対談形式やイラストが、わかりやすい本当の理由ではない:田崎さんの『いちから聞きたい放射線のほんとう』評
「科学者と音楽家の対談形式だ」とか「イラストがあって親しみやすい」といった要素は、菊池+小峰本がわかりやすい本当の理由ではない。あの本がわかりやすいのは、著者らが読者の知識のレベルをしっかり設定し、その人たちに何をどこまでどう伝えるか時間をかけて徹底的に吟味・工夫したからなのだ。
2015-06-25 15:49:31「放射線のことを知らない小峰さんに菊池さんが説明したプロセスをそのまま本に」というのが「公式」の売り文句かもしれないけれど、そんな説明をそのまま出されても長くて無駄が多くて読めたものではない。軽いノリで書いているように見えるけれど、内容だけでなく構成にも細かく気が配られている。
2015-06-25 15:52:22裏を返せば、いわゆる「難しい本」の多くは、単に内容が高度という以上に、「想定読者の知識レベルの設定とそれに対応するための熟考」というプロセスをすっ飛ばしていることが多いように感じる。 放射線の話だけでなく科学系の解説には多い。これは教育の問題としてかなり深刻なことだと考えている。
2015-06-25 15:57:17一般に、「無知だった人がある分野を学んで知識を獲得したプロセスをそのまま書けばわかりやすい本ができる」というのも(よくみられる)誤解だと思う。普通はそんなプロセスは読むにたえない混沌だろうし、たとえ読めたとしても狭く一面的な理解にしかつながらないだろう。
2015-06-25 16:06:01@Hal_Tasaki ありがとうございます! 元がチャットなのは本当なのですけど、そこからの編集には気を配って、時間もかなりかけました。それでも、見落としとか舌足らずなところが後から見つかるのですけど
2015-06-25 15:58:00@kikumaco 元のチャットは異常な分量だったはずなので、それを精選して読めるものにするのはさぞや大変だったろうと思います。ぼくの同テーマの本の場合は、かなりの時間とエネルギーをかけて本に書くべきことをすべて決めてから一気に書きあげたので、まさに正反対のやり方だなあと。
2015-06-25 16:01:58