バトルシップコレクション・フロムアニメイションレプリカ#5 【プラウド・ウーマン・イッコーセン】

カンムスが出て殺す! このツイートードラマは『艦隊これくしょん』及び『ニンジャスレイヤー』をリスペクトしたファンジン物語であり猥雑は一切ありません。 前話な http://togetter.com/li/781569 次話な http://togetter.com/li/786413
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tagiri@艦殺SS @tagiri_888

バトルシップコレクション・フロムアニメイションレプリカ#5_【プラウド・ウーマン・イッコーセン】

2015-02-06 08:13:31
tagiri@艦殺SS @tagiri_888

W島近海域の海は穏やかに凪ぎ、緩く寄せては返す波がボンズのドッキョめいたシンピテキを放つ。しかし、そこに響くのはガイオンショージャの鐘ではなく、砲撃音と魚雷発車音だ。奏でるのはグリズリー率いる新生第四水雷戦隊と、半ば人型を保つ異形のクチク級深海棲艦。01

2015-02-06 08:18:46
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スイボクピクチャめいて色素のない深海棲艦の姿は、内から放たれるセンコめいた輝きに照らされ、凶々しきオバケ・アトモスフィアを漂わせる。半身をクリーチャ顎に飲まれた少女の面影に、ジャニワリは覚えがあった。「フェブラリ=サン!」呼び掛けに返される深海棲艦の無慈悲砲弾!「ンアーッ!」02

2015-02-06 11:24:18
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なんたるクチク級にあるまじき大口径主砲の高火力砲撃か!ケイジュン級ですら致命傷を負うヤバイ級一撃!しかしジャニワリはかすり傷。何故か?状況判断である。かの深海棲艦の砲撃には予備動作があった。前髪を払い視界を確保する、フェブラリと同じ癖。それがジャニワリの回避動作を速めたのだ。03

2015-02-06 11:29:14
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「畳み掛けるクマー!」グリズリーの号令一下、四水戦が連携して砲撃を集中!さながらオダスナイプチームのサンダンウチメソッドめいた鋼の雨!しかし半人の深海棲艦はまるでその戦術を知っていたかのようにその連携攻撃を回避!「フェブラリ=サンの記憶が残ってるって仮説は当たりかもクマ」04

2015-02-06 11:35:25
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互いが互いの手の内を読みあい、決定打を与えられぬサウザンドデイウォー!だが、無尽蔵ともいえる継戦能力をもつ深海棲艦に対して四水戦の弾薬は有限。ジリー・プアー(注:徐々に不利)だ。「ダイニジュウイチクチクカン!」「ンアーッ!?」ジャニワリ小破!グリズリーがカバーに割って入る!05

2015-02-06 11:46:20
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「退却も手クマ。侵食が進んでハンナリになれば彼女の記憶と一緒に戦闘経験も失われるかもクマ」「悪い冗談にゃ」「兵装実験艦としても、フェブラリ=サンに噛みついてる艤装に興味があるし」グリズリーの提案を四水戦のメンバーが一蹴する。「物好きが多いクマー」「楽しそうにゃ、姉さん」06

2015-02-06 12:04:50
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ジャニワリは艤装の状況を確認しつつ、先任カンムスらの言葉を頼もしく聞いた。彼女は、深海棲艦に呼び掛けた。「大丈夫」フェブラリ=サン。あなたには待っている人がいる。「帰ろう」私と。私たちと。「繰り返すだけが……っ」艤装が熱を帯びジャニワリを苛む。これ以上言うなと警告するように。07

2015-02-06 12:55:01
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「あの日を繰り返すだけが、重ね続けることだけが!」ギョライダート再装填!「私たちの意味じゃない!」だが発射管不発!艤装がジャニワリの言葉を阻害するように操作不能に!艤装にオバケめいた輝きが宿っている!「ふざけないで『睦月』! わたしは、フェブラリ=サンと、帰るんだから……!」08

2015-02-06 13:02:22
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「本日をもって三水戦は解散。各員新たな部隊に配属となる。質問は」執務室に集められたブリザードら第三水雷戦隊は、秘書艦から一方的に言い渡された。隊長のサイキックが問い返す。「ジャニワリ=サンがこの場にいませんが」「彼女は一足先に新生第四水戦に配属された。遠征任務に従事中だ」09

2015-02-06 18:23:36
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「四水戦はどちらへ」「軍機だ」「この時期の編成の意図は」「軍機だ」「三水戦に落ち度でも?」「それはない。ビッグセブンの名にかけて、私が保証する」「……恐縮です」ブリザードは突然の指令に混乱しながら、隊長と秘書艦の応酬を見守った。いつもは賑やかなサイキックの姉妹も黙して語らぬ。10

