黒バスプラスまとめ　～2015-02-28 23:54:38

💍 @0left_fe

【氷室】最大の愛、友のために命を捨てること。手のひらに収まるサイズのその本を開き、きみは難しい顔をする。「オレはきっと、…足りないんだ」「そんな、」「そんなことないって、きみだけは言わないでくれ」もっとやれると言ってくれ。慰めでない本当をと、あなたに特別を求められるのは苦しいよ。

💍 @0left_fe

【氷室】門を叩けと書は語るが、神様はあなたに、あなたの望む才能を与えなかった。「もう随分長く叩いてる。…オレには開かれないことも、知ってる」でもそんなふうに割り切って、乾いた大人になるのは嫌だと。欲しいものは欲しいって、「…諦めたくないんだ」わたし、あなたの戦う背中を見ているね。

💍 @0left_fe

【紫原】世界の始まりを二回描いた不思議な読み物、今日も真実のような顔をして薄い紙に混沌を詰めている。「そんなもの、食べられないじゃん」ぱたんと音を立ててそれを閉じ、ぽつんと寂しげに揺れる思春期が愛おしい。「じゃあ、紫原くんが食べてよ」わたしのことを頭から、それが愛だというのなら。

💍 @0left_fe

【木吉】「そのまま聞いてくれるか」視界の半分は揺れるカーテン、きみの切り出した只事でない雰囲気を察してわたしは振り向けずにいる。「きみのことを大事にする権利をオレにください」すきだ、きみの選んだ言葉が刺さる。「…等価交換、ね」約束、わたしをきみだけの恋人にしてよ。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【灰崎】ただいまもおかえりも言わないのは、その言葉が捉えるなにかが怖いから。「…いるの」「おう」短く交わす言葉の欠片を、繋ぎ合わせて鎖にしたい。「今日、なんの日か覚えてる」面白がるような口調、本心は巧みに隠す。「さあ、忘れた」きみがいれば、毎日特別だって笑うかな。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【日向】紙を開くと飛び込んできた、『違う委員会の人』の文字。え、と動きを止めた私を、きみは顰めっ面で急かす。「おい、」「わ、私と」はしって。言葉がうまく出てこなくて、思わず体育委員と書かれた腕章を引っ張った。「…わかった」ぎゅん、走り出した借り物競争、世界から音の消える音がした。

💍 @0left_fe

【木吉】改まった顔をして受け取ってくれと言った声を思い出す。ころんと手の中で転がるボタンは、高校生のきみが身につけていた大事な制服のそれだ。指輪は、まだやれないって言ったけど、絶対笑うからきみには内緒だけど。あの日からずっとわたしのお守りなんだ。「…行ってきます」 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【木吉】机の下でそっと絡めた指先は、なにを訴えているのだろう。黒板を睨み右手のペンは忙しなく、どうしてを跳ね返すだけの横顔に首を傾げた。わたしはきみではないからきみの全部はわからない。でも知ってて駄々をこねるきみのワガママが嬉しいから、これは多分恋の話なのだろう。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【緑間】「ここまででいいよ」と改札前で笑って、わたしはきみと違う道を選ぶ。見上げて立ち止まってしまうのが怖くて、その靴紐ばかりを見つめていた。「あの、先輩」オレは、いまでも好きです。袖の端にきみの指のつくるみっともないシワを目にしたとき、未練は頬を伝って落ちた。 #黒バスマイナス

💍 @0left_fe

【古橋】目覚めた頭に飛び込む難題、左薬指にプラスチックの安っぽさ。「起きたのか」「あ、うん」ねえこれと問う前にきみは唇をそっと動かす。「オレの、配偶者になってくれ」薄暗いごっこ遊びみたいなプロポーズは、それでも15のわたしたちを、恋人ではないなにかにした、はずだ。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【木吉】出会えて良かったとか悪かったとか、まだ全部途中だからわからない。人生だって、きみとの恋人生活だって。「難しい顔してる」「人生の難問にぶち当たって」そりゃつれえなと取り合わぬ顔、まあ頑張れと撫でる大きな手。三秒先がわからなくても、わたしは確かにきみがすきだ。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【赤司】やめますと告げると「僕に聞かなくても、好きにすればいい」と一言、突き放すような言葉が刺さる。離れるなと言えないのは、その矜恃ゆえ？諦めゆえ？「マネージャーじゃなくて、赤司くんの恋人になりたいの」すきですと頭を下げて聞いた、きみの息を飲む音はきっと忘れない。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【古橋】 きつい香水の匂いに耐え、何度も手に取った小さな指輪。らしくなさは重々承知だが、秋の何てことのない一日に、感じた特別を形にしたいと思った。「誕生日、おめでとう」驚きに見開いた目をそのままに、唇を重ねるのだってらしくないが、「…ありがとう」悪くないから、戸惑ってしまう。 1

