2015/4/6 しおいちゃん掌編まとめ
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白亜の塔と砂浜ときみ Feat Mer_Dragon
「また泳ぎたいな ダメ?」 「だめだ、今は落ち着いてるからいいけど、またこのまえみたいになったらどうするんだ」 「んうううう」 ってやりとりをしてるんだ 陽の光の差し込む白い部屋で 「(足先)さきっちょだけ!先っちょだけだから!」 「ぶっ」
2015-04-06 17:46:17結局折れて 医師に相談した後、水に入らないで旅行だけならってことになってみんなで海に行くんだ。 「わかってる 見るだけで十分だから 皆泳いできなよ。」って
2015-04-06 17:47:42日が傾き始めた頃 そろそろ帰ろっかって 浜辺においた椅子とかパラソルを片付け始めたとき しおいちゃんが羽織ってたパーカーを脱ぎ捨てて走りだしたんだ。 とっさのことで、誰も止めることができなかった。
2015-04-06 17:49:19・・・・・・・・
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きみがぼくの手を握って、「あと一回だけでいいからあの海に連れて行って」と、そう言うから、ぼくときみは手を繋いで白亜の牢獄を抜け出して、消毒液に病んだ空気を振り切って、あの夏の海に走り出したんだ。
2015-04-06 18:24:39真夏の日差しに照らされた砂浜のきみは、まるでそのときだけあの頃のように、細くともしっかりと引き締まった筋肉のついたイルカのようなあの身体で、褐色に焼けた肌と色の薄くなったポニーテールを揺らして、あの真夏の太陽のような輝く笑顔で……
2015-04-06 18:27:03再び囚われの身になったきみは、真っ白な塔の、真っ白な部屋の、真っ白なベッドの上で、きみまで色を吸い取られてしまったかのようで。それでも、幸せそうに、ぼくの手を握って、「ありがとう」と……
2015-04-06 18:28:52ぼくだって伝えたい言葉があったのに、きみばっかり言いたいことを言うだけ言っていなくなってしまった。きみが全てわかってるような顔なんてするから、結局ぼくは最後の最後で言えなかった。きみばっかりそんな幸せそうな顔で…………ずるい。
2015-04-06 18:30:19ぼくの愛したひと Feat KGHT_2
君はお母さんを殺したんだっていう人たちがいる。だけどそんなことは気にしなくたっていいんだ。君を暗い闇の中に引き釣りこもうとする声に耳を貸す必要なんてないんだよ。
2015-04-06 18:37:59ぼくはきみのお母さんを愛していたし、ぼくはきみのことを愛している。だから、だから、お願いだから、きみのお母さんと、そしてたった少しだけぼくのために生きておくれ。きみが幸せになることがきみのお母さんが望んだことなんだ。そのためなら、ぼくらのことなんか忘れてもらってかまわない。
2015-04-06 18:34:48きみは明るい光の中へと歩んでいくんだ。しっかりとその二本の脚で。きみが闇にのまれるさだめならば、そんなのはぼくが請け負えばいい。きみはぼくを突き放して、切り離して、振り切って、幸せになればいい。それがぼくのたった一つの望みだ。
2015-04-06 18:39:53カルシウム→←トランキライザー Feat KGHT_2
原題「夏のかけら。」@KGHT_2
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そもそも。あの子の残骸を留め置くことに意味はあるのだろうか?でもぼくは、あの子の一部を持ってきてしまったんだ。赤熱したあの子の骨を。手のひらにやけどを作りながら。
2015-04-06 19:27:21