2015-02-06 18:31:45
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サイキックは再編成の指示自体には異議を申し立てなかった。チンジュフベースは軍事機関。ネンコと階級は絶対である。一人欠けた三水戦はケイレイをすると隊長のサイキックを残して退室した。「損な役回りをさせる」「お互い様でしょう。辛くないですか?」「それこそ軍機だ」秘書艦は笑った。11

2015-02-06 18:44:05
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「それで、ブリザード=サンだが」二人きりの部屋で、秘書艦はサイキックにチャを勧める。サイキックはおくゆかしく固辞した。「強力なソウルの励起が確認されたそうですね」「アダマス=サンの見立てでは『先』に至る見込みあり。おまえ達姉妹、スコール=サンに続く『候補生』だ」「なるほど」12

2015-02-06 18:53:03
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「それで、提督の仮説は立証されたのですか」「そのための四水戦だ」「ジャニワリ=サンには辛い思いをさせますね」「カンムス、ハシヒメ、ハンナリ。グンカンソウルが繰り返す三拍子を、我々はどこかで断ち切らねばならんのだ。提督の予測が正しいのならば」「……はい」13

2015-02-06 19:02:00
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突然の艦隊解散。ブルースカイサンダーのコトワザめいて、あまりに脈絡のない配置変え。ブリザードは様々な記憶と思考を巡らせながら、第三水雷戦隊最後の夜を過ごしていた。配属。友人。初陣。憧れの先達。特訓。勝利。別離。喪失。暴走。沈静。短い中で、ブリザードは多くを経験した。14

2015-02-08 00:20:43
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アダマスとの作戦の中で、自らを襲った謎の高揚と、ソーマト・リコールめいたフラッシュバックを思い出す。それはひどくおぞましい感触だった。戦場のアドレナリン過剰放出によるバッドトリップ。ブリザードはそう結論づける。もしこの部隊での経験がなければ、彼女はそれに溺れていただろう。15

2015-02-08 00:24:38
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大切なはじまりの部隊。だが、ジャニワリの轟沈を機にぎこちない関係となったまま、フェブラリが去り、そして今、部隊そのものもばらばらになろうとしている。そんな中で、もしもまたあのような感覚に襲われたとしたら。ブリザードの思考にネガティブなものが混じる。16

2015-02-08 00:27:10
tagiri@艦殺SS @tagiri_888

フートンを抜け出し、ブリザードは部屋を出た。動けば少しは気が紛れると思ったのだ。足はいつしか、港へと向かっていた。夜の海は静かで、全てを飲み込んでしまいそうなアトモスフィアを漂わせていた。全ての生命が来りて還る場所。カンムスの戦場にして、深海棲艦の領域。17

2015-02-08 00:30:35
tagiri@艦殺SS @tagiri_888

この水平線の果てで、フェブラリは沈んだ。この水平線の果てでジャニワリは、戦っている。ブリザードはふと空を見上げた。海と同じ色をした暗い空。空に沈め。海に昇れ。あるべき場所へ。あるべき戦場へ。おかえり。おかえり。呼ばれている錯覚。「ブリザード=サン。ちょっとあぶないっぽい」18

2015-02-08 00:34:15
tagiri@艦殺SS @tagiri_888

反転した感覚が元へと戻る。いつの間にか、港から海へ足を踏み出そうとしていたブリザードの腕を、スコールが掴んでいた。何をしていた。艤装がなければ、カンムスとはいえ海に沈むしかないというのに。「……大丈夫っぽい?」「ありがとう。スコール=サン」19

2015-02-08 00:40:16
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「ジャニワリ=サンが心配?」スコールの後ろから声をかけたのは、第三水雷戦隊旗艦のサイキックだった。「みんな、考えることは同じですね」「私は夜型だからいつも通りだけどな!」「センター=チャンは千秋楽をきちんとやるためだよ。アイドルはこういうところきちんとしないとね!」20

2015-02-08 00:43:55
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「ジャニワリ=サンは大丈夫。悖らず。恥じず。憾まず。あの娘も、水雷魂の持ち主ですから」サイキックは水平線を見やった。ブリザードは、ふと浮かんだ疑問を投げかけた。「水雷魂って、海軍五省が元ですか?」「よく勉強していますね」「座学は得意なので」「まあ」サイキックは笑った。21

2015-02-08 00:47:57
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海軍五省。カンムスらが宿す力の元となっている艦が所属していた古の海軍において、士官育成のために示されたコトワザである。「確かにこの言葉はかの訓のレプリカ。けれど、かつての戦いの中で生まれたものでなく、私たちが自分たちなりの言葉にしたということが大事だと思うのです」22

2015-02-08 00:52:31
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