登場人物
二人は高校二年生。隣のクラス同士でたまに弁当も一緒に食う。
本編
ゲドウくんにとって生きるとは金がすべて。 金がないやつは死んで当然。金がなければ生きてはいけない、金を集めるためだけに生きているのだ。なぜなら両親が借金の末に自殺してから、金だけを頼りに生きてきたから。 金さえあればいい、金だけがオレを満たしてくれる。
2015-06-02 23:33:27そんな時、あやしい男が一人。ゲドウに「これを買わないか?」と聞いてきた。 それは心を具現化し武器にする能力。その武器が折れた時心が折れて廃人になるが、どんな武器よりも強い力を持っている。
2015-06-02 23:36:38既に金を駆使してビジネスを成功させたり、株取引したり、そのへんの雑魚から金を巻き上げていたゲドウくんは二つ返事で取引を即決。 さっそく力を使って具現化してみれば、刀身にべたべたと様々な国の金が巻きつき、どす黒いオーラを放っている剣だった。男はそれを"滅びの力"と言った。
2015-06-02 23:39:29そしてゲドウが手にしたのが、心を具現化する能力・・・ラパーチェだった。 その能力を使って金を巻き上げまくっていたゲドウは、ある時、能力者が集い優勝者にはどんなのぞみも叶えるという大会の噂を聞く。
2015-06-02 23:41:38当然大会に出場し、優勝して一生尽きない金を手に入れようとしたゲドウだったが、大きな邪魔がそこにはあった。 幼馴染であり、師匠でもある少女。カクレだ。
2015-06-02 23:44:32カクレはゲドウが小さい頃からの友人であり、同時に師匠でもあった。カクレの家は古くから代々続いてきた忍者の家系である。その家系の娘と仲がよかったゲドウは、両親がいないのもあってこの家にたまにお世話になり、その度に忍術の修行をさせられていたのだ。
2015-06-02 23:46:15そのカクレが、ゲドウの所業を以前から知っていたため自分も大会にでると言いだしたのだ。ゲドウにとっては師匠でもある女。強いため大会に出場することを阻止しようとしたが、能力もどこからか手に入れ、止めることができなかった。
2015-06-03 00:24:55そんなこんなで幼馴染のカクレと一緒に大会にでることになってしまったゲドウ。 カクレとしては、幼馴染である彼が悪いことをしないか見張るのもそうだが、純粋にゲドウが心配でついてきたのだ。昔のゲドウは、酷くて目も当てられなかった。
2015-06-03 00:50:30感情というものが、おおよそゲドウにはなかった。はじめてカクレが会った時も、路上で生活している浮浪者のような姿だった。そんなゲドウの手をとり、一緒に遊ぼうと誘ったのはカクレだ。 カクレはゲドウの師匠でもあるのだ。ゲドウを守らなくてはいけない、そう思っていた。
2015-06-03 00:51:49大会の概要とはこうだ。 1、この大会では敗者の生死は問わない。 2、能力者しかこの大会には出られない。 3、優勝者には望むものを与える。
2015-06-03 01:04:09とうの昔に潰れた廃ビル、そこを悪趣味に改造し作られたリング。 眩しいライトがゲドウの目をちくちくと傷つけた。殺し合いを望む歓声が360度聞こえる中にゲドウは立っていた。 たたかうゲドウには、いまから金がたくさん入るという期待しかなかった。
2015-06-03 01:14:31ゲドウの力とは、"金を操る"ことだった。相手の金を強奪し、自分の金を消費して能力を使う。ラパーチェというのは、使用者の心を映す鏡でもある。ゲドウのそれはまさしく本質だった。 大会を順調に勝ち上がるゲドウ。 どんな相手でも、この力があれば勝てる。カクレにだって、余裕だろ―――
2015-06-03 01:15:24「あがああああぁあ」 自分の叫び声でゲドウは一気に現実に戻された。なにが、なにがおこってる…。痛みで、前も見えない。真っ白な視界の中、自分の中の何かが、メリメリとはがされていくような、恐ろしい痛みが全身の至るところから襲った。地面をのたうち回り、蹲り、そして動かなくなった。
2015-06-03 01:39:28それは突然だった。 「決勝戦を2対1にする」本来決勝で戦うはずだったカクレと、タッグを組んで戦えということだった。相手は野良試合で勝ち上がった相手…らしい。ゲドウは一度も姿を見ていなかった。カクレとタッグを組んでいいならば…この試合落とすわけがなかった。
2015-06-03 01:39:37「やぁやぁ、こんにちわ。僕の名前はグキッド」 ゲドウより小さい男がそこには立っていた。高貴な佇まいをしているが、相手を見下す笑が全てをぶち壊していた。 「お相手、お願いしようかな」 男が振り上げた手に形作られたのは、身の丈を優に超えた強大な剣だった。
2015-06-03 02:16:27振り上げた剣がゲドウを貫く度に、ゲドウは動けなくなっていく。なんだ…これ…。声を上げるまもなく転がされてしまった。 コンクリートの冷たい地面から這い上がろうとすれば、その頭をグキッドが踏んでくる。目線の先には、ぐったりとしたカクレが身動き一つしない。 カクレ…。声がでない
2015-06-03 02:16:33ゲドウは自身の分身である剣を振り回すが、逆に奪われてしまう。 くるくると回しながらグキッドがおもむろにその剣を掴み、上から下までじっくりと眺めた。訝しげだった顔は、徐々に確信へと、笑みへと変わっていく。 「アハッ…やはりそうじゃないか、こんなところに隠しやがって」
2015-06-03 02:22:47ゲドウの頭を強く踏みつけながら、グキッドがその刀身にぴったりと張り付いていた金をむしり取る。一枚二枚…はらはらと床にその紙が落ちるときゲドウの全身に激痛が走った。叫び、のたうち回るゲドウなどどうでもいいとばかりに、グキッドは次々と金を毟っていった。
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