ラバウル少佐日誌:天空の母編其ノ肆

艦これ二次創作小説です。 一部艦娘のキャラ崩壊・独自設定・過去捏造注意です。
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檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

私は孤独だ。 母も死に、父は誰か分からず、親族とは諍いが有って縁も切り、この蒸し暑い異国の地で一人、弓を引いている。 (1)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 01:45:41
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

そもそも、仲間って何なのか……私には分からない。 赤城と加賀さんはここへ来る前どころか、小さな子供の頃からの仲だったらしい。まあそういう風に仲間になる人もいるんだろう。 二航戦は直接の面識こそ無かったらしいけど、表面上は仲良くしてる。 金の為だろうけど。 (2)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 01:50:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

だけどそんな二航戦でも『姉』程嫌悪感を覚えはしない。 海軍の運営には絶対に必要な事だから。それ位の分別は私もついている。多分。 だけど、翔鶴や熊野みたいな奴等には、どうしようもない程苛立ちしか覚えない。 だから、私はあいつ等とは関わりすらしない。 (3)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 01:53:34
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

同じ理由だ。あの図体と態度ばっかりでかい女をコケにしてやったのは。 (4)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 01:54:24
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

間宮で私がカレー蕎麦を啜っていた時に、あの女はふらりと現れた。 そして私を一瞥してから、間宮で一番高い和定食を頼んだ。 そいつはわざわざ私の座っていた円卓の向かいに座ると、また私を一瞥した。 暫くしてから、狂気的な量の十割蕎麦が私達の間に置かれた。 (5)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:07:36
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

積み上がった十割蕎麦が私達の視界を防いでいる間も、私はあまり良い気分がしなかった。 やがて河豚の唐揚げ、山葵菜や水菜に根菜の天麩羅、豆御飯、松茸の吸い物、漬物の盛り合わせが次々に私の目の前へ置かれていき、それ等を目の前の女は黙々と、だけど綺麗に平らげた。 (6)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:12:54
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

そして、女はもう一度蕎麦を同じ量頼んで食べ始めた。 私はもう食べ終わって(っていうか目の前で胸がくるしくなる様な食いっぷりを見せられてそれ以上食べたいとも思わなかった)カレーの出汁を残したまま会計に行こうと立ち上がった。 (7)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:15:59
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「そなた、随分と小食だな……其の貧相な量で、足りるのか?」 目が合った。 「それとも、そなたの主は私の主と違って『けちくさい』のかな?」 目元が嗤っていた。 「哀れな鶴よ……フフ、どれ? ここは私が、そなたへ」 女は自分の皿の蕎麦を左手で素手掴みし、 (8)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:21:19
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「施しをくれてやろう?」 ……私は立ち尽くした。 有無を言わさずぞんざいに、グチャグチャにカレー出汁へと突っ込まれた、恐らく私が『貧相に』啜っていた蕎麦よりも遥かに高級な蕎麦。 それが私の意図を無視して、私によって穢されてしまった事実を前に。 (9)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:25:11
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「どうした? そら、食え。美味いぞ? そなたの様な、下賤の者が好みそうな味付けに、丁度染まっているではないか……!」 言いながら、女はまた自分の残りの蕎麦を食べ始めた。 ……私は、 私は自分のカレー蕎麦の器を右手に持ち、握り締め、 (10)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:28:11
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「ぶへェッ!?」 女のド頭天辺へ、ひっくり返して叩き付けてやった。 更に艤装を発動して円卓を持ち上げ、 「げキュ!」 さっきまで私達が食事をしていた、大理石の円卓もひっくり返してやった。 (11)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:34:19
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

サラシと、糞色の皮膚と、白髪と、そしてカレー出汁と蕎麦とクソ女のミンチ肉で出来たハンバーグを後ろに、私は悠々と間宮を出た。 だけど、 「待゛……テ゛エ゛え゛え゛エ゛え゛え゛え゛!」 私は目を疑った。あの女は確かに大理石のテーブルに潰された筈だ。 (12)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:37:55
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

なのに、頭から蕎麦を被っている状態まで回復し、大理石のテーブルを片手に私を追い立てている。 ……よく見れば、間宮が修復バケツを持っていた。 今度爆撃して1ヶ月は営業出来なくしてやろうと私が己の胸の内に誓った直後、私は突然走れなくなりその場に転んだ。 (13)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:40:22
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

よく見れば、私の左脚が付け根から吹き飛んでいた。 そして破砕音と共に私の遥か前方、廊下の壁に大理石の円卓が突き刺さっていた。 「貴様……鶴の分際で私へ、姑息で、無謀で、愚かな真似をおよくぞ為しおったなッ!」 (14)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:45:38
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

流石に生命の危機を感じた私は、ここから最短ルートで提督の部屋へ逃げ込む算段を始めた。 「ふんッ!」 その間に、私の右腕は踏み砕かれてしまったけど。 「それで私へ弓は引けまい? なに、謝れとは言わぬ。が、滑稽な鶴よ」 女は下卑た嗤顔を私へ見せつけた。 (15)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:50:11
檀富良(Dan Fuller) @NGWCTG

「そなたは暫く、私の玩具ぞ?」 だけど、残念ながら愚鈍なこの女は、私をそうは出来なかった。 (続く)#ラバウル少佐日誌

2015-03-16 02:51:43