やたらと真っ赤な<守護戦士>番外編 feat.ログ・ホライズンTRPG in お茶会2 ~ハーフアルヴを狩る者たち~

ログホラTRPGの世界観を舞台に、一緒に遊んだ人たちのPCを巻き込んで、自分のPCの一日を妄想してみたりとか 今回は5/31に行われたイベント「橙色の茶会~丘の向こうへ続く道~」にて行われたログホラTRPG体験コーナーに参加したときの出来事をベースに書かせていただきました。
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Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「よう。伊達おめぇ、こんなトコで何してやがんだ」 「うおっ!?お前こそ何してんだアレクっ!?」 おおよそ甘味という言葉とはほど遠い風貌の武士をばったり出くわす。 色々突っ込みたいところはあるがひとまずは後回しだ。 <23>

2015-06-02 02:10:51
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「うわっ!?ケーキにチリペッパーがっ!?」 「おのれ《腹ぐろ》っ!」 派手な転倒音と飛び交う罵声。 会場から慌てて離脱しようとした腹ぐろが調理台に蹴躓き、先程ぶち抜いたカレー屋からうっかり持ってきた香辛料がケーキに掛かり、[辛い]タグが付与されてしまったのだ。 <24>

2015-06-02 12:09:17
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「なぁ伊達、ありゃあ一体…」 「すまんアレク、後で説明するから…」 罵声を浴びせられ、卵やら泡立て器を投げつけられながらも這いつくばるようにして逃げるシロエ。 だんだんと可哀想になってきた気がしないでもないが、向こうが逃げるからには負わない理由がこちらには無い。 <25>

2015-06-02 12:18:56
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

路地裏の袋小路。 激しいチェイスの末、俺達はいよいよここまで追い詰めることに成功した。 「ぜぇ…ぜぇ…もう逃げられねぇぞ腹ぐろ…!」 「はぁ…はぁ…せ、せめて何故追いかけるのか、理由くらい聞かせて下さい…!」 「そんなん俺が知るかーーッ!」 「理不尽だぁーーっ!?」 <26>

2015-06-03 21:59:43
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

そもそも俺達は何故この男を追いかけていたのだろうか。 追う者と追われる者。何がその差を産んだのか。 その長き道のりの果てに、俺達は一体何を見るのか…… 脳に酸素が回ってないせいで思考が明後日の方向へ向かっているが、それはそれとしてこの馬鹿騒ぎも大詰めである。 <27>

2015-06-03 22:03:09
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「いつか辿り着いたら打ち明けてやるよっ!《スカーレットスラスト》っ!」 「ランナー!?」 的確なツッコミを入れながらもフォースステップで間合いを取り、紙一重で俺の一閃を避けるシロエ。 しかしこの一撃はフェイク。 奴が動いた位置はちょうどエミールの射線の真っ只中である。 <28>

2015-06-03 22:07:24
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「悪いねシロエさん…《ソーンバインド・ホステージ》っ!」 「うわぁっ!?」 エミールの放った魔力の蔓がみたびシロエを拘束する。 目には目を。付与術師には付与術師を。 防御力が高くてダメージが通らないのであれば、防御力を無視できるダメージを与えればいいのだ。 <29>

2015-06-03 22:10:56
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

こちらの攻撃が命中する度、《ソーンバインド・ホステージ》の茨が弾け飛び、僅かずつではあるもののダメージが通ってゆく。 妖術師の姉さんが放つ魔力弾、わん次の飯綱斬り、俺のスカーレットスラスト。 そしてコハギの…… ってアレ?コハギどこ行った? <30>

2015-06-03 22:14:36
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「うえぇぇん…置いてかないでくださいよぅぅ…!」 振り向くとすっかり流れに取り残され半ば涙目になりながらも、ぴょこぴょこと頑張ってこちらへ駆けて来るコハギの姿。 しかし。 「ぁうっ!」 ずるっ。べたーん。 そんな擬音が似合いそうな、盛大なすっ転び方をするコハギ。 <31>

