若い世代には上手く伝えられない、20年を経て、いまだ小沢健二の呪縛から逃れられない「こじらせた僕らがオザケンを捨てて旅に出られない理由」

この CDB @C4Dbeginner さんの一連のツイートを読んで腑に落ちた気がする。なぜ僕が小山田圭吾を無意識に「味方に見せかけた敵」と、オザケンを「敵に見える超越者」と認識するのか。なので自分の備忘録的まとめに。
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小沢健二はそんなダメ男子共同体に突然宇宙船で降り立ったエイリアンだった。いったい家が金持ちで東大でルックスがよくて何が悪いって言うんだ?彼は例の有名な2万字インタビューでも、いわゆるロック共同幻想への一切の共感を拒否した。極論すれば、彼は日本中の男子に宣戦布告したようなものだった

2015-04-15 00:13:23
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もし「男の嫉妬」というものを卒論のテーマにするヒマな人文系大学生がいたら、小沢健二と同時代のサブカルチャーで彼がどれほどの悪役だったかを調べて見るといい。よしもとよしともの青い車はむしろその中で最高に良質な部分であって、青年誌ではオザケンそっくりの嫌味な坊ちゃんが登場しまくった

2015-04-15 00:16:54
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それは単に東大とか金持ちとかの部分ではなく、彼は明らかに政治的に「新保守」のアイコンを背負っていた。今では信じられないことかもしれないが、当時は悪辣な右派政治家の代名詞だった小沢一郎の著書「普通の国」というタイトルが、「普通でいいじゃん」という小沢健二の口癖と重ねられたりもした

2015-04-15 00:20:56
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重要なのは、小沢健二の側には実はそんな意図がなかったということだ。彼はダメ男子たちに一人ずつ「お前はニセモノだ」と言って回ったわけではなかった。そんなことは当のサブカル男子たちが十年一日の如くお互いにやっていた。小沢健二は単に「本当のこと」について語ろうと口を開きかけただけだった

2015-04-15 00:27:58
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しかしその「本当のこと」こそが、彼を同時代で最も危険な存在たらしめたものであり、LIFEというアルバムに流れるものの正体だった。反発の一方で大槻ケンヂから吉本ばななまでサブカルチャーの生息図から到底説明のつかない広い範囲から彼の支持者が現れた。岡崎京子もその中の、特別な一人だった

2015-04-15 00:33:59
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先日の岡崎京子展の最終日のシークレットライブ、小沢健二の復帰ライブへの岡崎京子の観覧など、深い関わりに対して、当時の岡崎作品での小沢健二への言及は意外に少ない。「リバーズ・エッジ」のモデルは明らかに小山田圭吾だし、プライベートで密な交流や本人の言に対して、作品には登場しないのだ。

2015-04-15 00:39:31
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想像でしかないけど、小沢健二の歌う「本当のこと」について、岡崎京子は描くはずだったのではないかと思っている。それを描くことができるのは岡崎京子だけだったのではないかと。「本当のこと」って何だよ?と言われると、僕は小沢健二でも岡崎京子でもないので答えようがないのだけど。

2015-04-15 00:44:46
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誰もが知るように彼はその後長い旅に出ることになり、そしてある日突然ふらりと帰ってくることになる。旅の最中に彼をアメリカまで追いかけてけんもほろろに追い返される優れたルポルタージュを書いた大塚幸代さんは先日亡くなってしまった。帰って来た彼の言葉、音楽などに戸惑う声もいまだ多い。

2015-04-15 00:54:22
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それでも先日の岡崎京子展に寄せた小沢健二の文章を読むと、彼が昔と変わることなく「本当のこと」について考え続けていることが判ると思う。「みなさん」という平易極まりない単語を巡り、難解な思想の引用に頼ることなく本質的なことについて書く。それはなんと橋本治の文章に似ているのだろう。

2015-04-15 01:01:07
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そういえば90年代当時、小沢健二に対する距離をリトマス試験紙のように問われた時代に、あっさりと奇妙な答えを返したロック歌手がいた。甲本ヒロトだ。彼は反発も羨望もなく「自分と小沢健二は同じチョコレートの袋の色違いの玉のようなものだ」と答えた。確かに彼も平易な言葉で本質を語る人だった

2015-04-15 01:05:38
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今でも時々考えることがある。あの時小沢健二の言いかけた「本当のこと」は何だったのだろうか、と。それは半分は正しく、半分はとても危険なものだった。今社会の中にある右傾化や保守化は違う。あれはすべて、当時小沢健二に一蹴された「ダメ男子共同幻想」のサブカルの末裔たちだと思っている。

2015-04-15 01:09:23
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@rkayama 当時はその小沢健二的ファシズムへの賛否が激しく別れたんだけど、今考えるとそれは彼の問題ではなく「こっち側」の問題だったんですよね。彼は政治的発言も一切していない。賛否ともに彼に圧倒的な「強者」の姿を見てしまったのは僕たちダメ男子の側だった。ある意味申し訳なかった

2015-04-15 07:42:04
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90年代の雑誌で、山ほど組まれた小沢健二を語る雑誌企画の中で、精神科医の香山リカ氏は彼の語る「本当のこと」に対しやはりある種の戸惑いと懸念を提示した上で、「でも彼は私たちよりも深い情報を持っている気がする」と語っていた記憶がある。(高いか深いかは忘れた)。たぶん本当にそうなのだ。

2015-04-15 01:14:42
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いつか「本当のこと」が、言葉で塗り固められた僕たちの社会の前に立ちはだかるとき、小沢健二は何かしらのヒントを与えてくれるだろうか?彼は敵なのか、味方なのか?たぶんどちらでもないのだ。イスラエルで演奏されるワーグナーが善でも悪でもなく、また善にも悪にもなりえるように。

2015-04-15 01:19:01
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というわけで1時間も書いちゃったけど結局まとまらなかったNE!誕生日おめでとうオザケン。次のシークレットライブには遠慮なく呼んでくれていいんだぞ。ははは、水くさいやつだなあ。おやすみ。

2015-04-15 01:21:01