ア・ニンジャ・サドン・ライズ・アンド・スクイーズ#6

ニンジャが出て搾る!
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@nezumi_a

「オヌシは死なぬ!何故なら今からオヌシは我!オヌシはニンジャとなるからだ!」カジツ・ニンジャは己の右腕をガラシダの腹の傷口に突き刺した!01ノイズが飛び散り、肘までが埋まる!「ニンジャナンデ!アバーッ!」「そして怒りのままにレモンを搾るのだ!」「搾る!レモンを!」24

2015-05-17 15:21:09
@nezumi_a

「そうだ搾れ!イヤーッ!」そしてズブズブとガラシダの身体へと埋まっていくではないか!コワイ!「アバーッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!」「ィイイイヤアーッ!」「アッバー!アバババババーッ!」25

2015-05-17 15:24:16
@nezumi_a

01011101011011010101 26

2015-05-17 15:27:16
@nezumi_a

「イヤーッ!」カイシャクの刃がガラシダの首めがけて振り下ろされる!「カイシャクヤッター!」イシルギの専務が歓声をあげた。「エッ」カイシャク役のアトウは己の手元を見た。まるで木か何かに振り下ろしたような手応えだった。「エッ」振り下ろしたカタナが、止まっている……?27

2015-05-17 15:30:13
@nezumi_a

「アトウ=サン、もったいぶらずにズバッとやってくださいよ!」エンダの言葉にアトウは再度己の手元を見た。自刃したガラシダ、その首筋にカタナの刃が当たっている。しかし切れてはいない。不意にガラシダは身を起こすと無造作にカタナを掴んだ。「エッ」28

2015-05-17 15:33:22
@nezumi_a

アトウは反射的に刀を引こうとした。だが、アメフトで鍛えたアトウの筋力をもってしても、万力で締められたかのようにカタナはビクともしない。「イヤーッ!」KLAP!ガラシダの叫びと共に、カタナがまるでワリバシを折るかのような気軽さで折れた。(カタナを折った?握って?)29

2015-05-17 15:36:18
@nezumi_a

「ガラシダ=サン……?」アトウの呼び掛けにガラシダは立ち上がる。そして言った。「ガラシダ係長は死んだ。今ここに居るのはニンジャだ」「ニンジャ?」「ガラシダ係長、アンタおかしくなったのか」アトウとエンダが顔を見合わせる。「いいから死んでくださいよ」「そうだそうだ」30

2015-05-17 15:39:21
@nezumi_a

「おい、セプクはどうした!早くカイシャクしろ!」酒に酔ったイシルギの専務が囃し立てる。それを見てガラシダは笑った。「セプクショーは続きますよ」この場に居る者達は自分の置かれている状況を理解出来ていない。そう、自分の命が危険に晒されていることを。「ただし、貴様ら全員のだ」31

2015-05-17 15:42:14
@nezumi_a

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2015-05-17 15:45:10
@nezumi_a

アンノウ株式会社の部長室。壁の棚にはコケシや安物のショーギのコマが飾られ、壁には不如帰のカケジク。重役のオフィスとして一応の体裁は整っているが、デスクや椅子は一般社員と変わらない。部長室とは名ばかりの粗末なオフィスだ。33

2015-05-17 15:48:17
@nezumi_a

「今回の件が上手くいけば、こんな貧乏くさいビルともオサラバだな」シズヤマ部長がオイランドロイドにお酌をさせながら笑った。このオイランドロイドも二世代前の旧式を中古で買ったものだ。ポールダンスを踊ることも出来ない。34

2015-05-17 15:51:10
@nezumi_a

部長は上機嫌でサケを飲み干し、ユノミを差し出す。オイランドロイドは安いプログラムで笑みを浮かべ、サケを注ぐ。「今頃はガラシダ=サンのセプクショーで盛り上がっている頃だろうか」シズヤマ部長は今回の合併計画のリーダーであり、ガラシダを宴会幹事に選んだ張本人だ。35

2015-05-17 15:54:14
@nezumi_a

「ガラシダ=サンもヌケガケしようとしなければ、こんな事にはならなかったんですよ」痩せたカマキリのような眼鏡のサラリマンが相槌を打つ。彼はタクリ係長、いや、彼は十分前に発行された内示で課長となっていた。そう、ガラシダのセプクは最初から仕組まれていたのだ。36

