日本の農業を取り巻く環境

今後、日本はどのような環境におかれるのか。まずはその条件を列挙し、考える材料を提供する目的でまとめてみた。
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shinshinohara @ShinShinohara

なぜ日本は貿易黒字をはじき出す力を失ったのか?それは既述のように、ネットワークの結節点になる力、「交換力」を失ったからだ。たとえば今は世界最強の自動車産業でもパラダイムシフトが起きかけている。自動車は、製品の最終形だった。これまでは。 pic.twitter.com/FKyWXan3Jv

2014-08-26 19:17:48
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しかしGoogleが開発中の自動運転システムがそれを脅かそうとしている。自動運転が普及すれば自動車は最終製品でなくなり、消費者は自動運転システムにだけお金を払うようになる。自動車産業はGoogleの下請けになってしまう。 pic.twitter.com/7YtBLhYGHc

2014-08-26 19:19:59
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自分で運転するから消費者も走行性能やデザインを重視し、自動車を購入する際もメーカーや車種にこだわった。しかし自動運転が普及し、自動車を自前で所有せず、スマホで入力するだけで目的地に行けるなら、メーカーへのこだわりは薄れる。 pic.twitter.com/HLkwRZDwsS

2014-08-26 19:24:52
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自動車は生活が豊かになったことを外部に示すステータスシンボルだった。だからメーカーや車種にもこだわった。しかし自動運転システムが普及し、システム側が自動車も調達するならば、「目的地に行ければそれでよい」にパラダイムシフトする。 pic.twitter.com/HOKsgL1f8P

2014-08-26 19:27:51
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今でこそトヨタは世界一の自動車メーカー。しかし自動運転システムが普及すれば「ゲームのルール」が変わる。自動車は自動運転システムの「部品」になりさがり、高い収益を生み出す商品ではなくなる。そうなれば、日本の産業は壊滅的だ。 pic.twitter.com/LaTG1IrM1q

2014-08-26 19:30:59
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交換力を失った国の末路は共通する。農業国になるのだ。幅広く交易し、世界経済を牛耳った古代ローマは、ゲルマン人の大移動で経済連携がズタズタに寸断されると経済支配力が衰退し、ローマは農業地域になってかつての文化を忘却した。 pic.twitter.com/GgDa90uGXf

2014-08-26 19:33:55
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地中海貿易を牛耳ったベネチアは、海洋国家としてイギリスが台頭し、貿易支配力を失うと衰退し、農業国になった。そして古代ローマもベネチアも、高い文化や医療、技術を失い、余裕のない社会へと衰退した。農業だけでは豊かさを維持できないのだ。 pic.twitter.com/7wQqqMXVlG

2014-08-26 19:36:39
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では日本はこれから、農業以外の産業がすっかり寂れ、医療制度も年金制度も崩壊した貧しい国に成り下がるのだろうか。これまでの時代なら確実にそうなっただろう。しかしそうならずにすむかもしれない「希望の芽」を指摘しておこう。ネットワークだ。 pic.twitter.com/I6dP7Iurbw

2014-08-26 19:40:58
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インターネットの登場は情報発信のコストを劇的に下げた。これまで農業は「食べるものを黙々と作る人」に終始し、文化発信の主力にはなりにくかったが、今は違う。農家が文化を代表し、意見発信し、ネットワークの結節点になることも可能だ。 pic.twitter.com/8XcKLqwPXE

2014-08-26 19:43:24
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情報が「交換力」の源泉になりつつある現在、仕事が農業だろうがサラリーマンだろうが自営業であろうが、結節点になるには基本的に関係がない。価値ある情報の扇の要となり、自らが「情報のハブ」になることが重要。 pic.twitter.com/EENHDaCujD

2014-08-26 19:46:14
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興味深い事例を紹介しよう。オランダは世界最大のカカオパウダーの輸出国だ。無論、オランダは北国でカカオは育たない。オランダは世界最大のカカオ豆輸入国なのだ。ではなぜカカオ生産国は自国でパウダーを作らず、オランダに送るのだろう? pic.twitter.com/gAHuSY0mRU

2014-08-26 19:49:28
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オランダはチョコレートを最初に発明し、カカオ豆の「目利き」にすぐれ、豆ごとに最適な加工技術でパウダーを作る。口どけのよいチョコ、堅いチョコ、顧客の要望に自在に対応する「目利き」力がある。だから世界中の企業がオランダから購入する。 pic.twitter.com/LSZ5h8dPF3

2014-08-26 19:52:43
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カカオ豆の「目利き」力、パウダー化する加工技術。これを牛耳るがゆえに、カカオ生産国はオランダの「下請け」に甘んじざるを得ない。カカオ貿易の「結節点」にオランダは位置するが故に、カカオ豆生産国もチョコのメーカーもオランダに依存する。 pic.twitter.com/2jDjJPzo4m

2014-08-26 19:55:35
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オランダはチューリップで有名なように、世界最大の花輸出国であるが、同時にEU最大の花輸入国でもある。ケニアは生産した花の69%をオランダに輸出している。花の「目利き」力がオランダに花を集め、高値で売ることを可能にしているからだ。 pic.twitter.com/C5RSbrYQfD

2014-08-26 19:59:14
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ユダヤ人がダイヤモンド市場を牛耳っているのも「目利き」による。優れた品質のダイヤモンドとはこういうものだ、という評価基準を牛耳ることで、その評価を経ていないダイヤモンドは市場で買いたたかれてしまうのだ。 pic.twitter.com/lrBv5QlKo8

2014-08-26 20:01:35
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日本にも「目利き」力の事例がある。江戸時代の堂島米市場がそう。日本中の米が大阪に集積し、そこで値決めされた。大阪で評価を受けなければ買いたたかれるし、独自に販路を開拓するのはコストがかかるので、各藩は大阪に送るしかなかった。 pic.twitter.com/cbvk1qRSNd

2014-08-26 20:05:20
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下関のフグもそう。愛知県などフグがとれる産地はいくらでもあるのに、下関に集めた方が高く売れる。下関のフグの「目利き」力と販売力、保存・輸送能力が、全国のフグを下関に集積させている。 pic.twitter.com/gZMp1Jxjad

2014-08-26 20:10:01
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「目利き」の力は、生産者にとっては販売の手間を省き、小売店にとっては商品を探す手間を省かせる。「目利き」はその労力を担うことで結節点となり、収益を上げるのだ。Googleもある意味、検索機能で「目利き」化することで収益を上げる企業。 pic.twitter.com/ihy19urmta

2014-08-26 20:13:21
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