イヌノオー@
@inunohibi
「寄生獣 セイの格率」。原作からして広川市長の退場は、今まで脅威として引っ張ってきたわりには、あっけないものだった。このあたりから話が急速にたたまれていく。しかし広川の正体は当時衝撃を呼んだ。作者のトリックと演出はたくみだった。
2015-03-06 07:57:54
イヌノオー@
@inunohibi
一方で広川の演説はどうか。岡田斗司男氏がBSマンガ夜話で、「広川市長の演説で終わりだったら、作者もここらへんかな、と思われたでしょう」と話していたように、環境問題で「人間こそが諸悪の根源」という発想は、創作のダークヒーローによくあるものだった。
2015-03-06 07:59:50
イヌノオー@
@inunohibi
さらに原作のあと、ビョルン・ロンボルグ「環境危機をあおってはいけない」など、環境保護団体が環境問題を誇張していたこと、悲観的な予言が外れたことへの告発も、行われるようになった。そういった現在から見ると、広川演説も偏った情報に基づいた、陳腐な発想に見える。
2015-03-06 08:02:24
イヌノオー@
@inunohibi
しかし広川市長の演説内容が凡庸だとしても、作品自体は凡庸さを免れている。広川は「地球上の人々がふと考えた・・・」と、冒頭のナレーションと同じことを語り始める。「全てを俯瞰する視点」に見えたナレーションとタイトルの「寄生獣」とは、広川個人の思想に過ぎなかった。
2015-03-06 11:25:56
イヌノオー@
@inunohibi
そこにこの漫画の凄みがある。杉田俊介「無能力批評」は、カントを参照して「寄生獣」を論じたが、カントが「物自体は分からない」といったように、「寄生獣」から「神の視点」は排除されていく。
2015-03-06 11:26:10
イヌノオー@
@inunohibi
アニメでは、新一が「寄生獣」という言葉を聞いている、という描写が加えられた。寄生獣というタイトルと、主人公を関連付けたかったのだろうが、別にこれはいらない。広川個人の思想に過ぎず、新一とは直接関係ない。そのさりげない原作のほうが、秀逸である。
2015-03-06 11:28:49