二日目、逢魔時 - 今様に落つる怪奇譚

2015/04/11から2015/04/14までの、人間とあやかしの語らいの様子です。
0
蓮田 颯丞 @hasterMissing

「みんな一緒に…というのは……」 言いかけて、黙る。 自分にとってはその程度の問題で済むが、彼等にとっては己の存在、生死を賭けた事なのだ。 そんな半端な答えが許されるはずもない。

2015-04-14 04:34:51
蓮田 颯丞 @hasterMissing

言葉を切り、少ししてから首を横に振って。 「…わかりません、まだ。私は自分がどうしたいのかも…よく、わからないんです」 冷えた空気に少し震えつつも、動こうとはしない。 視線は下に。悲しそうな表情をして。 「私、何かを望む事、慣れてないんです。合わせる事、ばっかりだったので」

2015-04-14 04:35:52
白堀之水藤 @sirafji

視線を落とした彼女とちらと見、空へ戻す。 「慣れてないのなら、これから慣れればいい。いつだって何度だって、お前にはまだまだ先があるだろう。けどな、何もしなければ何も慣れることはない。動かなければ進めないし、望まなければ叶わない」 諭す訳でもない、ただ経験談を語るような口調。

2015-04-14 05:14:09
白堀之水藤 @sirafji

「どうしたいか分からないのなら、とりあえずやってみたいこと叶えたいこと全部書くなり言うなりしてみるんだ。そうすれば自ずと答えは見えてくる。」 見えないのは埋もれているから。自分自身を見ようとしていないから。 これもまた、長い時を生きてきて得たもの。

2015-04-14 05:14:42
白堀之水藤 @sirafji

「『みんな一緒に』?…ならまた皆と集まればいい。確かにあたしらを生かそうとするなら、誰かと共に生きることを決意しなくてはならない。けど、これが終わったら他はもう絶対会えないわけじゃないだろう。…世の中数式みたいに答えは一つじゃない。視界を広げれば広げるほど答えはあるものさ」

2015-04-14 05:15:04

 

不老 蓮 @Lotus_frow

本堂の中へと入り、ねぶるの方に歩み寄る。一度調査で流し見はしていたものの、改めてみると随分と広い空間であることが認識できる。いつの間にか傾いてきた日差しが木製の窓枠から射し込まれる。僕は思わず目を細めた。

2015-04-12 12:45:04
赫滑ねぶる @akanameneburu

近づいてくる足音に、そちらを振り向いて。 「よぉ、嬢ちゃん。腹ぁ一杯になったか?」 声をかけてから、窓から見える外の異様な様子に気がつく。 つい先ほど朝飯をこさえたばかりだというのに、もう日が傾き……いや、傾いた日差しさえ、見る間に沈んで行った。

2015-04-12 14:00:14
赫滑ねぶる @akanameneburu

ポリポリと、後ろ頭を掻いて。 「ありゃまぁ、こいつぁ驚れぇた。もう逢魔が刻かい」 やはりこの空間は、普通ではない。 ……と言っても、あやかしの長たる今様のお膝元とも言えるこの場所に、普通を求めることの方が異常なのかもしれないが。

2015-04-12 14:00:15
不老 蓮 @Lotus_frow

「はい、美味しかったです……」 軽く頭を下げながら、長躯の彼を見上げた。まぶしい視界にも段々と慣れてきた。 「この時間の流れは異様に早いですね。以前外に出たときも真っ暗になりましたけど」 『外』の時間の流れがどうなっているのか、察しがつきにくい。時間間隔がブれそうになってしまう。

2015-04-12 14:09:06
不老 蓮 @Lotus_frow

「……この境内から外に出ることは可能ですし、外は見知った外と、遜色ないようなんですけど」 ただ、一度そこへ出た後は、別の場所には移動できない。きっとここに来たときと同じように同じ場所に戻されてしまうだろう。そんな考察を交えて話す。半分は、憶測に過ぎないけれど。

2015-04-12 14:11:01
赫滑ねぶる @akanameneburu

「そっか、美味かったか!」 腹が満ちたかと聞いただけなのに、美味かったと答えてくれたことが嬉しかったのか、ニタァ、と、口の端を歪めるように引き上げ、本人なりには、満面の笑みで。

2015-04-13 08:39:33
赫滑ねぶる @akanameneburu

「へぇ!お嬢ちゃんぁ、昨日は水藤の姐さんと一緒だったんだよな?すげえや、そんなことまで調べて来たんかぁ。さすが、霊能力者は違ぇな。化かされ慣れしてるってぇか……」 感心したように、そんな相槌を打ちながら彼女の話を聞いて。

