日本の農業を取り巻く環境

今後、日本はどのような環境におかれるのか。まずはその条件を列挙し、考える材料を提供する目的でまとめてみた。
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shinshinohara @ShinShinohara

アメリカは世界最大の農業国。世界で貿易される食糧のうち、トウモロコシは66%、小麦は30%に上る。世界で貿易される食糧はおよそ11億人分。世界の胃袋をアメリカが牛耳っていると言って過言ではない。 pic.twitter.com/qeZcUhSIob

2014-08-05 18:06:24
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そんな世界一の農業国・アメリカで奇妙なことが起きている。129人分もの食糧をたった一人の農家で生産する大規模農家なのに、たった4人の家族さえ養えない。奥さんに働きに出てもらい、自分も補助金をもらうことでようやくの生活。なぜ? pic.twitter.com/BDj4TiWDd9

2014-08-05 18:10:15
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かつてはアメリカも小農が多く、家族以外には12人分の食糧を作るだけだった。それでも政府からの補助金をもらう必要などなく、家族全員を養えた。規模も生産性も劇的に拡大したのに家族も養えなくなったのはなぜか? pic.twitter.com/hIGxsdPCpz

2014-08-05 18:13:17
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原因は化学肥料とトラクター(動力)だ。化学肥料と動力の登場により、トウモロコシの生産量は1エーカーあたり500キロから5トンへと10倍に伸びた。この結果トウモロコシ価格が暴落、小農が小規模生産するやり方では太刀打ちできなくなった。 pic.twitter.com/3ssd4JRTmY

2014-08-05 18:17:04
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生き残るには自らも機械化、大規模化、化学肥料の導入が不可欠。こうしてトウモロコシの乱造が始まりますます価格が下落、小農は没落した。しかし生き残った大規模農家も競争し続けて疲弊し、4人家族さえ養えない有様となった。不毛な競争だった。 pic.twitter.com/bhjJht0HSx

2014-08-05 18:20:06
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たった4人の家族さえ養えないくらいに安価な食糧を海外に輸出したらどうなるか?アフリカの貧農さえ太刀打ちできないほど安価な食糧が流れ込み、世界的に小農が成立し得なくなった。小農は没落し、雇われ農夫になるしかなかった。 pic.twitter.com/GIX2juppLK

2014-08-05 18:23:03
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貧しいながらも自分が作った食糧で暮らせていた小農はアメリカの超低価格の食糧に勝てず、農地を手放してコーヒーなどのプランテーションで雇われ農夫をするしかなくなった。農夫なのに小麦を育てられず、給料で食糧を買う羽目に陥った。 pic.twitter.com/2h1bId8AMh

2014-08-05 18:26:15
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コーヒー価格が暴落すると雇われ農夫は給料だけで食糧を十分に買えなくなる。しかし優良農地はすべてコーヒー畑になり、小麦を生産することもできない。アフリカで食糧危機が度重なった事情の一つ。アメリカの安すぎる食糧がアフリカの農業を破壊した。 pic.twitter.com/PpIaraz870

2014-08-05 18:38:00
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この構造は「セポイの反乱」にも見られる。イギリスが産業革命で作りすぎた綿製品をインドに持ち込み、インド繊維業を破壊、インド経済も壊し、弱体化、イギリスに支配される原因になった。安く売って相手国経済を破壊する行為をダンピングと呼ぶ。 pic.twitter.com/qmiZ8o7eJ2

2014-08-05 18:40:53
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安い食糧を輸出して相手国農業を破壊し、胃袋をアメリカに依存させるのがアメリカの食糧戦略。胃袋を牛耳られては、どんなミサイルなどの軍事力をもってしても歯が立たなくなる。「孫子」の時代から兵站(食糧)は兵力維持の絶対条件だ。 pic.twitter.com/Gsoa4CCVEA

2014-08-05 18:45:34
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前原氏が「たったGDP1%の農業を守るために99%の産業が犠牲になっていいのか」と発言したのは有名。しかし世界一の農業国・アメリカでさえ、農業はGDPのわずか0.9%。農産物は現代の経済構造では買い叩かれることを忘れてはならない。 pic.twitter.com/mdRxrVdHfu

2014-08-05 18:48:41
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アダム・スミス「諸国民の富」にヒントがある。水は足りないとなったら金銀財宝を積んでもコップ一杯の水がほしくなるもの。余ると値段が付かないほど。在庫が余ると暴落するのが市場経済だからだ。生命維持に必須なものは極端な価格形成をする。 pic.twitter.com/SMkL3JcuAP

