防衛大綱・中期防と日本の次期主力戦闘機(F-X)選定問題

防衛大綱と中期防が改定されたが、新たな中期防を読むと2015年までに「新型戦闘機」を12機調達すると書いてある。退役する日本のF-4EJ改に代わる次期主力戦闘機(F-X)調達の問題である。実はこのF-X選定は難航しており、日本の置かれている状況は極めて厳しい。
12
fj197099 @fj197099

防衛大綱関連。あまり指摘がないが次期主力戦闘機(F-X)選定の話について。今回の中期防では2015年の計画完了までに「新型戦闘機」を12機調達するとある。これは退役するF-4EJ改に代わるF-Xを指す。だがF-Xはまだどの機種を調達するのか具体的に決まってすらいない。

2010-12-21 07:57:30
fj197099 @fj197099

具体的な選定対象に残っているのはF-35、F/A-18E/F、ユーロファイター・タイフーンの三機種だが、F-35(正確には通常離陸型のF-35A)は米国での開発スケジュールが遅延の一途でこの計画ではとても調達できそうにない。米国でさえ調達が2016年にずれ込むとの話が出ている。

2010-12-21 07:59:30
fj197099 @fj197099

共同開発国でさえない日本のための生産ラインが開くのはかなり後、2020年に近くなってからとの観測も可能だ。F-35をF-X選定するのは実際にはかなり厳しいのだ。F-4EJ改の退役に間に合わないのである。空自はF-35Aを強く望んでいるというが、状況は相当困難だと言うべきだろう。

2010-12-21 08:01:48
fj197099 @fj197099

ユーロファイターは良い戦闘機との話は聞くが、実際問題、日本が直接の同盟相手ですらない欧州からの兵器調達をすることは有事の際の部品調達やEUが対中武器禁輸緩和に積極的であることを考えれば難しいだろう。米軍兵器との相互運用性に問題がなくても政治的あるいは文化的な障害が大きいだろう。

2010-12-21 08:05:21
fj197099 @fj197099

状況から見ると結局F/A-18E/Fしか残っていないのではと思えるのが現在のF-X選定の状況である。この飛行機は既に米軍が実戦使用しているから動作や調達に不安はない。ただしこれはステルス性のない四・五世代戦闘機なので技術の陳腐化が早いだろう。今後30年も使えるようなものではない。

2010-12-21 08:08:55
fj197099 @fj197099

F-Xはどのような選定をしても問題が大きく、日本は苦しい状況に追い込まれている。本当に2015年までに「新型戦闘機」を12機も調達できるのかは大きな疑問だ。年間2~3機の調達を来年からでも始めないといけないという話になるからだ。どうしてもというならF/A-18E/Fしか残らない。

2010-12-21 08:11:28
fj197099 @fj197099

日本を取り巻く軍事情勢から言えば調達すべきはステルス性を持つ第五世代戦闘機であるF-35であることは間違いない。しかしこれを選べばF-4EJ改の退役で生まれる防空態勢の空白をどう埋めるかという難問が生じる。今後数十年使うという話だから、安易にF-2の追加生産などを選べない。

2010-12-21 08:15:57
fj197099 @fj197099

F-35については調達機種の問題も実は重要である。F-35には通常離陸型のA、垂直離着陸型のB、艦載型のCと三タイプあるが、F-Xはどうも無条件でF-35Aを調達するということにしているようだ。しかしこれからの時代は中国の接近阻止・領域拒否(A2/AD)の時代である。

2010-12-21 08:25:37
fj197099 @fj197099

滑走路に対する弾道・巡航ミサイルの脅威は今後ますます高まってゆくというべきで、緒戦で滑走路が破壊されるリスクは極めて高くなっている。米国のある団体は現在既に中国の第二砲兵部隊はその能力を保有しているとの報告書も出している。ならば戦闘機も最低、短距離離発着出来る能力のものが必要だ。

2010-12-21 08:27:25
fj197099 @fj197099

S/VTOL仕様のF-35B調達を考慮するという案も戦略的には成り立つ訳で、実は故・江畑謙介氏もその種の提言を行っていた。尤もF-35Bはどうやら技術的な課題が大きく、開発が一番遅延しそうな機体で、費用も大きくなりそうだから日本が調達するのはF-35Aより更に困難である。

2010-12-21 08:29:13
fj197099 @fj197099

結局、日本は八方塞で、おそらく今後F-4EJ改の退役に伴い少なくとも一時的には防空態勢の大きな低下の時期を甘受せざるを得ないのではないか。せめて地対空ミサイルの充実やイージス艦の南西諸島方面への頻繁な展開などで空白を埋めるしかないだろう。埋められるかどうかはともかくとして。

2010-12-21 08:32:23
fj197099 @fj197099

こういう問題を招いた背景の一つに武器輸出三原則等緩和の問題があることは間違いない。日本が当初からF-35の共同開発に参加できていれば、日本の要求も少しは通ったろうし、最低でも調達時期をある程度繰り上げることは出来たであろう。日本の倒錯した「平和主義」の罪の深さを思う瞬間である。

2010-12-21 08:33:40