2015-04-13 08:39:35
赫滑ねぶる @akanameneburu

「なら、さぁ。お嬢ちゃんぁ、この世界のことどう思う?……あいや、ちと漠然としすぎたな。じゃなくて、えーっとだなぁ……」 自分が先ほどから思っていた、ふわりとした疑問を、なんとか言語に置き換えようと苦戦して。 「……俺が、ここに来てから」 整理しながら、話し始める。

2015-04-13 08:39:37
赫滑ねぶる @akanameneburu

「俺が今様に呼ばれてから、12時間が経った」 つまり、この世界での、一日目の昼と夜、そして二日目の昼を過ごして、日が沈むまでの時間が、12時間だと。 「だぁら、明日の夜で、ちょうど24時間……一日が終わるんだよな」 現実世界ではどうだか知らないが、と付け加えて。

2015-04-13 08:39:39
赫滑ねぶる @akanameneburu

「……化かされ、ってのぁ、そのあやかしの境界に取り込まれるってぇことで……子から亥の一回り……『24時間』ってぇ境を越えたら、出るのぁ一気に難しくなるんだ。あやかしの俺がそうなんだから、それが人間なら、なおさらな。そうして出口を見失っちまえば、神隠しの完成ってぇ寸法だ」

2015-04-13 08:39:41
赫滑ねぶる @akanameneburu

弱いあやかしである彼にとっては、高位のあやかしの境界に迂闊に踏み込み、化かされることは珍しいことではない。 彼が語るのは自身の経験からの、彼なりの『化かされ論』だ。 「だけど、この今様の世界にぁ……無ぇんだよなぁ。出口」 首を傾げる。

2015-04-13 08:39:44
赫滑ねぶる @akanameneburu

「こんなこと、他の嬢ちゃんらに聞かせたら、怯えさせるだけだからなぁ」 それなりに危機的な話をしているにもかかわらず、ヘラヘラとした笑顔と態度で。 「で、だ。あやかし慣れしてるお嬢ちゃんに聞きてぇ。明日の夜で、24時間。……これを、どぉ思う?」

2015-04-13 08:39:46
不老 蓮 @Lotus_frow

異形を見慣れないものからすればさぞ不気味に映るであろうその表情。笑顔を浮かべるのは敵意か好意かどちらかしか向けることはない。この場合は後者だろう。 僕はくしゃりと笑んで返す。 「……あまりなれたくはないですけどね」

2015-04-13 10:53:37
不老 蓮 @Lotus_frow

「そう、なんですか」 ねぶるが告げたそれは、神隠しのリミットだ。僕もそれは初めて聞いた情報だが、不思議と焦燥は感じていない。 単に現実味がないことだと頭が思考を放棄しているのかもしれないけれど。 「急がないといけない事には変わりありませんけど。外へ出る方法を探すしか」

2015-04-13 10:53:42
不老 蓮 @Lotus_frow

「……あやかしは死にかけている」 あやかしらが言った言葉をふいと思い出す。 ときに、生と死の境界、あいまいな線引きにいる存在が迷い込む黄泉比良坂という場所があるそうだ。 そこにあるものを食べれば、あの世から帰ってこれないなんて話がある。

2015-04-13 10:54:11
不老 蓮 @Lotus_frow

神隠しにあったが故に24時間は刻限として現れるのだろう。それは間近に迫る。けれどここが生きている、ないし死んでいる世界という保証もないのだ。 僕は調査に出向いた先で死者を見た。それは普段見るものなのだけれど、もしかしたらあの世の住人だということもあり得る。

2015-04-13 10:54:19
不老 蓮 @Lotus_frow

そして、この世界でものを食べた。少なくとも人間たちは口にしている。仮説通りならこの時点でアウトかもしれない。 さまざまな仮説が立てられる。これは"普通"の神隠しではないハズだ。 故に、僕からのねぶるへの答えは。 「探し切れていませんから根気よく探せば道は見つかるかもしれません」

2015-04-13 10:55:39
不老 蓮 @Lotus_frow

「それに……彼女の言った伝承、覚えてます、か?」 畏れよ怖れよ 災厄を最悪を 滅びは時と共に訪れる 闇は影と共に 影は闇と共に ――三の朱を通った後に ――三の朝を迎える前に

2015-04-13 22:14:07
赫滑ねぶる @akanameneburu

――三の朱を通った後に ――三の朝を迎える前に 「……あのお嬢ちゃんぁ、不思議な子だ。あやかしである俺が長く生きてようやく培ったこの世界の真理を、まるで感覚でわかってるみてぇなことを口にする」 ニィッと、昨晩のことを思い出し、笑みを深めて。 「闇を知ってなお、闇を畏れない」

2015-04-14 00:39:44