの乱気流抜けたらパラシュートします。委任状持ってね」

2010-11-26 21:54:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ロシア風メンポの奥でサボターの目が細まった。「ハンコ出してください、ディンタキ=サン」「……断る」「イヤーッ!」サボターが両手を腰に当て、イナズマのような速度で前蹴りを繰り出した!「アバーッ!」ディンタキ=サンの秘書が顔にパンキックを受け、首ごと真後ろに折れて死んだ!

2010-11-26 22:59:49
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

BLAM!BLAM!ナンシーがサボターを銃撃した。「パンキ!」サボターは両手足を大の字に開き、信じられない距離を横飛びしてそれをかわす!タツジン!パンキ・ジャンプだ!

2010-11-26 23:02:52
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「プロホー!やめなさい言っている!」サボターが叫んだ。「さあ、ディンタキ=サン、ハンコ押すしないと痛い目にあいます!」「……」ディンタキ=サンがサボターを睨み返す。「いまは私あなた殺す気ですがハンコ早く押せば助けない事無いかもしれないです。早くしなさい!」

2010-11-26 23:13:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(親愛なる読者の皆さん:翻訳チームがカキにあたっていたので昨晩の更新は停止していました。事なきをえましたので更新を間もなく再開いたします)

2010-11-27 19:32:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディンタキ=サンはサボターを睨み、せせら笑った。「知らぬ!さあ、どうする。ワシを殺すか?殺したところでハンコは絶対に見つからぬぞ」なんたる不敵!自らの命で綱渡りを行う腹である!

2010-11-27 20:07:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シトー?」サボターが暗く笑った。「なんとも意地悪いお爺さん。ロシア的ですとてもあなた。では私も隠しもの見つけごっこしましょう」サボターは懐から漆塗りの小型リモコン装置を取り出した。装置にはクロスカタナ・ロゴが描かれた円ボタンがついている。「シトー エータ?パニマーチェ?」

2010-11-27 20:25:57
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

サボターはリモコンを弄んで見せた。「パニマーエチェ?わかるようにしましょうそれでは。ハイ!」サボターは円ボタンを親指で押してみせた。

2010-11-27 20:28:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ねえ、お父さん、雲がぐるぐるしてるね!」モマメは椅子の上で膝立ちになり、窓の外をじっと見ては時々歓声を上げた。「どうして?」「これはね、乱気流っていうんだ、すごい嵐の雲なんだよ」「あ!カミナリが光ったよ!」「怖いねえ」「こわくない!」モマメは魅せられたように稲妻を見つめている。

2010-11-27 20:39:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「こわくないよ!お父さん私がこわくないしてあげるからね!」スナバは苦笑した。身を乗り出し、モマメの後ろから窓の外を見やる。旅客機の翼が見える。雄々しいものだ……。

2010-11-27 20:54:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その翼が光を発し、機内にまで届く轟音とともに煙を吹き上げる!ぐらりと傾く機体!「アイエエエエエ!」「アーアイエーエエエエー!」「なんだ!何が起きた!」機内が騒然となった。スナバは反射的にモマメの頭をかき抱いた。

2010-11-27 21:01:39