2014年7月14日「加工貿易から「目利き貿易」へ ~メイド・イン・ジャパンからチェックド・イン・ジャパンへ~」

2014年7月14日にまとめたもの(facebook)。2015年6月15日、NHKクローズアップ現代で「目利き力」が紹介された。目利き力についてのまとめ。
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shinshinohara @ShinShinohara

貿易赤字が拡大の一途をたどっている。天然ガスの輸入が増えているためだとされているが、貿易赤字の一部しか説明できない。赤字額がふくれあがったのはスマホやテレビなどの家電製品が輸出から輸入に大幅に変化したことが大きい。円安になっても日本の製造業が国内に戻ってくる様子はまだ見えない。

2015-06-15 23:18:42
shinshinohara @ShinShinohara

すでに日本の家電メーカーは為替変動に左右されないよう、海外での生産にシフトしており、あえて国内で生産し輸出するという仕組みに戻す動機が働かなくなっている。また、自動車以外の輸出の核となる産業が見あたらない。このままでは日本の貿易赤字は常態化し、いずれは経常赤字を招く恐れさえある。

2015-06-15 23:19:13
shinshinohara @ShinShinohara

経常赤字は国の膨大な借金を世界的に問題視させるかもしれない。 国の借金がこれまで海外から問題視されなかったのは、「外国に迷惑をかけていない」状態だったからだ。しかし経常赤字になれば、国の借金は世界中から問題視されるようになる。「金を返す気のない国」と見なされるからだ。

2015-06-15 23:19:51
shinshinohara @ShinShinohara

たとえれば家族から借金をしまくる男のようなもの。男の金遣いが荒くても、家族に充分な収入があるなら近所や知人から問題視されない。しかし家族以外の人間にまで「金を貸してくれ」と言い出したら「この家族はダメだ」と烙印を押されてしまう。「こいつは金を返さない」と見られても仕方ないだろう。

2015-06-15 23:22:03
shinshinohara @ShinShinohara

経常赤字は、これまで問題にされなかった財政赤字を一気に日本に致命傷を与えるものに変えるのだ。 だからこそ経常赤字はなんとしても避けなければならない。そのためには貿易赤字の拡大をなんとしても食い止めなければならない。それにはどうしたらよいのか。日本の強みをもう一度見直す必要がある。

2015-06-15 23:22:42
shinshinohara @ShinShinohara

私が日本の強みとして指摘したいのは、「品質チェックのやかましさ」 だ。 面白いことに、冷蔵庫に不可欠なある部品は、中国で生産し中国で使用するにもかかわらず、いったん日本国内に運び込み、日本で品質チェックを受け、それから中国に戻すのだという。

2015-06-15 23:23:16
shinshinohara @ShinShinohara

なぜそんな面倒で無駄に見えることをするのか?それは、中国の品質保証を中国の人たち自身が信じていないからだ。たとえ中国で製造されたものでも、日本人がチェックしたのなら品質は大丈夫だろう、と信じられているのである。日本で品質チェックする「チェックド・イン・ジャパン」は今も健在なのだ。

2015-06-15 23:23:51
shinshinohara @ShinShinohara

「チェックするだけでは儲からない」と思う人がいるかもしれない。しかし必ずしもそうではない。品質評価を牛耳ることで物流を牛耳ることもできる。ダイヤモンド市場はユダヤ人が牛耳っていることはよく知られている。

2015-06-15 23:24:27
shinshinohara @ShinShinohara

これは、高品質なダイヤモンドとは何か、という品質評価の仕組みを牛耳っているからだ。他の国がダイヤモンドの物流を別に行おうとしても、「で、品質は?」と顧客から尋ねられると、ユダヤ人が作った評価基準で評価してもらうより外ない。「評価」を牛耳れば物流を牛耳ることができるのだ。

2015-06-15 23:24:57
shinshinohara @ShinShinohara

これと同様なのが、オランダの花だ。オランダは世界のチューリップの88%を生産する世界最大の花の輸出国だ。 japan-jp.nlembassy.org/%E3%82%AA%E3%8…

2015-06-15 23:25:37
shinshinohara @ShinShinohara

それだけ聞けばオランダは自国で全ての花を生産しているように思えてしまう。そうではない。世界中から花を輸入し、そして輸出しているのだ。 たとえばケニアは世界でも指折りの花の生産国なのだが、そのうち69%はオランダへの輸出である。 kenyarep-jp.com/business/indus…

