- haiiro8116
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とある世界、とあるダンジョンにて、二人の冒険者が話をしている。 「今回のクエストは、クロースイーターの捕獲だ」 「クロースイーター?」 先輩冒険者がクエストの依頼書を後輩に渡し、後輩はそれを見て先輩に問い返す。 「ああ、マンイーターっていうモンスターがいるだろ?あいつの亜種さ」
2015-05-27 20:02:24「あー、あの触手で人を捕まえて消化して食べてしまう・・・・・・またおっかないモンスターの捕獲依頼ですね」 マンイーターは、沢山の蔦状の触手と大きな口が特徴の植物系モンスターである。 性質は凶暴というか常に飢えており、冒険者を見つけ次第その触手でからめ取って窒息させる。
2015-05-27 20:03:15そして口の中に放り込んでゆっくりと消化してしまう危険なモンスターだ。 「おっかない・・・まあ、ある意味おっかないと言えるかな?非殺傷型の亜種モンスターなんだが」 「非殺傷型?」 「つまり人を殺さないモンスターなのさ。無害では無いがな」
2015-05-27 20:03:33そんな話をしながら、先輩と後輩はダンジョンを歩いていく。 「人を殺さないけど無害では無いんですか?」 「ああ。まあ、人にとっては無害どころか有用でもあるんだが・・・前に見つけたのは、ここらあたりだったかな・・・・・・?」 そう言いながら先輩は周囲を見回す。
2015-05-27 20:03:46「え?前に居た場所に居るタイプのモンスターなんですか?」 「非殺傷型の亜種モンスターは、何故かあまり経験値にならないし、殺されもしないからな。積極的に討伐する理由はあまり無いのさ。」 先輩は周囲の確認を続けつつ、後輩に説明を続ける。
2015-05-27 20:04:24「特にクロースイーターは・・・先程も言ったとおり、使いようによっては有用でな。捕獲は兎に角として、討伐してしまうと他の冒険者から文句を言われる事がある」 「ほへー、そんなモンスターがいるんですねえ・・・痛っ!?」 後輩が感心していると、先輩に軽く頭を小突かれた。
2015-05-27 20:04:45「お前も探せ。マンイーターを見た事があるだろう?クロースイーターは、あれをそのまんまピンク色にした奴だ」 「探せと言う前に、それを先に教えてくださいよぅ。ピンク色のマンイーター、ピンク色のマンイーター・・・ん?何か凄く良い薔薇の香りみたいなのが・・・・・・」
2015-05-27 20:05:08後輩は不意に鼻をひくつかせ、そう呟く。後輩の鼻腔は、高級な薔薇の香水のような香りを微かに感じ取っていた。 「でかした!奴は薔薇の香りを漂わせているんだ。その匂い、辿れるか?」 「いやいや犬じゃあるまいし・・・でも、こっちからだと思います」
2015-05-27 20:05:38後輩は鼻をひくつかせ、匂いのする方向に向かって歩いていく。 「うん?」 そうすると、剣が抜身のまま落ちていた。妙な事に柄の部分までピッカピカの金属地が出ている。本来そこは布か何かを撒いて滑り止めを施す筈なのだが。
2015-05-27 20:06:07そしてその先を見ると、小型の盾であるバックラーやら金属鎧の肩パッド部分やら・・・金属のあれこれが、妙にピカピカに輝いて落ちている。 「んー?胸当てだ・・・この形状は女性用ですかね?塗装がされていないし、錆ひとつないピカピカの金属地になってら。何だこりゃ?」
2015-05-27 20:06:30「あー、間抜けが引っ掛かったか・・・こいつは素敵だ」 先輩は軽く上を向き、そしてにへらと笑った。 「素敵ってどういう事で・・・ん?何だこの音?」 それは音というか、女性の声のように聞こえた。 「んむぅ・・・んぐっ・・・んっ・・・んぁ・・・あっ・・・んぁ・・・・・・」