2014-08-05 18:51:42
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食糧も同様。不足すると餓死しかねないから余分に確保する。余分に確保するから余ってしまい、余るということは市場経済で暴落することを意味する。結果、命に関わる基礎食糧(コメ、麦、芋など)は常に余分を確保し、価格が低迷する。儲からない。 pic.twitter.com/3hjaHNh1jz

2014-08-05 18:55:01
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これに対して、キャベツなど、なくても命に別条ない野菜などの食品は、市場経済に乗せても極端な価格形成をせずに済む。値崩れしているなら出荷せず、畑に鋤き込んで構わないし、それで飢え死にする人もいないから。食糧と食品は違う価格形成をする。 pic.twitter.com/EN8tmGGLD0

2014-08-05 18:57:48
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「日本は世界第5位の農業大国」のカラクリはここにある。生命維持に必要とは言えない野菜などで世界的な売上ができるのは、日本人が金持ちで高く買ってくれるから。もし自動車産業がコケたら誰もそんな値段で買わない。お金換算の食料自給率は虚像。 pic.twitter.com/jTdwbFyNZb

2014-08-05 19:02:09
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もし食糧の輸入自由化が進めば、日本農業のプランテーション化が進むだろう。農家のほとんどが雇われ農夫になり、野菜など市場原理で高めに売れる食品を作るようになる一方、食糧は作らなくなる。野菜などが暴落したら、農家なのに食えなくなる。 pic.twitter.com/whWbtpQ6Wn

2014-08-05 19:05:58
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しかし農家もやむを得ない事情を抱える。輸入自由化が進めばコメを作っても儲からず、子供を学校にもやれなくなる。やむなく野菜など高く売れる作物にシフトせざるを得ない。かくして、農家あれども食糧なし、の国が出来上がる。 pic.twitter.com/jwypyQ5ZI0

2014-08-05 19:08:10
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コメなど生命維持に不可欠な食糧を低価格で買い叩き、キャベツやスマホ、タブレットなど生命維持に不要な商品を高価格に吊り上げる市場経済。けしからんと思いたくなるが、話は単純ではない。人間の本性は「交換」にあるからだ。 pic.twitter.com/F4nxNaZLXO

2014-08-05 19:21:12
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稲を刈るにも鎌が要る。鎌を作るには鍛冶屋が要る。鍛冶屋は歯のもとになる鉄塊と柄にする木材が必要。それには鉄精錬や木工職人、鉱山採掘や木の切り出しが必要。農業も他の職業なしには成り立たない。分業と交換が社会を支える。 pic.twitter.com/dnwFKXp0Jg

2014-08-07 12:04:07
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「交換」は人間だけの能力。頭脳は現代人とほぼ変わらないネアンデルタール人は交換ができなかった。その証拠に打製石器の原料の産地の近くでしか石器は見つからない。しかし現世人類は黒曜石の産地から遠く離れた場所で石器が見つかる。交易の証拠。 pic.twitter.com/LtXkouc8bm

2014-08-07 12:08:59
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交換は「技術」を生んだ。たとえば鉛筆を自分一人で作れる人はこの世にいない。黒鉛を作る人、鉛筆に適した木材を切り出す人、石炭を掘る人、木こり。様々な職業の人が分業し、交換しあうことで鉛筆は出来上がる。交換が技術を生んだのだ。 pic.twitter.com/Srx2Nmf7sZ

2014-08-07 12:14:39
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農業という「技術」が発達したのも他の職業の人たちと分業し交換できたから。交換を否定したら農業の生産性は1万年前の農耕開始の時代に戻ってしまうだろう。交換が農業の生産力を押し上げ、農家の生活向上に寄与していることを無視してはならない。 pic.twitter.com/s7uTbn8zMz

2014-08-07 12:19:06
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ではなぜ農家は儲からないのか?「交換」の視点から考える。かつてスマホはアップル一社だけ。消費者がお金とスマホを「交換」できるのはアップルだけ。部品メーカーがスマホ用部品を納品できるのはアップルだけ。アップルはネットワークの結節点。 pic.twitter.com/RtyuBworaj

2014-08-07 12:24:00
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ネットワークの結節点に位置するものは、皆がその結節点を利用するしかないから独占的に利益を得る。ネットワークの末端に位置するものは選択肢がないため買い叩かれる。ネットワークの結節点に位置することが重要。 pic.twitter.com/zkCBDCo9sU

2014-08-07 12:26:53
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スマホでもライバル企業が増えると消費者は選択できるようになり、スマホメーカーは結節点として弱くなる。逆に、どのスマホにも搭載される部品のメーカーが結節点として浮上し、利益を上げられるようになる。最終製品を作るところが強いとは限らない。 pic.twitter.com/aBJmaaU49v

2014-08-07 15:22:22
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