ほっぽちゃんはじめてのおつかい　後編

劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

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（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。投下中はTLを余り見ないので、感想・実況などを #ryudo_ss に書いて頂けると、後でチェックして小躍りします。では、宜しければ暫くの間お付き合い下さいませ）

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【ほっぽちゃんはじめてのおつかい】後編

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(これまでのあらすじ) 鳳翔さんのおいしい肉じゃがのために、おつかいを頼まれたほっぽちゃん。まずはおいしいお肉を買いました。次は野菜ですが、中々八百屋さんが見つかりません。泣きそうになりながらやっとの思いで見つけたのは――ヤヲヤさんでした。

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前編はこちら（togetter.com/li/798229）

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「やおやさん？」「ヲッ」店員のヲ級お姉さんは、ほっぽちゃんにそう言いました。YesかNoかわかりません。でも、お店の棚にはトマトやキャベツ、大根が並んでいます。たぶん八百屋さんなのでしょう。しばらく考えた後、ほっぽちゃんはカバンからおつかいメモを取り出しました。 1

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「やおやさんやおやさん、じゃがいもとにんじんといんげんを、ください！」「ヲッ」ヲ級さんはビニール袋にじゃがいもとにんじんを入れていきます。が、ここで動きが止まりました。「いんげん……？」ヲ級さん、どうやらいんげんが分からないようです。 2

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「すいません、いんげんってなんすか」「ぽ！？」これにはほっぽちゃんもびっくり。だって、ほっぽちゃんもいんげんが何だか、よく分かりませんもの。「えっと……緑色でー」「ヲ」「細長くてー」「ヲヲ」八百屋さんの中で連想ゲームが始まりました。今日の肉じゃが、どうなっちゃうんでしょうか？ 3

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一方その頃、鎮守府では。「貴様ァーッ！これは一体どういうことだ！」「こっちが聞きたいですよ！」提督と軍令部総長が揉めに揉めまくっていた。「ヲ級が上陸しているなど聞いていないぞ！やはり反逆行為か！」「だから知らないって言っているでしょ！？私だって初めて見ますよあんなの！」 4

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「さっき食料品店には許可を出していると言っていただろう！把握してるんじゃないのか！？」「だからあんな所の八百屋なんて知りませんって！」提督に掴みかかる総長。修羅場である。『あのー、提督？』「どうした青葉！」『おつかいが進んでるんですけど』「えっ」 5

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「いんげん？」「いんげん！」連想ゲームの果てにほっぽちゃんとヲ級さんが選んだのは、枝豆でした。失敗です。それに気付かずほっぽちゃんは、他の野菜と一緒に枝豆を買っちゃいました。「ヲ買い上げありがとうございます」「ぽ！」おつかいは大分進みました。次に買うのは。「……しらたき？」 6

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そう、肉じゃがの必須食材の一つ、しらたきです。ほっぽちゃんはしらたきが大好きなので、しらたきが何なのかは見ればわかります。ですが、しらたきがどこのお店で売ってるかなんて、想像もつきません。だって、お肉でも野菜でもありませんから。 7

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「ヲねえちゃんヲねえちゃん」「ヲッ？」「しらたきってどこで売ってる？」「しら……たき……？」初めて聞いた、と言った顔です。こんなのでよく八百屋で働けるものです。「えっとねえ、白くて透明で、ほそながーいコンニャクみたいなの！やおやさんで売ってない？」 8

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「コンニャク……」しばらく考え込んでいたヲ級さんですが、何かを思い出すと店の冷蔵庫からパック入りのコンニャクを取り出しました。「Is this？」「ぷー！もっと細長いの！」「ヲーン……」するとヲ級さん、何を思ったかコンニャクのパックを開けました。そして。 9

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「ヲッ」上の人の口の中に放り込みました。「ぽっ！？」いきなり変なことを始めたヲ級さんに、ほっぽちゃんは固まってしまいます。それを気にせず、ヲ級さんは上の人の口に次々とコンニャクを放り込みます。すると、上の人がガコガコ不気味な音を立て始めました。 10

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「ぴええ……」一体何が始まるのでしょうか。ほっぽちゃんは震えることしかできません。ほっぽちゃんが見守る前で、ヲ級さんはボウルを取り出しました。すると、上の人の口の中から、でろん、と細長くなったコンニャクが、ぬめった液体と一緒に出てきて、ボウルの中に落ちました。 11

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「しらたき」「ちがう！ぜんぜんちがう！」確かにコンニャクを細長く切ったものですが、これをしらたきと呼ぶのは人として抵抗があります。ほっぽちゃんは深海棲艦ですが、それでも同じ気持ちで、必死に首を横に振ります。「ヲ買い得」「いらない！こんなのいらない！」 12

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「ヲまけ」「ぴいっ」ヲ級さんがコンニャクの無惨他殺死体を持ってほっぽちゃんに迫ります。このままほっぽちゃんはあのベチャベチャした物体を持って帰る羽目になってしまうでしょう。「カ……カエレッ！！」無我夢中でほっぽちゃんは、両手を突き出しました。 13

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――北方棲姫は深海棲艦の中でも珍しい、陸上型である。深海棲艦は船の怨念から生まれた怪物だが、陸上型は基地や島に散った兵や武器の怨念が、土地を媒介にして実体化したものだ。大地の重さは船などとは比べ物にならない。例えば島が動いて船に体当りしたら、どうなるだろうか？ 14

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「ヲﾞッ！？」北方棲姫の放った諸手突きは、ヲ級の胸を直撃。ヲ級は島風めいた声を上げて吹き飛ばされ、ヤヲヤの屋根を突き破り、綺麗な放物線を描いて三軒先の空き家の庭に上下逆さに車田落ちした。落下の勢いで上の人が半ば土まで埋まり、地面にクレーターを作る。 15

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「ヲー……」足をバタつかせてみるが、上の人はびくともしない。ヲ級が途方にくれていると、庭に軍服を来た集団が入ってきた。憲兵隊だ。「ちょっと署までご同行願います」「ヲゥ、ワタシ何も悪いことしてまセーン」「就労ビザ持ってます？」「……緊急脱出ッ！」 16

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ヲ級さんが上の人を置いて憲兵さんたちから逃げ出す一方、ほっぽちゃんもヤヲヤさんを脱出していました。「ほぽぽぽぽ……」全速力で走っております。かけっこなら一等賞でしょう。やがておつかいの途中だというのを思い出すと、ようやく立ち止まりました。 17

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何はともあれ、しらたきです。八百屋さんに無いことは分かったので、他のお店を探すしかありません。ですが、一体どこのお店にあるのでしょうか？思いつかないほっぽちゃんは、途方に暮れています。「あれ、ほっぽちゃん？」すると、優しい声がかかりました。 18

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「ぽ？」ほっぽちゃんが振り返ると、鎮守府の古鷹さんが２人目の春雨ことマーボーちゃんの車椅子を押しているところでした。「ふるたか！まーぼー！」「ひえっ」寄ってきたほっぽちゃんにマーボーちゃんは怯えています。深海棲艦に沈められかけて、足を失ってるからしょうがないです。 19

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「ふるたかも買い物？」「そうだよ。マーボーちゃんが気になるお店があるって言うから、付き合ってたの」「お店？」「中華料理屋さん。マーボーちゃんったら、本当に麻婆春雨頼むんだもの。おかしくっておかしくって」「毎日マーボーって呼ばれてたら食べたくなっちゃったんですよー！」 20