物語と世界観

物語と世界観、ストーリーテリングとデザインの違いと関係についての思いつきつらつら。
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雪見バーガー @H926

手塚一郎『最後の竜に捧げる歌』のあとがきに、この作品の目的の1つは世界を描くことだった、みたいなのがあって、ようするに本作以外の創作やゲームにも使える、例えば『指輪物語』における中つ国のような(シェアード)ワールドを小説という形で提供したかった、ということだと思うのだけれど、

2015-01-29 20:47:22
雪見バーガー @H926

それを目的だと後書きで明言しなければならないくらいには、「世界を描く」ことって、小説、物語創作上の目的ではないことの方が多いのですよね、きっと。物語における世界というのは、お話を成立させる為の舞台装置に過ぎない。極端な話、状況と意味さえ伝われば書き割りでいいわけです。

2015-01-29 20:55:17
雪見バーガー @H926

ジャンルは違いますが、演劇の舞台上には完全な物語世界やその再現は必ずしもは要らないってことですね。それがあるという役者の演技と、それを信じる観客の納得があれば、セットや衣装、大道具や小道具は必要十分な情報量で構わない。「世界」はシーンを、物語を成立させる分だけあればいい。

2015-01-29 21:05:13
雪見バーガー @H926

極端に言えばそのような場合、「物語」が主で「世界」は従です。「物語」の為に「世界」は幾らでも都合よく書き換えられますし、意味さえ伝われば時代も場所も登場人物もリアリティレベルも変更して構わないわけです。必要ならばどんなSF設定も神様や奇跡だって世界に存在し得るのが物語(主)です。

2015-01-29 21:14:54
雪見バーガー @H926

「物語」が主で「世界」が従である作品に於いては、それらはある意味で不可分です。世界は物語を成立させる為だけにしか存在しない為、物語のないところに世界はなく、世界のあるところには必ず用意された物語があります。脚本に存在しないシーンにはセットも最初から存在していないのです。

2015-01-29 21:24:51
雪見バーガー @H926

そして多分、一般的にはそういう風に「物語」の為に「世界」は描かれるのであって、「世界」の為に「物語」を描くっていうのは、イレギュラーな方式ではあるのだろうと思います。二次創作とか、『FSS』なんかはその、世界が主で物語が従な感じではありますが。

2015-01-29 21:34:22
雪見バーガー @H926

目的がなんであれ、物語に従属する為だけのものではない、その物語と切り離されても確固たる「世界」が意識的にしろ無意識的にしろ描かれた作品というのはあって、そういう作品が与えてくれるものやその楽しみ方というのは、一般的?な物語の受容の仕方、楽しみ方とは多分またちょっと違うのですよね。

2015-01-29 21:50:19
デス原子力塩太郎 @pmx003_the_o

世界観世界観っていうけど、「地球連邦政府」とやらの実態がロクロク設定されない状態でもリアルな世界だっつって35年商売出来るんだから、別に作品上必要なければ設定する必要なんぞないんですよ。必要ないものを「出さない見せない語らない」ことが重要。

2015-02-09 15:44:15
雪見バーガー @H926

ある種の作品に於いては物語と世界観は切り分けることが可能だし、それぞれ別々に評価されることもある。原作は見ていない・知らないけれどプラモや玩具を単体で気に入りそれだけを買い集めるというのは割とある話(そも最初から原作が流れてこず、二次商品だけが店頭に並ぶことは田舎ではよくある)。

2015-02-09 20:01:48
雪見バーガー @H926

ある種のSFやメディアミックス作品を除けは、世界観を提示すること自体が主題である物語作品というのは余り無いように思う。世界観とは物語に従属するものであって、物語に必要な背景や状況、主題を描く為の道具として設定されているように感じる。 twitter.com/H926/status/56…

