《買ってみた》横山くんとお食事デート

hikari∞短めのお話 @love_suzume

1. いいかげん、好きだって言って欲しくて。 今日のために買った、花柄のワンピース。 ノースリーブでスカートがふわっとしてる、女子全開のシルエット。 なんだけど...。

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2. 同期の横山くんと食事に行くのは、もう何回目？って感じだし。 しかも、だってもう、横山くん絶対私のこと好きじゃん。 私の気持ちにだって、とっくに気づいてるはずなのに。 待ち合わせ場所に行くと、横山くんが先にいた。 「おぅ。なんや違うヤツかと思ったわ」 「...そう？」

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3. ...惜しい。 惜しいけど違うの。そーゆーんじゃないんだよぉ。 もっとさぁ、今日雰囲気違うねとか、かわいいねとか、いろいろあるじゃんっ。 もう、バカ。 まぁ、そーゆーの、すっと言えないとこも好き...なんだけど。 別に、私から言ったっていいんだよね...好きだって。

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4. でもでも、やっぱ最初は横山くんからちゃんと言って欲しい。 ズルイけど。 横山くんが連れてってくれるお店はいつも美味しくて、雑誌とかにも載ってないようなツウなとこばっかりで。 エスニックが食べたいなって前に言ったの覚えてて、オシャレなベトナム料理屋さんを予約してくれてた。

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5. なんか、いつもより無口？ あんまり目も合わせてくれないし...。 微妙な空気のまま、よく行くバーに移動。 カウンターの背の高い椅子に座るとき、手を貸して引っ張りあげてくれて、何も言ってないのに私の好きなお酒を頼んでくれた。

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6. もぉ...こんなのフツー彼女にしかしないじゃん...。 ひと言欲しいだけなんだけどなぁ...私。 横山くんはさっきまで無口だったくせに、なんか急にベラベラ話してる。 「横山くんて、エスニック苦手だった？」 「はぁ？なんで？」 「だって、さっきは無口だったから」

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7. 横山くんが急に真っ赤になる。 え、何それ？ 「お前が、そんなオンナ丸出しみたいなかっこで来るからやんけ」 オンナ丸出しって...。 何、そのひっどい言い方。 文句言おうとしたら、横山くんがグラスに残ってたお酒を一気に飲み干した。 「行くで」 え、お酒途中...。

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8. 横山くんが駅と反対の方向にスタスタ歩いてく。 「ね、どこ行くの？」 「...俺んち」 「え」 「...あ...い、嫌....？」 「...え？...あ...えっと...嫌、じゃない...です」 早足で歩く、横顔をこっそり眺める。

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9. もしかして、このままなし崩し的な感じ...？ 何にもないよりいいけどさぁ...。 んー...やっぱりフクザツ。 「横山くんてさぁ」 私のこと、どう思ってる？ って聞こうとして、やめた。 だって、なんか無理矢理言わせるみたいだし...。

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10. 横山くんは前を向いたままで。 「......に、似合ってんで、それ」 「えっ？...あ、そう...？...あ、ありがとぅ」 ...嬉しい。 嬉しいんだけど、惜しいんだってば！ タイミング今じゃん、絶対！ もう、バカ...。

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11. でも...きっと、これが今は限界なんだよね？ 顔、真っ赤だし...。 どさくさ紛れで繋がれた左手は、少し汗ばんでる。 ま...いっかぁ。 作戦は宙ぶらりんだけど、朝までにぜーったい言わせるから、ね？