2015-05-27 20:06:48「な、なんだぁ!?」 冒険者たちが角を曲がると、そいつはいた。 ピンク色の触手がうねうねの生き物で、周囲には高級な薔薇の香水のような香りが充満しており、そして口が大きく膨張している。 マンイーターを見た事がある冒険者達は知っていた。それは人を捕食している状態であると。
2015-05-27 20:07:03通常のマンイーターであれば、絶命した者を口に放り込むので完全に手遅れだが、中で誰かが動いているらしく、口の部分が蠢いている。 「あむっ・・・んっ・・・んあっ・・・・・・」 「何てことだ!捕食されている、助けなきゃ!」 後輩は剣を抜き放ち、捕食されている誰かを助けに行こうとした。
2015-05-27 20:07:25「まあ待て。さっき見つけた鎧があの具合だと、もうすぐ終わるから大丈夫だ」 「へ?でも捕食されているんですよ?」 「さっき言っただろう?」 クロースイーターの口が開いた。
2015-05-27 20:07:52「あっ!あひいぃぃっ!」 それと同時に女性の何やら悩ましげな嬌声が響き渡り、ペッという音と同時に全裸の女性が吐き出された。
2015-05-27 20:08:23それと同時に女性の何やら悩ましげな嬌声が響き渡り、ペッという音と同時に全裸の女性が吐き出された。 そしてクロースイーターは、もそもそとその場から去って行く。 「無害では無いが、人を殺さないってな・・・うーん、眼福眼福」 先輩は裸の女性を眺めながら、スケベそうに鼻の下を伸ばしている
2015-05-27 20:08:32「先輩、変態!」 後輩は女性を抱き起そうとし、彼女を先輩の視線から守るように隠しつつ、顔を真っ赤にして抗議した。 「あ、でも、この人無事そうです。無事そうというか、むしろ何か健康そう・・・・・・?」
2015-05-27 20:08:51「そりゃもちろん無事だろう、こいつはクロースイーター。別名、触手エロエステモンスターだからな」 「触手エロエステモンスター・・・・・・」 後輩によって大部分が視界から外れてしまった裸の女を惜しそうに眺めつつ、先輩は説明を始める。
2015-05-27 20:09:08「マンイーターってのは本来、人を捕まえて窒息死などさせ、口に放り込んで溶かして食うモンスターだ。 低レベル冒険者には脅威な割に、ダンジョン中層から低層に生息域を拡げてくる。だからギルドはある程度高いレベルの冒険者にクエストという形で定期的に間引きしてきたんだ」
2015-05-27 20:09:27「それは知っています。だから、低層では滅多に出ないんですよね、マンイーター」 ずぶ濡れで気絶している女性をタオルで拭きながら、後輩はそう答えた。
2015-05-27 20:09:42「ああ、その通り。それでな、何度も討伐していると、時折その状況を避けようとする亜種が現れる事があるんだ。 このクロースイーターに落ち着くまでに、何度も試行錯誤しながらな。
2015-05-27 20:10:03最初は人を殺さ無いだけで、装備品を全部溶かしちまう亜種が生まれたが、殺さないだけで装備品やダンジョンに持ち込んだ財産を全部溶かされたら堪ったもんじゃないから討伐された。
2015-05-27 20:10:15んで、その亜種の中から鎧等の金属装備だけを溶かさない亜種が生まれたが、殺されなくても気持ち悪いからやっぱり討伐された。 そしてその亜種の中から生まれたのが第一世代クロースイーターと呼ばれる亜種でな。金属装備だけを溶かさずに、更に丸呑みにされた冒険者に性的快感を与えるようになった
2015-05-27 20:10:57何が何だかわからないが気持ち良くなった冒険者は、暫く呆然として、吐き出しても反撃しなかったからのようだ。 ただこれも、ふざけんなという事で討伐対象にはなっていた。そうしたらな・・・クロースイーターはどんどんサービスを充実させていったんだ」
2015-05-27 20:11:15