ツイッター小説 お気に入りセレクト 2010/12/22

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い物語です。
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@d__hiroshi__b

これ程愛している僕がいるのに、君は彼と結婚するという。でもそれは仕方の無いことだ。彼なら僕程とは言わないまでもそれなりに幸せにしてくれるだろう。何より絶対に君より先に死んでしまう僕には、何も言う資格なんてないのだ。そんなことを思いながら、僕は今日も君に尻尾を振る。#twnovel

2010-12-22 00:00:27
Takao Rival @takao_rival

#twnovel 息子が生まれた夜、夢の中にサンタが現れて僕に密命を託した。良い子が多過ぎるので代理人が必要、ついては息子の担当を僕にしたいとの事だ。僕は固く頷いた。あれから数年、手を繋いだ息子が尋ねる。「ねえ、サンタさんって本当にいるの?」僕は満面の笑みを浮かべた。「もちろん」

2010-12-22 00:01:59
Gabb-- @itisnot

冷える。僕の目線はふんぞり返る彼の笑顔に向いている。彼の笑顔は、どこだろう、居間の全体に等しく向けられているのかもしれない。「だからさー、闇鍋だっつーから大黒柱抜いただけじゃん。オレ、悪いか?」誰も答えない。答えられない。冷える。風が吹く。足元の瓦が震えている。 #twnovel

2010-12-22 00:09:51
simmmonnnn @simmmonnnn

#twnovel 浮気がバレた。「許す代わりに」妻はそう言ってノートPCを開く。「ネットに公表します」内心ホッとした。たとえ本名を晒されても、一般人の自分には問題ない。「公表するのは、ネットゲームのIDとパスワードだけど」「……知らないでしょ?」パスワードは浮気相手の名前だった。

2010-12-22 00:36:31
Mark @Marknovel

#twnovel サンタは突然の事に驚いて固まってしまった。深い雪の中ようやく辿り着いた家にはもう一人のサンタが立ちはだかっていた。相手もびっくりした様子でしばらくお互いにぽかんとしていた。『前代未聞の出来事だ。』と一人が吐き捨てる様に言うと二人は真っ白になり戦闘モードに入った。

2010-12-22 00:44:15
TAG @bttftag

#twnovel 私にとって人生とは、道端に落ちているバナナの皮のようなものだ。そこにあるだけで、何かが起きるのではないかと期待でき、やっぱり何も起こらなくても納得できる程度のものであり、よく見たら黄色いビニール袋だったりもする。まあそんなものだ。

2010-12-22 01:48:31
矢菱虎犇 @torabishi

無機質な狭い尋問室に老人は拘束されていた。取調官が不敵に笑う。「おまえが本物のサンタかどうかすぐにわかるさ。見ろ、これは嘘発見器だ。おれの質問に必ずハイと答えろ。おまえの答えが嘘なら嘘発見器が感知してブザーが鳴る仕組みだ」その言葉に嘘発見器のブザーが鳴った。 #twnovel

2010-12-22 02:01:39
クリントン大西 @klinton_onishi

#twnovel 点と線がケンカをしていた。点は線をぶつ切りにし、無数の点にしようとしたが、いくら切っても線は線だった。逆に線は、点の仲間を見つけだし、両者をくっつけて線にしてしまう。点は消滅し、線が勝利した。教訓「浅漬けを作る時は、塩の入れすぎに注意して」

2010-12-22 05:07:23
あまたす @amatasu

毎年、編み物に挫折している。今年も、編み始めてすぐ仕事が忙しくなり、存在すら忘れていた。しばらくして、同棲中の彼がプレゼントだと渡してくれたのは、私の毛糸を使ったマフラー。私より上手。模様編みまで入っている。どう?と聞く彼に、気持ちが絡まって何も言えなかった。 #twnovel

2010-12-22 05:54:33
浅葉積木 @tsumiki_a

ある老サンタが引退して、屋号をトナカイに譲った。そのトナカイは、24日の夜にひとりでプレゼントを配るのもつまらないからと配達ついでに内職を始めた。『30分だけあなたもサンタ! 一回三百円!』 けっこう好評で、毎年予約でいっぱいだ。ときどき老サンタも乗りに来る。 #twnovel

2010-12-22 06:59:45
ヒソヒソらっこ。 @Rakko1984

#twnovel 住民が二人だけの村に武器屋と防具屋がありました。各店には自分の商品と同じくらい相手の商品が積まれてます。何故かと聞けば、武器屋は、あいつの防具を砕けることを実演するために買ってると。防具は、あいつの武器を防げることを実演するために買ってると。二人の店は商売繁盛。

2010-12-22 11:23:20
@NAYUTAUNAGINOVE

平日の昼すぎ、市のゴミ収集車が音楽を鳴らしながらやってきた。道路沿いにある集積所のゴミを回収すると、収集車は左折して狭い私道へ入った。あの私道の先にあるのは上田さんの家だけで、行き止まりだ。ゴミの集積所などない。数分後、何かを回収して収集車は走り去っていった。 #TwNOVEL

