#完全ノープラン艦これ与太話 【オモチ・クッキング・オン・ザ・ラピッドファイア・バラージ】#1～#2

春魔解丼 @vespiking

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#完全ノープラン艦これ与太話 【オモチ・クッキング・オン・ザ・ラピッドファイア・バラージ】#1 #KZNPLN

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第二次フィラデルフィア計画によって次元の狭間に呑まれた北米大陸から切り離され、北方アルフォンシーノ方面に浮かぶ暗黒大陸の残骸アラスカは、かつての大規模地上攻撃によって焼き尽くされ、今や不毛の大地と化していた。度重なる海面侵食により、一部は大型艦艇の航行すらも許す。 #KZNPLN

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アラスカ沿岸は、現時点における地球人類の活動限界とされる。これより先はフィラデルフィアの次元穴とサルガッソー磁気嵐により、およそ尋常の艦艇では近付くだけで良くて爆沈、最悪の場合は異次元に飛ばされ乗員ごとネギトロになるだろう。アラスカの地もまた、現代の禁足地である。 #KZNPLN

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この暗黒の禁足地に、足を踏み入れる恐れ知らずの者どもあり。超空母ナラクノアビスの海抜20m天上甲板より降り立った2隻の深海棲艦は、1隻は長い白髪を側頭にて束ね、戦闘用義肢を打ち鳴らしながら海とも陸ともつかぬ地を歩む。眼前には、隆起した陸の残骸。アラスカ本土だ。 #KZNPLN

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｢ダルいなァー、ナラクノアビスで入れないの？｣空母棲姫はゴキゴキと首を鳴らし、カッパドキアめいた暗黒の大地を仰ぎ見た。彼女の艤装は水上航行用であり、これより先には乗ってゆけまい。｢バーカ。壊れるに決まってンだろ。直すのアタシだぞ。ここが航行限界だよ｣ #KZNPLN

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戦艦棲姫は巨人めいた自律艤装の肩に腰掛け、尊大に空母棲姫を見下ろした。｢あー、お前ズルいな。ちゃんと歩けよ。それか、乗せろ｣｢イヤだ｣｢あ、そ｣空母棲姫はぶつくさと文句を言いながら、沿岸の坂を登る。彼女の名はギニアピッグ。戦艦土佐の艦霊を宿す空母棲姫ニンジャだ。 #KZNPLN

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彼女が戦艦棲姫デューカリオンと共にアラスカへと上陸した目的は、この地に眠るとされる伝説の遺物、『ヤマモト・イサロクの菱餅』の捜索である。昭和時代のウォーロードであり大剣豪であり哲学者でもあるヤマモトは多くのシンピテキ甘味物に呪術的プロトコルを刻み、後世に遺した。 #KZNPLN

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菱餅とはその名が示す通り、三段重ねに配置されたカラフルな菱形のオモチである。このオモチとオモチの間に暗号文を記して三段重ねて受け渡し、秘密鍵的な手順で分割する事で復号化する。かの真珠湾攻撃を成功に導いたとされる、旧大日本帝国に伝わる古のエンクリプション・ツールだ。 #KZNPLN

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ヤマモトの菱餅には、フィラデルフィア計画に関する機密情報……即ち次元穴の先、暗黒大陸へと辿り着くための恐るべきプロトコルが記されているという。暗黒大陸に眠る兵器群の捕食を狙う『冥王』卯月、そして兵器群を用いて帝国壊滅を企てる航空母艦ケツァルカトルの発案だ。 #KZNPLN

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MI決戦における汚名をイサオシにて返上すべく、ギニアピッグはこの探索クエストに志願した。｢あんたの事は気に食わないが、やられッ放しは性に合わねえ。私1隻で充分だ｣｢慢心するな。お前1隻でどうこうできる案件じゃない｣空母ケツァルカトルは艦橋司令室で言い放った。 #KZNPLN

