ドイツのヴァイツゼッカー元大統領と、国防軍無罪神話。

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イヌノオー@ @inunohibi

ヴァイツゼッカー元大統領は偉大な政治家だが、保守派なので限界もあった。「国防軍の犯罪」展を「十把ひとからげに扱わないでほしい」と批判したり。

2015-02-01 20:14:41
イヌノオー@ @inunohibi

ドイツ現代史が専門の石田勇治氏は、日本の三光作戦と、ドイツ軍がソ連で行った絶滅作戦を比較するが、日本であまり取り上げられない三光作戦はもちろん、ドイツも独ソ戦に関する言及と謝罪は、大きなウェイトを占めていない。

2015-03-15 17:21:11
イヌノオー@ @inunohibi

日本とドイツ。気まぐれな私には、日々の生活とあまり関係ない歴史問題は向いていないようだが、一応思ったことを書いておく。「ドイツはナチスに全ての罪を被せた」というのは正しくない。90年代にドイツで「国防軍の犯罪」展が開かれたとき、国内で賛否両論が巻き起こった。

2015-03-24 09:08:03
イヌノオー@ @inunohibi

国防軍がホロコーストに積極的にかかわった形跡はない。しかしドイツ帝国の伝統に強い自負を持つ国防軍幹部達の、反共イデオロギーは強烈だった。現在ではソ連での絶滅戦争、ソ連軍のコミッサール(政治将校)を捕虜とせず即殺害することなどに、積極的に加担したことが明らかとなっている。

2015-03-24 09:08:41
イヌノオー@ @inunohibi

しかし西ドイツは、長く冷戦体制の壁もあって、「反共イデオロギー」に基づく戦争犯罪は直視してこなかった。国防軍の犯罪展はこのふたを開けるものだったが、「賛否両論」、支持する声もあったという事が、もはやドイツ社会がナチスに罪をなすり付けることはしなくなった現われだろう。

2015-03-24 09:09:15
イヌノオー@ @inunohibi

またすごく安易に「ナチスに罪をなすり付けた」といわれているが、それは裏返せば、ナチス以外のドイツ国民にも罪があった、ということである。しかし小林よしのり氏など、ドイツを糾弾していい気になっている論者ほど、「ドイツ国民が民主的に支持したナチス」など、

2015-03-24 09:11:28
イヌノオー@ @inunohibi

当時のドイツの複雑な政治過程を無視した、単純すぎて間違っている認識が多い。

2015-03-24 09:11:44
イヌノオー@ @inunohibi

なぜ「国防軍無罪神話」が普及し、定着したのかといえば、ドイツ以外の西ヨーロッパ・アメリカ諸国にも、納得できる歴史認識だったからだ。冷戦体制の中、ドイツを再び西側諸国に組み込み、再軍備を進めるにあたって、「国防軍無罪」が都合の良かった政治的理由もある。

2015-03-24 09:15:32
イヌノオー@ @inunohibi

しかし有名なイギリスの軍事史家、リデル=ハートも、国防軍は無罪だという認識を広めた。

2015-03-24 09:15:41
イヌノオー@ @inunohibi

戦後欧米の映画でも、名誉と秩序を重んじる国防軍と、冷酷非道なナチス親衛隊の対比が、繰り返し描かれた。私は映画には詳しくないが、名作「大脱走」では、ドイツの捕虜収容所から脱走した兵士達が、ナチス親衛隊に捕まると殺されていたが、国防軍につかまると送り返されていた。

2015-03-24 09:17:59
イヌノオー@ @inunohibi

ドイツは上手く立ち回ったといえるだろうが、国防軍無罪神話と比べて、「日本軍無罪神話」が日本以外で全く普及せず、広まらない理由はなぜだろうか。そっちを考えたほうが、よっぽど政治的にいい教訓になるだろう。

2015-03-24 09:20:22

追加

イヌノオー@ @inunohibi

カーは「歴史家が歴史を作る」といったが、トインビーが提唱したらしい「産業革命」、リデル=ハートの名付けた「電撃戦」、有名な歴史的概念が、だれだれの説と知って驚く。

2015-03-24 20:04:21
イヌノオー@ @inunohibi

ヴァイツゼッカー元大統領は、NATOにおけるドイツ軍の役割拡大にも尽力した政治家だった。「ドイツを見習え」といっても、韓国はともかく中国が、アジア・太平洋における自衛隊のプレゼンス増大を受け入れるだろうか。絶対ないだろう。

2015-03-24 21:10:06
イヌノオー@ @inunohibi

個人的には、ここはドイツにならうべきではない。ドイツ軍はアフガンに派兵したが、爆撃で民間人を巻き添えにしたりしている。ドイツ国内でも批判が噴出している。日本の自衛隊が、新しい戦争犯罪を重ねていないのは幸運なことだ。

2015-03-24 21:10:33