2015-02-09 20:10:47
雪見バーガー @H926

作品が”必要ないものを「出さない見せない語らない」”ことが出来るのは、世界観が物語に従属するものであり、主題となる物語を演出するものであるからだが、受け手が物語が必要とする以上に世界観を気にしてしまった場合、物語そっちのけで世界観に夢中になってしまった場合は、そうはいかなくなる。

2015-02-09 20:18:38
雪見バーガー @H926

(最近だと多分『ゆゆゆ』がそういう。>受け手が欲したのが、作品が提示した物語ではなく、その物語の主題には必要ないとされて「出さない見せない語らない」で終わった世界観と、その世界観に沿ってそれを活かした別の物語)

2015-02-09 20:29:05
雪見バーガー @H926

物語を描こう提示しようとする側、物語を受け取り楽しんでいる側からすれば、物語そっちのけでその従属物でしかない世界観に拘泥して、そこだけしか見ない受け手っていうのはあまり面白くない存在かもしれない。

2015-02-09 20:34:56
雪見バーガー @H926

『Gのレコンギスタ』にはそういう、ガンダムのドラマや物語を見ないでモビルスーツや世界観に拘泥してた僕らみたいな存在へのリベンジめいたものも感じる。物語の従属物として必要ない部分は「出さない見せない語らない」でいた世界観というものを、逆に今度はメインに据えて見せてくれているような。

2015-02-09 20:43:34
雪見バーガー @H926

極論すると、『ガンダム』の宇宙世紀の世界観というのは、一年戦争のアムロやシャア達のあの物語を描く為の手段であってそれ自体に意味はないのだけれど、『Gのレコンギスタ』のリギルド・センチュリーの世界観には、それ自体に最初から意味が込められている、その世界観の提示自体が主題、みたいな。

2015-02-09 20:48:08
雪見バーガー @H926

世界観の提示が主題、世界観自体に意味が込められてるってのだと、それこそバイストン・ウェルっていうものもあるのですが、リギルド・センチュリーはまたちょっと違う感じなのですよね。

2015-02-12 06:33:54
雪見バーガー @H926

世界観というものについての話だと、富野監督の「ペンタゴナ・ワールドは永野君にあげるよ」発言とか、一方の永野護のデザイナーとしての矜持、実際に物語ではなく世界観そのものを作品とし、作品集(FSSのデザインズとか)として売って商売として成立させてる辺りとかも、対比として面白いです。

2015-02-12 06:42:37
雪見バーガー @H926

物語と世界観、ストーリーテラーとデザイナーの違いと関係。

2015-02-12 06:45:11
雪見バーガー @H926

『まどマギ』なんかも分かりやすいすな。物語は虚淵さん、世界観はイヌカレーさんて明確に分かれて見える辺り。プロダクションノートの存在も大きい。

2015-02-12 06:50:13

『Gのレコンギスタ』について。余談。

雪見バーガー @H926

しかし、基本的に誰かを憎むとか蹴落とそうとかいうんじゃなく、誰かへの好意とか敬意、よりよくあろうという前向きな意思で良きにつけ悪しきにつけ状況が転がっていくのだな。マニィのルインに対する想いにしろ、ベルリとアイーダの親の想いにしろ、ジッド団の、ボスへの部下や支持者の想いにしろ。

2015-03-05 19:41:55
雪見バーガー @H926

「『それでも』と言い続けろ」というマリーダさんを受け、それを言い前に進み続けたバナージの先にあるのが人類が滅亡しかけた宇宙世紀の終わりであり、人が誰かを思ったり良かれと思ってすることが必ずしもいい結果に結び付かない(必ず悪い結果になるわけでもない)R.C.なわけですが、

2015-03-06 14:40:00
雪見バーガー @H926

では『Gのレコンギスタ』は『UC』を、「それでも」と言い続けることを否定する作品なのかというと多分そうではなくて、『P2』の後藤さんのように「其々の持ち場で何かしなくちゃ、何かしよう、その結果が状況をここまで悪化させた。そうは思わないか」って批判を呈示しているわけでもなくて、

2015-03-06 14:48:18