💍 @0left_fe

【木吉】あの頃の思い出の中にはいつも、ひとりの背の高い男の子が立っていた。気が優しくて力持ち、そんな印象の傍らに、名状し難い不透明な不安定を抱えた不思議なひと。「一期生会やるんだって」来るだろうかと咄嗟に思い浮かべるくらいには、まだ過去になりきらないすきなひと。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【伊月】「一期生会やるんだって」オレがきみを思い切れないから、楽しげな声はどこにいても届く。慣れたふうにまたかとひとりぼやき、心揺らす声を背景に昼飯を選ぶ。「何にすんの」「うどんかな、日向は？」何気なく半身で振り向いて、背を向け歩き出したきみの背中を見つめている。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【日向】「一期生会っつーか同窓会だよな」「まあ」早いなと呟きながら、頭では別のことを考える。卒業して二年目、最後に会ってから二年目。「みんな元気にしてるかな」「…ああ」頭の中が読まれたかと思った。連絡先すら聞けなかった、忘れられないすきなひと。元気に、してますか。 #黒バスプラス

💍 @0left_fe

【木吉】お前のことがすきだった。吐いた息と進む時間、針は巻き戻らない。「気がついてなかったか」ときみが笑うと、変わらず滲む諦めに胸がずきりと痛み出す。「言ってくれたらいいのにって、ずっと思ってたよ」けど、でも。わたしたちはもう逆接でしか繋がれないとわかっている。 #黒バスマイナス

💍 @0left_fe

【灰崎】足の甲を愛しむように撫でると、おまえは怪訝なかおをした。わからないだろう、こうやって触れることがどれだけ怖くてどれだけ幸せで、どれだけおれがおまえをすきか。「ねえ、ショーゴ」焦れて甘えた声をあげて、続きを強請る軽い女。タイムリミットはあとすこし、お迎えバスならおれに来い。

💍 @0left_fe

【木吉】鼻の奥がつんと痛んで、それからぶわりと視界が潤んだ。きみは抱えた荷物を投げ捨て、最強のCとしてコートに立つ。わかるよきみをずっと見てた。ねえきっとこの思いは届かないから、好き勝手を言わせてね。こんなに可愛いカントク泣かせてそれでも追いたい、ならもう、止めないから、勝って。

💍 @0left_fe

【木吉】「なに見てるの」「笑ってたから」きみが誤魔化しもしない恋心はなお、きみへのすきを閉じ込めてくれない。「言わないつもり」「困らせちまうよ」あの子を見つめるきみの横顔は切なくて優しい。それをあの子が知らないってことに、少しだけ感じる哀しい悦びを許して欲しい。 #黒バスマイナス

💍 @0left_fe

【木吉】ネクタイを緩める手を見慣れないと思った、多分それが全てだった。「久しぶりだな」「…うん」指輪はナシ。ちらと視線を走らせてから嫌になる。 「付き合ってる、ひととか」「いたら二人でなんて言わないさ」オレたち、やり直せないかな。酔うはずのない量だと、お互いがお互いを知っていた。

💍 @0left_fe

【山崎】秋の夕暮れと各駅停車、最高潮のセンチメンタルを乗せて列車は走る。「なんだ、眠そうだな」やさしい手が、当たり前のようにわたしの手を包む。それをあたたかいと思えるのは、二人が違う温度を纏っているからか。「…わからないでよ」これからもこれまでも、二人はきっとひとつにはなれない。

💍 @0left_fe

【桃井】すきな人のすきな人は、とは如何にも使い古されたキャッチフレーズ。二人のことがすきだから、苦しくないと思っていた。「さつき、結婚、おめでとう」わたしはただの子供だった、誰よりもきれいなあなたが眩しかった。「来てくれて、ありがとう」嗚呼初恋よさよなら、ドレスは嫉妬で汚れない。

💍 @0left_fe

【木吉】部員とマネージャーから一足飛びでキスをして、恋人になって、だからもうそれ以外の形がわからなかった。「お前の結婚式には、呼ばないでくれ。」二人納得してお別れを決めたから、泣き言は言わずにいようと思ったのに、相変わらずきみは土壇場でずるいひとで、そういうところもすきだった。

💍 @0left_fe

【氷室】心に形があるのなら、わたしのそれはきっと尖っている。温厚に見せかけ、られるのは知人まで、当然恋人もそれと知る。「かわいくないってきみは言うけど、」長い睫毛のつくる影が揺れて、あなたは笑う。「きみのかわいいところは、オレだけが知ってる。」なんでそんなに幸せそうなのよ、もう。