2010-12-22 15:13:52
しーな@GO2完走 @xsheeenax

タキシードにマントという出で立ちの金髪碧眼の青年が、恋人たちのクリスマスムードにげんなりしている。クリスチャンでもないのにあちこち十字架飾らないで欲しいな。独りごちながらカラフルな街をそぞろ歩く。彼は意気地無しの吸血鬼。今日の食事は、念の為宗派を確認しておこう。 #twnovel

2010-12-22 16:28:11
たくわん @takuwan_takusan

その赤ん坊は産声をあげなかった。気管が詰まっている様子もなく、じいっと母親の顔を見ていた。その子は人間の赤子ではないかもしれない、と産婆がぽつりとこぼした。赤ん坊は突然きゃっきゃと笑い始めた。母親は我が子を抱き上げたまま動けなくなった。 #twnovel

2010-12-22 18:26:23
八本正幸 @nekogamihakase

人間豹は飢えていた。誰かに尾行されているような気がして振り返ると、女装した少年探偵だった。今夜はセーラー服を着ている。「こういうのがお好みだと、先生がおっしゃってました」と言われると、否定出来ない人間豹であった。 #twnovel

2010-12-22 18:40:00
@QuaibunPocket

馬手に缶ビールを傾けながらホームのベンチに座っていたら、誰かに組んだ膝をつつかれた。見上げるとハンチングのオシャレな黒人男性が白い歯に左手の親指を立てている。それから、右手で私の靴を指差した。とてもステキな笑顔だったので弓手で返礼した。私の靴が水玉柄だったのだ。 #twnovel

2010-12-22 19:38:28
hua @hua_shancha

#twnovel ある作家が言う小説を書く理由は「ある種の真実は嘘でしか語れない」主人公のモデルは殆ど僕と彼だ。彼から彼女を奪った事、近所の犬を射精させた事、○○に×××した事、全部出版された。けど僕は架空人物。今でも色々やって僕は彼にネタを提供する。そういう関係。

2010-12-22 19:47:33
layback @laybacks

窓際の席の結城君は今日も単語帳になにかを書き込んでいる。なんの勉強だろう。訊いてみたかったけど自分から話かけるなんてとてもできない。「なぁ三崎、お前本好きだろ。これ俺が書いたんだ。読んでみてよ」私の手のひらに小さな小説。なんてね。私は読みかけの本に意識を戻した。 #twnovel

2010-12-22 20:29:17
ショートショート @shortxshort

「よう。メガネ君」そう呼ばれるのにウンザリし僕は決意した。メガネを捨て、体を鍛えるため科学的トレーニングを開始。必要カロリーは?最適な運動量は?栄養バランスは?結果遂に理想の体型を手に入れた。僕はなんと呼ばれるのだろう。教室に入る。「よう。ハカセくん」 #twnovel

2010-12-22 20:34:32
内藤みか(作家) @micanaitoh

ひとり暮らしの女がいました。ひとりで仕事をしひとりで食事をしひとりで寝ていました。何のために生きているのかわかりませんでした。女は男と出会いました。ふたりで働きふたりで食べふたりで抱き合って眠りました。何のために生きてきたのか女は初めてわかりました。 #twnovel

2010-12-22 21:29:34
あひる(白) @ahiru026

#twnovel ベランダに目をやると窓の向こうでサンダルがつま先をこっちに向けて並んでいる。不精なかつての自分に苦笑し、サンダルを揃えに行く。サンダルを揃え窓を閉めると得体の知れないものが背後に立っていた。それが「お邪魔します」と言った瞬間に悟った。“招き入れてしまったのだ”。

2010-12-22 21:54:49
さとまる @satomaru76

#twnovel 苦手なレーズン入りのアップルパイ、これ以上食べられそうにないけどこのまま帰るのも…。悩みつつトイレへ。戻ってみるとテーブルはきれいに片付いて。「ご注文はお決まりでしょうか」 え? あれ? いいのかなぁ。…じゃあ「チーズケーキを」。そこは「カフェ・タイムマシン」。

2010-12-22 22:12:19
@K_Ichida

#twnovel ちょっと前まで憎かった男。その男が好きでたまらない。どうしても結婚したい。でも彼には妻子がある。思いを込めて彼を見つめる。「なんで僕の顔をじっと見てるの?」「うん。あなたともう一度、もう一度恋をして結婚したいなあ、と思ってさ。夫婦でなければよかった」

2010-12-22 22:25:36
藍 真史 @shin1960

#twnovel 息子がサンタはいないと言いはる友達と喧嘩したらしい。お前はサンタがいた方がいいと思うか?それならいつか会えるさ。その夜。時間ですよ。妻が声を掛ける。2階の窓を開ける。赤いコートを着て黒光りするソリに飛び乗った。うなずくトナカイ。ソリは勢いよく深夜の街へ疾走した。

2010-12-22 22:28:48
layback @laybacks

朝、目が覚めるとザリガニになっていた。だが淳は平然としていた。どうせ引きこもりなのだから大して困りはしない。風呂だって最後に入ればいいさ。ところがある日、一番風呂に入りなさいと父親に言われた。食卓の上にはマヨネーズ。浴槽の湯は煮えたぎっていた。淳は全てを察した。 #twnovel

2010-12-22 22:46:42