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空母ニンジャ、ケツァルカトル……即ち空母飛龍は甲殻めいた相棒の艤装に腰掛け、白ドレスの深海棲艦を抱き寄せる。｢飛龍＝サン……ンアーッ！？｣｢その名で！私を呼ぶな！｣ケツァルカトルは自身にしなだれかかる中間棲姫、ヨークタウンの首を折った。｢アーッ！アーッ！｣ #KZNPLN

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ケツァルカトルはヨークタウンを、傍で寛いでいたデューカリオンの目の前に投げ飛ばした。｢デューカリオン＝サン。治せ｣｢アバッ……ア、ア｣｢アー、痴話喧嘩で余計な仕事増やすの、やめてくんない？全く……｣デューカリオンはヨークタウンの首に手を当て、超常のジツで修復する。 #KZNPLN

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｢ちょうどいい。デューカリオン＝サン。お前も行け｣｢アー！？何でアタシが｣ケツァルカトルは左手薬指の指輪を忌々しげに見つめ、手首を鳴らした。｢私とヨークタウン＝サンは、そう簡単に艦を離れられない。卯月＝サンもだ。ナグモ＝サンも対磁気嵐に必要。消去法よ｣ #KZNPLN

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デューカリオンは渋々これを承諾し、かくしてギニアピッグと共に暗黒大陸の残骸、アラスカでの菱餅捜索クエストが開始された。沿岸部への突入、及び上陸までは首尾よく進んだ。だが、真の試練はこの先にある事を、この場の誰もが感じていた。恐るべき存在のアトモスフィアを。 #KZNPLN

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アラスカ中心部。地盤陥没により擬似海面と化した沼地に、その艦艇は浮かんでいた。甲板上には、主砲とも機銃ともつかぬ……我々の知る単語で言うならば、対地機関砲とでも呼ぶべき凶暴な火器がずらりと並び、周囲を睨む。そして最上甲板には多数のボンボリと、菱餅。そして、少女。 #KZNPLN

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｢誰かの、来訪のようですね｣艦橋前で眠るようにアグラ・メディテーションを行っていた少女の双眸がぱちりと開き、その口からシンピテキな声が漏れた。｢久方ぶりの抜錨です。可燃物は投棄しましたか？対地襲撃艦白雪。作戦行動を開始致します｣白雪が立ち上がり、錨が上がった。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【オモチ・クッキング・オン・ザ・ラピッドファイア・バラージ】#1終わり。#2に続く。 #KZNPLN

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#完全ノープラン艦これ与太話 【オモチ・クッキング・オン・ザ・ラピッドファイア・バラージ】#2 #KZNPLN

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禁足地アラスカへと上陸を敢行したギニアピッグとデューカリオンは、陰鬱なグランドキャニオンめいた暗黒山の亀裂をじりじりと進んでいた。ギニアピッグは通信機の圏外表示を確認する。既に母艦との更新手段はなし。｢どうした。ビビったか？｣｢ビビってねェし！確認しただけだ｣ #KZNPLN

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｢しかし、マジで誰もいねェのかね、ここは｣ギニアピッグは鍾乳石をへし折り、探照灯の前で弄ぶ。｢これ、喰えんのかな｣｢やめとけ。ハラ壊すぞ｣｢わかってるよ。冗談だって｣放り投げられた鍾乳石は足元の亀裂から奈落の底へ落ち、乾いた落下音が反響した。 #KZNPLN

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その直後。亀裂から力強い閃光が漏れ出し、鈍い異音が断続的に奈落の底から反響した。｢アイエエエ！？ムグーッ……｣（喋るな。伏せろ！）デューカリオンは腰を抜かしたギニアピッグを組伏せ、手早く口を塞ぐ。閃光と異音が止んだ1分後、デューカリオンが手を離す。｢ＯＫよ｣ #KZNPLN

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｢な、何なんだよ今の、一体｣ギニアピッグは船体を起こし、黒光りするニンジャ装束と義肢についた泥を払った。｢わからん。だが、どうやら……アタシらだけじゃ、無いな｣デューカリオンは巨人めいた艤装ゴーレムの首輪を引き、本来目があるべき位置の感覚器官で亀裂を覗かせた。 #KZNPLN