2015-06-03 22:21:13
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

その瞬間である。 突如銃弾めいた球速のお手玉がシロエの顎を直撃した。 先刻俺が買い与え、装束の袂に入れてあった《菱菊模様のお手玉》が、コハギが転んだ弾みで飛び出したのだ。 どうやらこのアイテム、所持者の被ダメージに反応して射出されるというパッシブ機能もあった模様。 <32>

2015-06-03 22:34:15
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「これで終わりだよ!《パルスブリット》っ!!」 「~~~っ!!《ヴォイドスペル》っ!」 エミールがトドメとばかりに放った無数の魔弾を、シロエによる苦し紛れの虚無魔法がまとめて飲み込んでいく。 だが、MP消費量の関係か、先に掻き消えたのはヴォイドスペルの方であった。 <33>

2015-06-03 22:50:26
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「今度こそぉっ!!」 「うわあああっ!!?」 機関銃が如く連続で射出される魔力弾がシロエに巻き付いていた最後の茨を撃ちぬく。 俺達はついにあの《腹ぐろ眼鏡》を地に下したのだ。 <34>

2015-06-03 22:56:31
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

ほぼ半裸と言ってもいいくらいボロボロの格好のシロエ。 HPはゼロにはなっていないが、既に抵抗する余力は残っていない様子だ。 というか、その格好で涙目になりながらこっちを見られると…… なんていうか、その、色々と情操教育とかに良くない気が。 <35>

2015-06-03 23:02:29
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「ああっ、コハギちゃん見ちゃいけませんっ!」 「えっ!?ふぇっ!?」 シロエのあられもない格好に気づいたのか、慌ててコハギの目を覆い隠すエミール。 この娘がうっかりアッチの道に落ちてしまうようなことがあったら《三日月同盟》のマリエールに合わせる顔がない。 <36>

2015-06-03 23:05:48
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「さて《腹ぐろ》、大人しく俺達と一緒にアカツキ嬢ちゃんのトコへ…あれっ?」 「《フリップゲート》…!?しまった!」 「くそっ、逃げられたかっ!」 イタチの最後っ屁というやつか。 気が付くとそこにはシロエの姿はなく、ゲートの魔力の残滓だけが残されていた。 <37>

2015-06-03 23:11:18
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

「ちっ…腐っても《腹ぐろ眼鏡》ってか。してやられたぜ」 「確かに悔しいね…けど、あれだけダメージを与えた訳だし、他の人達に捕まるのも時間の問題じゃないかな?」 「そうだな……まぁ、深追いするまでもねえか」 「あ、あのっ!何だかよくわからないけどお疲れ様ですっ!」 <38>

2015-06-03 23:17:07
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

ともあれ、これで一応の義理は果たした筈だ。 後は他の連中に任せようという結論に落ち着き、俺達は路地裏を出て行く。 「しかし昼抜きで走り回ったから腹減ったな。飯食いに行こうぜ」 「賛成ー、どこにする?」 「あのあのっ、わたしもご一緒していいです??」 「おう、勿論だぜ」 <39>

2015-06-03 23:29:20
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

その後、程なくしてついにシロエが確保されたという念話が入ってくる。 なんでも、確保された時には俺らが下した時以上にあられもない格好になっていたらしく、一部の女性冒険者が大いに湧き上がったとかなんとか。 なんだかとてつもなく可愛そうな目に遭わせてしまったような気もする。 <40>

2015-06-03 23:34:05
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

ちなみにその数日後、《円卓会議》から俺へ直接名指しでとんでもなく鬼畜でえぐい《奈落の参道》絡みのクエスト(やっぱりというか署名欄にはシロエの名前があった)が発注され、ちょっとした地獄を見る羽目になったのだが…… それはまた別の機会に語ろうと思う。 <了>

2015-06-03 23:38:05
Dateryu/伊達龍之介 @Dateryu

やたらと真っ赤な<守護戦士>番外編。 feat.ログ・ホライズンTRPG in お茶会2~ハーフアルヴを狩る者たち~(GM孔雀さま)

2015-06-03 23:42:24