2015-06-15 23:26:20
shinshinohara @ShinShinohara

オランダの市場で評価され、そこからEU全域に輸出されるのだ。オランダはケニアから輸入したものを評価し、EUに輸出しているのである。「加工貿易」ならぬ「目利き貿易」だ。品質評価が定まっていないものを輸入し、評価を定めて輸出するだけで、その差益が得られるのである。

2015-06-15 23:26:55
shinshinohara @ShinShinohara

オランダはその他、カカオ豆の生産国でもないのに、カカオパウダーの世界一の輸出国でもある。カカオ豆からカカオパウダーの製造に最初に成功した国でもあるからだが、いまだにカカオパウダー市場を席巻できるのは、カカオパウダーの品質評価を牛耳っているからだ。

2015-06-15 23:27:28
shinshinohara @ShinShinohara

アメリカの穀物メジャーも同様だ。彼らの真の力の源泉は集荷力ではない。顧客の望む品質の小麦をどんなものでも提供できる「品質評価力」があるからだ。薄力粉か強力粉か。色は白い方がよいのか。質を保証できるからこそ顧客はこぞって買い求め、顧客が集まるからこそ生産者もそこに小麦を持ってくる。

2015-06-15 23:27:53
shinshinohara @ShinShinohara

品質評価力こそが物流を牛耳る上で重要な力である。

2015-06-15 23:28:47
shinshinohara @ShinShinohara

本来、この力は日本にもあった。大阪の堂島米市場もそう。江戸時代には日本中の米が大阪に集積し、全国に出荷されていった。なぜ?大阪はコメをランク付けする品質評価の力があったからだ。コメを高く売りたければ、堂島で評価してもらう必要がある。評価の力がコメの集荷力につながっていた。

2015-06-15 23:30:26
shinshinohara @ShinShinohara

つい最近になって、大阪でコメ市場を復活させたもののコメが集まらず、失敗に終わったのは、品質評価を行える「目利き」を怠っていたからだ。

2015-06-15 23:30:53
shinshinohara @ShinShinohara

目利きが全国を渡り歩き、これはという産地に「今度始まる市場にぜひ出品を。高く買う購買者を集めてみせるから」と伝え、他方、大口顧客に「うまいコメを全国から集めた。私の目利きで間違いないものばかり。ぜひご希望のコメを探してくれ。高品質なものをお好きな量入手できるから」と伝えていたら。

2015-06-15 23:34:31
shinshinohara @ShinShinohara

大阪コメ市場はかつての堂島と同じように、にぎわいを見せていたのではなかろうか。

2015-06-15 23:35:03
shinshinohara @ShinShinohara

コメだけではない。大阪は様々な食材が集積する場所でもあった。それぞれの食材を知り尽くす「目利き」が、顧客の望む品質の商品がどこで生産され、入手できるかを知っていたからこそ、自然と集荷力が付いてきた。大阪が商都としてダメになったのは、一流の商品を見極める目利きの力を失ったためだ。

2015-06-15 23:36:50
shinshinohara @ShinShinohara

日本人の品質評価の厳しさは世界中に知られている。特にアジア人には絶対の信頼を得ている。ならば、日本は品質評価に特化して国を立て直すのも一つ。 たとえば紙おむつは中国人も日本のものを好んで購入する。それは、中国の人たち自身が中国の品質チェックの甘さを思い知っているからだ。

2015-06-15 23:38:31
shinshinohara @ShinShinohara

農業を立て直すにも、この「品質評価」を軸にするのも手である。たとえば食品。食材は中国など日本以外の国で生産されていてもかまわない。しかし残留農薬のチェックや、その他品質保証は日本が行う、となれば、世界中の人が安心して食べることができるだろう。

2015-06-15 23:39:04
shinshinohara @ShinShinohara

「いったん日本で品質や安全性を評価してもらってからうちの国に持ってこい」と言われるようになれば、日本は「目利き貿易」により、再び貿易黒字を稼ぎ出すことができるだろう。

2015-06-15 23:39:25
shinshinohara @ShinShinohara

「力」とは何か。怪力無双の豪傑もかよわき女性の魅力に負ける。真の力を見極めることを怠り、見せかけの力にだけ目を奪われていたら、私たちはますます弱っていくことだろう。

2015-06-15 23:40:00