鳥の真波まとめ ⑧

心の鳥の真波 @manami_bird

「あ、委員長だ。いいんちょ～」 「え？…え！？ さんがく…なんで歩いて下校してるの！？」

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「どうしたの？もしかして、自転車…ロード、だったかしら？ついに没収された…？」 「委員長、オレをなんだと思ってんの？」 「でも、この前までされる寸前だったじゃない」 「それはあの先生がトクベツ厳しいからで…」 「元はあんたのせいよ！」

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「オレにだって歩きたい時ぐらいあるよ」 「にわかには信じがたい言葉ね…」 「そうかな？」 「そうよ」

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「うーん…ちょっと説明しづらいけど。自分の足で歩くって久しぶりだなぁって思ったから、今日は歩くことにしたんだ」 「ちっともわからないわ」 「うん、オレも言っててわかんなかった」

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「ところで委員長、その荷物なに？持とうか？重そうだし」 「…持とうかもなにも、これ全部あんたの荷物よ」 「え？」 「あんたの課題よ」 「…え？」

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「うっ、重い…」 「当然でしょ。何週間学校休んでたと思ってるの」 「……？そんなに短かったけ？」 「短いってなによ！？ 十分長いわよ！」

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「もう……その、心配した…んだから…ね」 「うん、知ってる。ごめん委員長」 「な、なに言ってるの！？ 私じゃなくてあんたのお母さんのことよ！」 「でも委員長もでしょ」 「うっ…」

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「………そ、そうよ。どうしようかと思ったわ…」 「うん」 「さんがく、夏休み入ってから全然元気なくて…その後あんなことになったから…」 「わかってる。ベランダからこっち見てるのも、わかってた」

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「……あ！」 「え？なに？」 「夏休みで思い出したわ…。さんがく、夏休みの課題出してないでしょう」 「……………あ」

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「もしかして先生怒ってた？」 「もちろん」 「うわー…どうしよう。忘れててくれないかなぁ…」 「さすがにそれは無理よ…諦めなさい」 「えー…」

心の鳥の真波 @manami_bird

「頑張ればできるわ。ほら、私も手伝ってあげるから」 「ホント？」 「だって万が一…万が一よ？留年したら、さんがく、インターハイ出れないかもしれないじゃない…」 「あ、もしかして委員長楽しみにしてる？自転車好きになった？勝負する？」 「しないわよ！」

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「…委員長、いつもありがと。助けてくれて」 「当然でしょ…幼馴染みだもの。ずっと隣にいた人が来年からひとつ下の学年なんて嫌よ」 「オレも留年は嫌だなぁ」

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「じゃあ委員長、明日勉強教えてね。山登ったあと」 「それは多分、果たされない約束ね…」 「え、なんで？」 「さんがくは山が好きだからよ」

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「ちょっと前まで最悪って顔で毎日走ってたのに、よく飽きないのね」 「気付けたからさ、この前までとは違う世界に見えるんだ」 「…なにに気付いたの？」 「委員長はもう知ってるよ。今言ってたじゃん」

心の鳥の真波 @manami_bird

「とりあえず明日、忘れないでね。これ委員長に教えてもらわないと絶対終わらないから」 「私の台詞よそれは…ちゃんと帰ってくるのよ」 「わかってるって」

心の鳥の真波 @manami_bird

「じゃあ、また明日」 「はいはい、また明日ね」

心の鳥の真波 @manami_bird

明日はどこへ行こう。ロードに乗って、まずはこの近くで一番高い山かな。いや、一番長い坂も、一番急な坂もいい

心の鳥の真波 @manami_bird

どの山に、何回登ったっていい。そこにはオレの好きがある

心の鳥の真波 @manami_bird

山が好き

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坂が好き

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自転車が、ロードが好き

心の鳥の真波 @manami_bird

ギリギリの勝負が好き