映画「幕が上がる」を観て ~舞台という麻薬と演劇界~

高校時代、演劇部だった私が、映画「幕が上がる」を観ていろいろ思ったことをまとめてみました。偏った知識などあるかもしれませんが暖かく好意的に観ていただけると幸いです。
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アニバニア @anivenir

まあ、とりあえず観に行ってください。どんな面から見ても素晴らしい作品ですから。そしてちょっとでも興味持ったら、小劇場、行ってみてください。 意外とたくさんあるんですよ。なんてったって、「見たい時にいつでもどこかしらで舞台を演ってる世界唯一の街、東京」って言われてるんですから。

2015-03-01 01:47:37
アニバニア @anivenir

昔、演劇部地区大会の講評で、「芸術学部への進学希望を教師としてどう受け止めればいいのか」という質問への審査員の言葉を最後に。 「説得くらいで止められるんならとっくにみんな辞めてるだろう。止められないからここにいるんだ。この子たちも、俺も」 舞台に立つとは、そういうことなのです。

2015-03-01 01:57:33

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ここまで2/28の公開日すぐのツイートです。

ここからは翌日に更にツイートした文です。
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アニバニア @anivenir

東京に行った先輩の話。彼女は、主人公の懐かしい顔を見て、涙を流していた。東京で一人で役者の現実と戦った彼女にはふさわしい涙だと思う。けれども、彼女はまだ幸せなのだ。だって、アゴラ劇場へたどりつくことが出来る才能を持っているのだから。そうじゃない人はどうやって俳優になるか。

2015-03-01 10:53:06
アニバニア @anivenir

俳優、声優の養成所、というものがあります。詳しくは、ご自身で検索してみてください。私は、このビジネスモデルは悪くはないと思う。恩恵を得ている人がいるのは事実ですし。

2015-03-01 11:00:47
アニバニア @anivenir

ですけど…私の友人に、こんな子がいました。もう、働いても働いても養成所のお金で大変で、働けばレッスンが出来なくて。もう、養成所には、いられないから、東北に帰る。そういってお別れをした子がいます。

2015-03-01 11:02:30
アニバニア @anivenir

東京にいれば、お芝居なんていくらでもやりようがある。けれども、養成所はその「やりようがある」舞台よりも更に輝く場所へ行けるかのような錯覚に陥ってしまい、うまく行かず、演劇自体嫌いになってく人も何人かみました。もちろん、本人たちに難があるのも事実なんですが。

2015-03-01 11:05:08
アニバニア @anivenir

もしくは、何年もレッスンしてどんなにうまくても、上手く運をつかめずに、結局はボイストレーナーになった声優の卵も会ったことがあります。 前述のループに更にお金という要素が加わって、今演劇や芸能を志す人達にとっては、大変苦しい時代になのです。

2015-03-01 11:09:29
アニバニア @anivenir

だからこそビジネスモデルから抜けだして純粋な演劇に力を注げるあのアゴラ劇場とは、見る人によっては聖地なのです。高校演劇の先にある様々な道の中でも最も理想に近いルートにアゴラ劇場があると行っても過言ではありません。けれども、そんな中でも先輩は涙をこぼす。役者の道の険しさが伺えます。

2015-03-01 11:13:09
アニバニア @anivenir

輝く新宿副都心高層ビル群のシーンは、美しくも切なく恐ろしいのは、それだけ彼女たち、いや私達にも多くの道があり往く場所があり、そしてたどりつく頃にはまた次なる場所が姿を現す…あのセリフを視覚的に表したからだとも思うし、東京には輝くスターたちがいることの比喩でもあるからなのだと思う。

2015-03-01 11:27:56
アニバニア @anivenir

そういえば、ももクロがこの話に主演すると聞いた時、知人の中には不安がる人が何人かいた。本当にアイドルで大丈夫なの?と。 それは、初日に見てきたものとして僭越ながら申し上げると、太鼓判を押そう。大丈夫。むしろ彼女たちでなければ出来なかった映画にきちんとまとまっている。

