暗殺者 ニードル・ショット #FSS_jp

夢乃 @iamdreamers

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外れた。目標の側で上がった火の手には目もくれず、俺はすぐさまケーブルをトランクから引き抜き、トランクとランチャーをコートの下に隠して屋上の反対側に向かった。あらかじめ用意していたケーブルを滑り降り、隣のビルに降り立った。 #FSS_jp #twnovels

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ケーブルを回収し、非常階段を駆け下りる。数階分を降りた踊り場で、いったん歩みを止めた。周囲の気配を探る。 ・・・大丈夫、追っ手の気配はない。 #FSS_jp #twnovels

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落ち着いてランチャーを分解しトランクにしまいながら、俺は今の出来事を反芻した。 スコープ内の目標に向けてトリガーを引いた瞬間、目標がこっちを向き、視界から消えた。 #FSS_jp #twnovels

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発射された弾丸─ニードルは目標の先にあった可燃物のタンクに突っ込んで、炎を上げた。ポイントをそこにした理由はこれもある。避けられても炎で目標にダメージを負わせられるかもしれない、それは無理でも気を逸らせるだろう。 #FSS_jp #twnovels

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しかし、何故気付かれた。ランチャーの微かな発射音か？　いや、それはない。発射されたニードルの速度は音速の9倍近い。発射音を捉えたとしても、そのときはニードルは目標を貫いている。 #FSS_jp #twnovels

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トリガーを引く瞬間の、俺の殺気を捉えたか？　騎士は1,000m先の微かな殺気も捉えられるものなのか？　それとも、ニードルが押しのける空気の気圧変動を捉えたか。判らない。判るのは、この手は騎士相手に二度と使えない、ということだけだ。 #FSS_jp #twnovels

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ランチャーをトランクに収めた俺は、ステルス・コートのスイッチを切り（今まで忘れていた。やはり、緊張していたのだろう）ビルを後にした。別の手段を考えなければ。 #FSS_jp #twnovels

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しかし、仕事の終わりは突然訪れた。 翌朝、ニューズリンクを見ていた俺は、そこに某国の内務次官暗殺のニュースを見つけた。それは、一瞬だけ見た依頼者の顔だった。他人の空似か？ #FSS_jp #twnovels

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念の為、あらかじめ決めていたコンタクト手段で連絡を試みたが、応答はなかった。これではこの依頼を続ける意味はない。しとめたところで報酬が入らないのでは。 #FSS_jp #twnovels

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くそ。今回の仕事は完全に赤字だ。報酬の一割を前金で貰っているが、ステルス・コートとランチャーの調整のために休んだ表の仕事の報酬分、それにカステポーまでの往復運賃を入れたら完璧に足が出る。 #FSS_jp #twnovels

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その上、未だに仕留める方法を思いつけない。 もう二度と、どんなに困窮していても、どんなに高額の報酬を示されても、騎士の殺しの依頼は受けん。こんなに割の悪い仕事はあったもんじゃない。 #FSS_jp #twnovels