日本国憲法草案の人権条項について

ベアテ・シロタ・ゴードン『1945年のクリスマス』(1995年) の 記述から。
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seki_yo @seki_yo

ベアテ・シロタ・ゴードン『1945年のクリスマス』を 読むと、もともとの マッカーサーからの 要請では、憲法草案に 人権条項を 盛り込むことは 特に 求められていなかったことが わかる (現行憲法では 条文の ほぼ 1/3 を 占めている)。

2015-05-03 20:07:24
seki_yo @seki_yo

こうした 草案中の 人権条項は、憲法草案作成を 命じられ 委託された、法律に 詳しい 民生局の 軍人たちによって 作られる。 彼らの 多くは ニューディールの 信奉者であり、一定の 進歩的な 考えを もっていた。

2015-05-03 20:10:31
seki_yo @seki_yo

日本政府に 提出された 憲法草案は、すでに 政治的な 調整を 終わっており、最終調整では 法務局の 佐藤達夫も、これらの 人権条項に 対し、正面切って 異議を 申し立てることは できなかった。

2015-05-03 20:13:18
seki_yo @seki_yo

作成途中の ドラフト (46年 2月 7日付) を 読むと、現行条文との 違いから、人権条項に 込められた 本来の 意図が 浮かび上がってくる。

2015-05-03 20:15:41
seki_yo @seki_yo

草案ドラフト [総則] すべての 自然人は、法の 前に 平等である。 人種、信条、性別、カースト または 出身国により、政治的関係、教育の 関係 および 家族関係において 差別が なされることを、授権し または 容認してはならない。

2015-05-03 20:19:08
seki_yo @seki_yo

外国人は、法の 平等な 保護を 受ける。 犯罪につき 訴追を 受けたときは、自国の 外交機関 および 自らの 選んだ 通訳の 助けを 受ける 権利を 有する。 追加、外国人は 強制送還されない。

2015-05-03 20:21:24
seki_yo @seki_yo

草案ドラフト [自由権] 何人も、奴隷、農奴、その他の いかなる 種類にせよ 奴隷的拘束を 受けない。 集会、言論 および 出版の 自由は これを 保証する。

2015-05-03 20:32:22
seki_yo @seki_yo

この 自由には、公務員、公の 機関 もしくは 公の 慣行を 批判する 権利、または 法律の 設定、改正 もしくは 廃止を 提唱する 権利が 含まれる。

2015-05-03 20:34:09
seki_yo @seki_yo

検閲は、これを してはならない。 通信の 秘密は、これを 侵してはならない。

2015-05-03 20:35:19
seki_yo @seki_yo

草案ドラフト [司法上の 権利] 何人も、外部との 連絡を 一切 遮断されたままで 留め置かれることは なく、正当な 理由が なければ、拘禁されない。 拘禁の 理由は、その 弁護人の 要求があれば、直ちに 公開の 法廷で 示されなければならない。

2015-05-03 20:38:03
seki_yo @seki_yo

こうした ドラフトの いくつかは、草案作成の 最終段階で 削除され、憲法条文には 取り入れられなかった。 しかし、憲法条文の 解釈においては、当然 考慮されてよい。

2015-05-03 20:40:06
seki_yo @seki_yo

憲法草案作成に 携わった ベアテ・シロタ・ゴードンは、当時 22歳、メンバーでは 最年少、そして ただ一人の 女性だった。

2015-05-03 20:41:49
seki_yo @seki_yo

ゴードンは 人権小委員会に 属し、女性の 権利と 教育の 自由の 条文を 扱うよう、小委員会から 要請を 受ける。 これは 現行憲法の「具体的な 権利と 機会」に あたる。

2015-05-03 20:44:04
seki_yo @seki_yo

ゴードンが 最初に 手がけたのは、タイム誌の リサーチャーだった 経験を 生かし、都内の 図書館を 巡って、各国の 憲法関係の 書物を 借り出すことだった。

2015-05-03 20:46:00
seki_yo @seki_yo

ゴードンは、各国の 憲法から、権利条項 (civil right) に 関連する 条文を 抜き出すことから 作業を 始める。

2015-05-03 21:04:26
seki_yo @seki_yo

ゴードンが、女性の 権利について、特に 注目したのが、ワイマール憲法 (1919年) の 第19条から 25条までと、ソビエト憲法 (1936年) の 第122条。 それは 他の 草案作成メンバーとは 異なる 視点だった。

2015-05-03 21:06:53
seki_yo @seki_yo

(参照) 岩波文庫『世界憲法集』第1版。

2015-05-03 21:07:47
seki_yo @seki_yo

ゴードンが 提出した ドラフトの 多くの 条項は、憲法草案から 取り除かれることになる。 しかし 21世紀の 現在、それらを 読み返すと、当然の 権利を 求めたことが わかる。

2015-05-03 21:09:59
seki_yo @seki_yo

ゴードン 草案ドラフト [第15条] 妊婦と 乳児の 保育に あたっている 母親は、既婚、未婚を 問わず、国から 守られる。 彼女たちが 必要とする 公的援助が 受けられるものとする。(最終的に 削除)

2015-05-03 21:12:27
seki_yo @seki_yo

嫡出でない 子どもは 法的に 差別を 受けず、法的に 認められた 子ども同様に 身体的、知的、社会的に 成長することにおいて 機会を 与えられる。(最終的に 削除)

2015-05-03 21:14:16
seki_yo @seki_yo

ゴードン 草案ドラフト [第20条] 養子になる 場合には、その 夫と 妻、両者の 合意なしに、家族に することは できない。 養子になった 子どもによって、家族の 他の メンバーが、不利な 立場に なるような 偏愛が 起こってはならない。(最終的に 削除)

2015-05-03 21:18:17
seki_yo @seki_yo

長子の 単独相続権は 廃止する。(最終的に 削除)

2015-05-03 21:19:09
seki_yo @seki_yo

ゴードン 草案ドラフト [第23条] すべての 公立、私立の 学校では、民主主義と 自由と 平等 および 正義の 基本理念、社会的義務について 教育することに 力を 入れなければならない。(最終的に 削除)

2015-05-03 21:21:42
seki_yo @seki_yo

学校では、平和的に 向上することを、もっとも 重要として 教え、常に 真実を 守り、科学的に 説明されたことや、その 研究を 尊ぶことを 教えなければならない。(最終的に 削除)

2015-05-03 21:23:34
seki_yo @seki_yo

ゴードン 草案ドラフト [第24条] 公立、私立を 問わず、国の 児童には、医療、歯科、眼科の 治療を 無料で 受けさせなければならない。(最終的に 削除)

2015-05-03 21:25:22