2015-03-01 11:32:28
アニバニア @anivenir

私が思うに、アイドルと舞台演劇って似てるんじゃないかな。同じステージパフォーマンスだし、一瞬のステージに全力をかけることには何も変わりはない。だから、相通ずる物がありももクロの皆さんもそれを自然と会得してる。アイドルとしての活動で得たものが、アイドルではないところで活きている。

2015-03-01 11:35:55
アニバニア @anivenir

自身のアイドル活動自体をドキュメンタリーという形でドラマにしたAKB48と、舞台に立つことの喜びをアイドル以外の形で伝えたももクロ。そこに優劣はないけど、けれどもアイドル映画の枠を飛び越えた、という点では幕が上がるは大きな功績があると思う。AKBは逆にアイドル性を高めてる。

2015-03-01 11:43:12
アニバニア @anivenir

そして、もし仮に、本当にこれが平田オリザ氏からの「演劇への招待状」なのだとしたら…。 ももクロの起用は、平田オリザの意図しないところで大きな意味を持つように思う。 原作は映画の後に買ってまだ途中までしか読んでないが、大きな改変がされたことが散見できる。

2015-03-01 11:52:40
アニバニア @anivenir

「高校演劇のシステム説明描写の減少」と「よりももクロのメンバーへ寄り添う設定へ変更」、というのが2つの軸でしょうか。 まず前者。前者は、映画にするにあたって物語性を高めるために、省略せざるを得ない部分だった。けど、それでは演劇へのお誘いとしての力も弱くなる。

2015-03-01 11:58:30
アニバニア @anivenir

そこで、その分を取り返す、いやそれ以上にするための配役として、アイドルであるももクロが選ばれた、というのはなんとも妙手だったように思います。アイドルなら多くの人の目にも止まるし、それにももクロの自由なパフォーマンスがあったからこそ、俳優としても存分に発揮できた。

2015-03-01 12:01:25
アニバニア @anivenir

非常に悪い言い方になるけども、「ももクロの名前につられて観てみたら想像以上に演技も上手くて、いつのまにか演劇の魅力に取りつかれてしまった…」なんて人が出てくるんじゃあないかな。説明は省いたけどももクロを起用することでドラマ性を高めた。演劇界へ連れ込む罠として存分に機能すると思う。

2015-03-01 12:04:40
アニバニア @anivenir

ラストシーンの、舞台へ立つときのあのきらめきは、彼女たちがアイドルの活動を経て、俳優となったからこそのきらめきで、普通の俳優では出せなかっただろうと思う。

2015-03-01 12:09:30
アニバニア @anivenir

というか、私元々このアカウントではアイマスPなんですけど、絶対アイマスPの皆様もハマる人多いと思います。アイドルマスター好きな方もぜひご覧ください、幕が上がる。

2015-03-01 12:11:14
アニバニア @anivenir

モノノフさんの皆様には、この映画を通じて演劇に興味を持ってもらえたらな、って思います。そして演劇というものをよく知ってもらえたら…。その時に、この映画はきっと化けます。好きなアイドルの素晴らしい青春映画、からより重みを増したものに。その瞬間の衝撃を味わえる方が羨ましいです。

2015-03-01 12:21:39
アニバニア @anivenir

最後にちょっとだけネタバレと、私のことを書かせて下さい。 彼女たちは終盤、ショックな出来事に翻弄されます。その後に彼女たちは大会への心持ちをいかに固めたか。 …高校3年生の私も、全く同じことを台本に書いていました。いろんな不安があっても、それでも私達はーーと。

2015-03-01 12:29:55
アニバニア @anivenir

でもいつのまにか私は、その頃の気持ちを忘れていたんだな、と。 吉岡先生と同じように、気付かされてしまった。 だから、ほんのちょっとだけ前を進んでいた者として、 そして、また進もうと背中を押された者として、書き残したいことがある。

2015-03-01 12:32:10
アニバニア @anivenir

宇宙をどんなに進もうともその端は何倍もの早さで遠ざかる。世界はきっと、私達が思っているよりも広く、そして私達はちっぽけだ。 それでも、歩くんだ。前に進むことをやめてはいけない。 どれだけ自分が小さいと知ったって、歩くんだ。 私達のいる場所はいつだって、「かつての宇宙の端」なんだ。

2015-03-01 12:38:51