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デフレーション、略してデフレ。物価水準が下がり続けること。90年代末に「日本経済はデフレ状態にある」と政府が報告して以来、インフレに比べて耳慣れない経済用語だったデフレも知られるようになった。
2015-04-17 14:05:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし実際にデフレだとしても、それがいいことなのか悪いのことなのか、庶民によく分からなかった。「物の値段が下がるなら、いいことではないか?」という疑問も出ていたし、中には「いいことだ!」と主張する週刊誌やテレビ番組もあった。
2015-04-17 14:05:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
まず我々庶民にとって、一番身近なものの値段が下がっている場面を思い浮かべてみる。百貨店のバーゲンセールとか、電気店の出血大サービスだ。我々の行動はだいたい、物が安いときには争って買うが、普段はそんなに買わない。
2015-04-17 14:05:46![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
バーゲンではおばさんが商品をつかみ合って買おうとする。しかしセールが終わると、店の価格はまた高く戻され、我々はなるべく買い控える。それを繰り返す。戦後の経済学でも、デフレというのは忘れられていた現象だった。
2015-04-17 14:06:16![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
価格が下がれば売れるから、価格水準は元に戻る、デフレは一時的な現象のはず、と思われていた。しかし日本では、デフレ不況が続く。これは物の値段を下げても売れない、という異常事態であり、次に行われるのは社員のリストラや賃下げ、そしてまた値段の切り下げ・・・、である。
2015-04-17 14:06:43![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
それでも売れなければ、やはりデフレは続く。続いていたのが、90年代以降の日本経済だった。消費者が快適な消費生活を送っているはずがない。物が売れないからデフレなのであって、人が物を買っていたらデフレは続かない。だから「いいデフレはない」とされている。
2015-04-17 14:07:06![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
20世紀の偉大な経済学者ジョン・メイナード・ケインズは、初期の著作「貨幣改革論」ですでに「インフレは国債の負担を減らし、企業を刺激して、多少の利益ももたらすけれど、デフレは弊害だけで利益は何もない」と見抜いて、主張していた。
2015-04-17 14:07:55![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
金利生活者だけが得するデフレ。どうすればいいのか。ケインズがまず考えたのは、利子率を引き下げることだ。溜め込んでおいたほうが利子が付いて得という状態を解消していくこと。大恐慌が起きたケインズの時代は、まだ利子率も高かったから利子の引き下げという金融政策も有効性が高かった。
2015-04-17 14:08:31![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし日本で平成不況に突入してから、政府や日銀は利子率の引き下げを繰り返したので、ほとんど0%の金利、いわゆるゼロ金利に突入した。これでは金融政策の身動きが取れないように見える。
2015-04-17 14:09:02![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
民主党は「柔軟な金融政策」といっていたが、柔軟に金利を引き下げていた結果この状態なので、柔軟にやりようがなくなってしまった。
2015-04-17 14:09:13![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
これも90年代以降繰り返されたが、全く無駄だったように見える。景気対策でいくら公共事業をやっても、景気がよくならないのを、大勢の人が「公共事業はもういらない」と読み違えてしまった。もちろん日本の公共事業は、よく言われるように無駄が多い。誰も使わない空港や、豪華な市役所。
2015-04-17 14:09:54![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし00年代の小泉改革は、公共事業を効率的にするのではなく、公共事業そのものを縮小してしまった。やるべきなのは、無駄な公共事業から意味のある公共事業であったのだが、「では効率的な公共事業はどうすれば出来るのか」というと、政治家や官僚が市民の意見をよく聞いて、
2015-04-17 14:10:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
求められているものを作るしかない。要するに民主主義の成熟が問われているのだが、小泉元首相にせよ、橋下徹市長にせよ、「独裁的な手法による、迅速な決定」ばかりが喝采を浴びた。
2015-04-17 14:10:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
しかし出来る経済政策はまだある。経済学者ポール・クルーグマンが最後の手段として提唱したのが、「インフレ目標」政策だ。インフレを人為的に起こすことを決め、インフレになるまで金融緩和を続ける。これが現在安倍政権と日銀が行っている、「物価上昇率2%」である。
2015-04-17 14:10:39![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
人為的にインフレを起こす、狙うというといかにも乱暴な話に聞こえるが、デフレで経済の足元がずぶずぶと沼に沈んでいる状態で、「乱暴な救済策はダメだ」といって冷静に考え直すのも「危険な話」ではないだろうか。金融緩和に反対するマスコミの言っていることは、
2015-04-17 14:29:43![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
デフレを絶賛する小幡績氏、そこまでいかなくとも、デフレを無視するマスコミや民主党は、金利生活者から闇献金でも受けているのだろうか? そう考えればすべてがすっきりするが、どうでもないだろう。アジア通貨危機では、アメリカの投資家だけが得をした。
2015-04-17 14:11:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「アメリカの陰謀」も疑われているが、スティグリッツはもっと単純に、アメリカ関係の金融機関が間違ったイデオロギーにしがみついていることを上げる。
2015-04-17 14:11:52![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
経済というのは難しい。原始社会の物々交換、素朴な「顔の見える取引」に比べ、現代社会は顔も知らない人間、世界の裏側と経済的につながっており、よく分からないうちに経済危機が起きたり、おさまったりする。必要なのは、問題を分かっている水準まで引き下げないことだ。
2015-04-17 14:12:36![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
自給自足や物々交換の社会のほうが、分かりやすくて理解には楽だろうが、圧倒的に不便で戻りようがない。インフレ目標が景気をよくするというのは分かりにくいが、インフレが物の値段を上げて、生活を苦しくするという話は分かりやすい。
2015-04-17 14:12:55