「今のは、なんだったんだろ?〜バス停の女」

怖かった話。
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伊藤正宏 @ito3com

【0】今のは、なんだったんだろ?

2015-05-02 23:59:13
伊藤正宏 @ito3com

【1】ダイエットがてら、夜道を歩いてた。GW中ということで、幅広い国道を走る自動車は殆どいない。脇の歩道にもひと気がない。ふと見ると、バス停のベンチに黒いロングコートの女性が一人座ってる。スラッと伸びる足を美しく交錯させて座ってる。同色の帽子を深めに被っているので顔は見えない。→

2015-05-03 00:00:09
伊藤正宏 @ito3com

【2】こんな時間、人通りも少ない道でどうしたんだろう?とか思いつつ、バス停を通り過ぎてから気付いた。あれ、もう最終のバスは終わってる時間だぞ。なのになぜ彼女はベンチに座っていたんだろう?振り返ると、バス停の液晶広告の板に隠れて、女性の姿は見えない。彼女を忘れて私は歩き続けた。→

2015-05-03 00:00:51
伊藤正宏 @ito3com

【3】それから200mほど歩いたから、ふと気配を感じて振り返った。すると、さっきの女性がこちらに向かって歩き出しているのが見えた。うん?…私はダイエットのためのコースを歩いているので、私の向かう方向に駅などない。何もない。まさかね…と思いつつ、そのまま歩幅を広くして歩いた。→

2015-05-03 00:02:08
伊藤正宏 @ito3com

【4】さらに300mほど歩くと、久しぶりに信号にぶつかった。さっきのことなどすっかり忘れて信号を待っていると、視界の隅に何かが突然現れた。私の3mほど横にさっきの黒いコートの女性が立っている。いつの間に!?息が止まりそうになった。信号は赤のままだ。正面を見たまま、じっと待つ私。→

2015-05-03 00:02:44
伊藤正宏 @ito3com

【5】実は周囲に自動車はいない。だから赤信号で飛び出しても構わないのだが、その勇気がなかった。というのも、この信号を渡るとそこからは、ここまでの道よりも淋しい橋が待っていた。自動車も人も誰もいない。淋しいが長い橋を渡らないと、そもそも人家すらない。とにかく前に進むしかない。→

2015-05-03 00:03:28
伊藤正宏 @ito3com

【6】信号が青になってからは、とにかく猛スピードで歩いた。歩いてるんだか、走ってるんだかわからない。実は直前までイヤホンで音楽を聞いていたのだが、ここからは片側のイヤホンを外して背後から迫る足音を聞きながら歩いた。とにかく歩いた。途中、こっそりと背後を伺いながら必死に歩いた。→

2015-05-03 00:04:16
伊藤正宏 @ito3com

【7】橋を渡りきると、幸運なことに人がいた!酔っ払いだったが久しぶりに歩道に人がいた。ホッとした。でも、酔ってるのが心配だ。それより心配なのは背後の…と振り返ると、橋の上の歩道には誰もいない。え…!?その、誰もいない橋を酔っ払いが渡っていく。彼女はいったい…正直よくわからない。完

2015-05-03 00:05:13