茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1453回「第二種むちゃぶり」

脳科学者・茂木健一郎さんの3月13日の連続ツイート。 本日は、昨日歩きながら考えていたこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第1453回をお届けします。文章はその場で即興で書いています。ほんじつは、昨日歩きながら考えていたこと。

2015-03-13 07:11:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

「むちゃぶり」は、基本的には具体的な行動を指すものである。たとえば、「これから、1分間、即興で英語をしゃべる」と自分にむちゃぶりする。中高生の諸君には、毎朝、このむちゃぶりをすることを推奨している。自分に課題を課すことで、それを乗り越えたとき、よろこび、成長することができる。

2015-03-13 07:12:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

「むちゃぶり」には、もう一種類あるようだ。いわば、「第二種むちゃぶり」。そのことを、昨日なんとはなしに思い出していた。春だからだろう。「第二種むちゃぶり」は、具体的な行動を指すのではなく、むしろ、漠然としたもの、あいまいなもの、しかし、人生をがらっと変えようという決意である。

2015-03-13 07:14:07
茂木健一郎 @kenichiromogi

みな、それぞれの人生に100%満足しているわけではないだろう。もっとこうなったらいい、変わったらいい、と思っていることがあるだろう。ところが、人生は、生きていくうちに、慣性が生じてしまって、今日は昨日の延長になり、明日は今日のままになる。そういう「現状維持」に慣れてしまう。

2015-03-13 07:14:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

そこで登場するのが「第二種むちゃぶり」である。突然、感情が動くのだ。「ああ、そうだ、ぜ〜んぶ、変えてしまおう。新しい自分になろう。もっと元気ハツラツ、努力して、輝いた日常にしよう!」そんなことを、具体的な行動指針というよりは、感情の部分において、ありありと感じるのだ。

2015-03-13 07:16:25
茂木健一郎 @kenichiromogi

「第二種むちゃぶり」は、実際には、実現不可能なことも多い。「そうだ、人生を変えてしまおう」と思っても、それは一種のイリュージョンであって、具体的にやろうとすると困難が伴うことも多い。しかし、そのような感情の動きがある、ということ自体がひとつの生命であって、大いに推奨される。

2015-03-13 07:17:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

人生、慣れてきてしまうと、実際には実現不可能であれ、「そうだ、新しい人生になろう!」という感情における第二種むちゃぶりにさえ、遭遇しなくなってしまう。それでは、何かが失われている。おそらく「若さ」というやつが失われている。だから、おおいに、「第二種むちゃぶり」をやればよい。

2015-03-13 07:18:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

「人生を変えてしまおう」という「第二種むちゃぶり」は、ゲーテに代表されるドイツロマン派の、「いますぐすべてを!」という疾風怒濤とどこか似ている。思えば、ゲーテは、老年になるまで、「第二種むちゃぶり」を繰り返した人であった。そして、ゲーテは、『ファウスト』を完成し、文豪となった。

2015-03-13 07:20:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第1453回「第二種むちゃぶり」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

2015-03-13 07:21:05