ヒルダお誕生日裏設定

浅尾祥正@主にLoVなアカ @10sbear

26.叔父と団長の異様な雰囲気に、洞窟内の空気が凍りつきます。 「意味などどうでもいい…　あの少年はどこだ」 「やっぱりそうか…　ヒースランドさん――あの怪物たちは“赤い目の子供”を探してるんだな」 ――フン…やはり人間とは斯くあるものか。 ビクッとする少女。　#lovfan

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27「お嬢ちゃんの目を見た時ピンと来たんだ　辺境の傭兵団なんて幾らでもいるのに　あんたはあえて俺たちを指名した――あんた　あの時　紹介所でバルドのことをじっと見てたな…この洞窟の準備といい――あんたはこうなる事を知ってた　違うか？」 どういうことだ――騒つく洞窟。　#lovfan

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28.叔父が虚ろな目で語り出します 「…これはヒルダが予言したんだ　この子の占術は本物だ　…あの時確信したんだよ――この子は　自分の親の死も言い当てたんだ」 「チッ　そういうことか…」 「だから私は中央都に　ヒルダの予言を送った　この村が怪物に襲われるという予言だ」#lovfan

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29「この予言が成され　予言により無事我々が生き延びれば　ヒルダの力は認められる　私達はこんな田舎で終わる血筋じゃない　この子の力があれば　ヒースランド家は　再び宮廷に帰り咲き　再興を果たせるんだ　なぁヒルダ　お前は――」 ――ダメ…やだ…言わないで…　#lovfan

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30「お前は言ったよな　『赤い瞳の子供を探して怪物が来る…子を捧げなければ大勢死ぬ』と…さぁ　あのバルドとか言う子供を渡せ…あの子を…赤い目をもつ子供を差し出せば皆助かるんだ！」ざわめく村人達。 「…下らねぇ　胸糞悪ぃ話だぜ」団長は苦々しい表情で剣を抜きました　#lovfan

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31「つまりあんたは　バルドをご自分の夢の為にバケモノの贄にしようとしたって訳だ　だがね　本当に赤目の子を差し出せばいいのなら――この子でもいいんだろ？」 少女の首を掴む団長。 「…その子を…ヒルダを生贄にすれば……助かるのか？」 憔悴しきった目で立ち上がる村人達　#lovfan

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32「違う！殺すなら傭兵のガキだ！ヒルダとは価値が違う！」剣を抜く傭兵達 「それはあんたにとっての価値だろ　あいつは俺達全員の息子だ　やれるものかよ　俺達は何度も手を汚してきてる　これくらい訳ねぇさ…生贄はこの子だ」 団長はそう威嚇しながらもそっと少女に囁きました　#lovfan

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33「嬢ちゃん　悪いな…黙って死んでくれとは言わねェ　できれば　死ぬ気で抵抗してくれ…それで嬢ちゃんが生き残ったら――あいつを頼む」 自分を利用するために他人を殺そうとする者、その者を護るために自分を殺そうとする者――いったいどうして…打ち震え、強く目をつぶる少女　#lovfan

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34――さもしいな…もう、限界だ 「ダメ…　ダメだよ…」 ――俺を“使え”。俺は“二度”もお前を失うのはゴメンだ。お前はいいのか？ここで死ぬのか？生きることを諦めるのか？ 「わたし…わたしは…」 ――簡単なことだ。こいつらも、お前も、神や魔であってもそれは変わらぬ　#lovfan

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35――それは全ての者に与えられた権利だ。挑んだ者のみが勝ち得るものだ。さぁ言え。ならば俺は力を貸そう…オレを、解放しろ！ その場所に正気は存在しませんでした。飛び交う怒号…それぞれの主張を巡り、殺し合う人と人…少女に伸びる無数の手、手、手。 「わたしは――！！」　#lovfan

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36.何かを呟く少女――瞬く閃光、吹き荒れる風、そして、静寂。そこには美しい銀のたてがみ持つ、漆黒の魔狼が立っていました 「――了解した」 魔狼の咆哮に、山が震えました 暫くして、異変を感じとり駆け付けた少年が洞窟で目にしたもの――それは、おびただしい数の死…　#lovfan

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37.そしてその中でただ一人、赤く染まり、呆然と立ち尽くす少女 少年の絶叫が木霊し、その声に反応した少女が後ずさります 「……なぁヒルダ…いったい…何が…」 少女は震え…絞り出すように何かを言おうとしましたが、その口からはヒューヒューとかすれた息が漏れるのみでした　#lovfan

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38.その時、異変に気付いた怪物達の行軍の音が近づいてきました。少年は少女の手を取り走り出します「ちくしょう…誰がやった…団長…みんな…なんで……オレが　オレが絶対仇を…絶対…殺してやる…！」虚ろな思考で少年の呪詛を聞く少女。その耳に、魔狼の声が聞こえてきました　#lovfan

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39――お前は生き残った。そいつも生き残った。悔いるな、それが全てだ。 しかし、少女にはその言葉の意味も、今の状況も、何も理解する事ができず、只々自分の腕を掴む少年の手を見つめる事しかできませんでした 自分という罪に、いつか罰を与えるであろう少年の手を――fin　#lovfann