2015-05-17 15:57:10
@nezumi_a

イシルギ建設の専務は一部では有名なサディストで、酒が入ると血を見たがる困った性癖があった。通常であればヒラ社員のケジメショーで済むが、今回は大事な商談。相手を満足させる必要があった。ナムサン、シズヤマ部長の接待プランには、初めからサプライズセプクが織り込まれていたのだ!37

2015-05-17 16:00:11
@nezumi_a

そして、セプク役として白羽の矢が立ったのが、ガラシダ係長というわけだ。本来、宴会というものは流血沙汰を嫌うものだが、古代ローマ剣闘士奴隷の殺し合いを楽しむ権力者めいた残虐性もまた、否定できない人間の本性といえる。38

2015-05-17 16:03:26
@nezumi_a

「せめて社葬は盛大にしてやろう」サケを飲みながらシズヤマ部長は言った。彼としても、忠実な部下であるガラシダを失うのは辛かった。しかし、彼は是が非でも合併を成功させねばならない理由があった。合併を提案したのはシズヤマ部長だが、彼は指示に従ったにすぎない。では何者が発案を?39

2015-05-17 16:09:58
@nezumi_a

その時、アンノウ社のビル上空をマグロツェッペリンが通過し、カンジサーチライトの鋭い光がブッダの啓示めいて窓から差し込んだ。その光を受け、シズヤマ部長の胸元の金色のバッチが不吉な輝きを放った。クロスカタナのエンブレムを施されたバッチが。40

2015-05-17 16:12:38
@nezumi_a

ナムアミダブツ、シズヤマ部長はソウカイヤの手先と成り果てていたのだ!「アトウ=サンとエンダ=サンは君の部下として配置換えだな」「ハイ!恐れ入ります!」深々とオジギするタクリ課長を、シズヤマ部長は無感情に見た。(次のセプクがあれば、自分の番とも知らずに)その時である。41

2015-05-17 16:15:09
@nezumi_a

CRAAAASH!突如ビルのガラス窓が砕けた!ビル風に煽られた重金属酸性雨が舞い込み、室内に錆臭い匂いが満ちる。「アイエエエエ!?」ガラス片で額を切ったタクリ課長が腰を抜かし、へたりこむ。「一体何事だ!事故か!」42

2015-05-17 16:18:22
@nezumi_a

シズヤマ部長が割れた窓の方を見ると、そこには、ワイシャツを赤黒く染めたガラシダ係長の姿があった。「ドーモ、シズヤマ部長、タクリ係長」「ガ、ガラシダ=サン!?バカな!死んだはずだ!」タクリ課長は驚きのあまり、眼鏡を外し、レンズを拭いて再装着する。43

2015-05-17 16:21:11
@nezumi_a

「そうか、やはり知っていたんですね」「アッ」「わ、私は知らんぞ!さっき電話があったんだ!」シズヤマ部長が言った。「そ、そうだ、電話が!」「電話。それは何時頃ですか」ガラシダは狂的クレーマーへの対処電話めいた丁寧さで問う。静かな声には慈愛すら感じさせる。44

2015-05-17 16:24:10
@nezumi_a

「そんなもの忘れた!」タクリ課長がヒステリックに叫ぶ。「それに、こんな時間に会社に来て何をしようというのだね!」シズヤマ部長が言った。「これから残業ですよ。やり残した仕事があるので」ガラシダはあくまで静かに答える。45

2015-05-17 16:27:15
@nezumi_a

「そ、そうか、残業ご苦労さま!カラダニキヲツケテネ!」シズヤマ部長はそういうと、部屋から立ち去ろうと立ち上がった。「こんな時間まで残業をしていたお二人に差し入れがあります」「そうか!気が利くな!」ガラシダがデスクの上に置いたのは……ナムサン、アトウとエンダの生首だ!46

2015-05-17 16:30:08
@nezumi_a

「「アイエエエエエエエ!?」」「二人から話は聞きました」ガラシダの目がギラリと光り、ニンジャの眼光となった。「私の残業は貴方達を殺すことですよ」「「アイエエエエエエエ!?」」「イヤーッ!」「アバーッ!」強烈なケリ・キックがタクリ課長の腹部に突き刺さった!47

2015-05-17 16:33:09
@nezumi_a

タクリ課長は口から血を噴きながら飛び、壁に激突!そのまま動かなくなった。蹴られた瞬間に内臓が破裂しショック絶命していたのである。ガラシダはシズヤマ部長に詰め寄る。「ガラシダーッ!」シズヤマ部長は安デスクの引き出しからオートマチック拳銃を取り出す!BLAM!48

2015-05-17 16:36:20