アルドノアゼロ・再視聴感想まとめ

インクエッジ @02Curry

「理屈」を際限なく強化するもうひとりの伊奈帆＝義眼型ロボット・アナリティカルエンジンを搭載してからというもの、伊奈帆はすこぶる感情的に積極的になっていく。自分で自分を「ハイ」にするドラッグ。理屈が後押しするから感情が肯定される。「左目がそう言ってる」からいいんだ、と暴走しだす。

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「どうみても伊奈帆」なのに何の事前知識もないのに、即座に「伊奈帆ではない者だ」と認識できるのは「さすがアセイラム」だが、所詮は機械であるアナリティカルエンジン相手に「お伝えください」と謙譲で語り掛けるのも「さすがアセイラム」。デリカシーがあるのかないのか微妙さ加減のロボットだから

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アルドノアゼロも、人物の内心はそれが重要になればなる程説明しなくなる、わかりにくくなる、外部の観測によって考察する作業が促される…というタイプのひとつだから、その測定結果は「これが正解で、これが間違いです」とハッキリ証明できるものじゃないからだ。

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アルドノア、時間軸上の反復演出では「あのときはこうだったが、こんどはこう」型が多いわな。ああするとたとえば「同一の運命的空間に置かれる」コトで「こんどは違う」が浮かび上がる。「流れ星の願い」の芝居の反復では同じコトを繰り返すからこそ、その間に流れた過酷な時間の重みが浮かぶ。

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対してヴァルヴレイヴは徹底的に「あのときこうだったから今度”も”こう」の繰り返し。「今度こそ」が存在しない残酷な世界。何度やっても同じ、どれだけ努力しても結局同じ。「変えた」ように思っても俯瞰すればワルツのうえの「次の１拍子」を打っているだけ、繰り返しの流れのひとコマに過ぎない。

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ヴァルヴレイヴが神社の祠に比喩され「願いを叶える」装置として何度も用いられるのはそりゃそれが「ロボット」だからで、その挙句には比喩でなくホンモノの挙式までやってしまう。最終回エピローグの「ヴァルヴレイヴ前結婚式」はヴァルヴレイヴが「畏れ」の対象たるロボットだから成立するもの。

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ハーシェルの外部端末「バレット」を撃破したユキの戦術は、伊奈帆がマリネロス海戦にてディオスクリアの外部端末「拳族」の撃破を試みたときのもの。飛翔体にアンカーを撃ち込み自機を曳航させ真後ろから狙撃する。いつもながらの「反復」を、ついにこうやって「データ参照」として自覚的にやらせる。

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「銃を相手に寄越して振りかぶる」ここに顕著。対ディオスクリア戦と対タルシス戦で同じ所作をやっているのに、でもその「意味」がまるきり違う。「違う」のは伊奈帆のメンタリティだ。ザーツバルムを相手にする感情とスレイン相手の感情が極端に違うからこそ「結果的に同じ」になる…というのが巧い。

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ノヴォスタリク戦時の伊奈帆は憎悪に塗れるあまりこんなことをする。月面決戦時の伊奈帆はスレインに対しまったくの無感情に「任務」遂行に邁進するからこうなる。かつての伊奈帆は構えてた銃を降ろし、無造作にザーツバルムに投げつけて「お前は”弱い”からハンデをやるぞ、受け取れよ」と煽ってる。

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表層にせいぜい熱い最終決戦のノリを盛り付けつつやってるコトはただの繰り返し。伊奈帆はワイヤーを相手に掛けてインファイトに持ち込み、頭を殴り潰されながら右腕でカウンターのボディブロー。モロに喰らった「ザーツバルム伯爵」は吐血してダウン。 pic.twitter.com/BQtTYBtSdh

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伊奈帆はすかさず残ったスレイプニールの左腕で「任務」完遂の一手を打つ。しかしタルシスともつれあいもんどり打ってダブルノックアウト…画面は暗転。機体を降りたザーツバルムは自分に銃を向けた少年に殺されることを望み「ここを撃て」と額を示す。 pic.twitter.com/Ky26hFR2Jl

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こう言葉にすると両方とも「完全に同じ」になるのは、今やスレインがザーツバルム伯爵でもあるからだわなｗ暗転するタイミングまで同じに揃えてるのが徹底的だが、ここから先が反復演出としてさらに巧い。映像作品中の展開順序として「一旦ここで場面が終わる」ことすらも同じに揃えてるのよ。

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「志半ばで死ぬか、アセイラム姫と共に生きるか。ご決断を」 「ダメだ。君は生きるんだ。僕じゃない。アセイラム姫の意志だ」 これが双方のオチ。前回はクリフハンガーの種明かしのていで翌13話に、今回は「時系列上の後日」として分断させてる。 pic.twitter.com/IOKiSMNrp0

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…この分割された結末部分のあまりの「落差」よ。かつてザーツバルムに「生か死か」を選択させたスレイン、今回「敗者の側」にまわったスレインには、うってかわってその権利はいっさい与えられない。「志半ばで折られ」「アセイラムとも離れ」「ただ生き続ける」全損ルートが一方的に強制される。

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アルドノア・ゼロのこれぞSFたる白眉はアルドノア。といってもアルドノア自体はテキトーな「超科学」でしかないもので、ひとえに「起動権」に要諦がある。たかがセキュリティシステムなのにこれがすべてを振り回す。もちろん「普遍的な物語」性のカケラもない。物語そのものが壮大な思考実験場。

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果てしなく揶揄され続ける火星帝国は「ハダになじむ宇宙帝国」像を踏襲しない。なぜならそれは本作特有のアルドノア起動権たったひとつが生み出した「かつてない」人間社会だからだ。「愚か者」ひとりがとつぜん帝国を興し君臨し続け本国にたいし独立し続けられる大トリックのタネがアルドノア起動権。

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それでアナリティカルエンジン、この義眼型ロボがなればあのふたりの絶妙の関係を創ることはできない。「相手の姿をしてても別人」を互いに見抜きあうふたりの関係、主人公の側はそれをロボットによって拡張された身体によって果たす。ロボットの精神性につうじる「自分の一部」という言葉で評される。

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誰かか何かでなく第2.5者による仲介でお互いの心中を確かめ合えたから、ふたりの関係は決着できる。 あのクライマックスの流れ、スレインとの決戦より前に伊奈帆はぶっちゃけ対自分・対スレイン・対クランカインのアセイラムの心情をアナリティカルエンジンによって「分析」できてるんだよな。

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アセイラムの「救うということの傲慢さ」と伊奈帆の「憎まないということの残酷さ」。これがスレインに同時にぶつけられるんだから、そりゃたまったもんではない。…どうか救わないでいてくれ、せめて憎んでくれ。心から憎まれ「死ね」と罵られる方が彼にとってどれだけ「楽」なことか。

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ファンタジックな奇跡が起こる展開のことなのか比喩表現のことなのかちょっと判断つかないんだが、「セックスの比喩」の方ならアルドノアでも早期にやっている。 pic.twitter.com/rJhl0klOYu

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スレインの方はさらに「男から女への体液の受け渡し」までこってりと准えるが、アセイラムが受け取った水を全て即座に吐き出してみせる「オチ」をつけ、このふたりに男女の仲が成立してないことをアピールする。伊奈帆の方も今にして思えば、手を取る寸前で「終わる」からライエを抱いてはないんだな。

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かねてから唱えていたアルドノア・ゼロ＝POP♡CHASER説ですが、二期は伊奈帆がリオ役になってやっぱりPOP♡CHASERだった。クライマックス後のあそこでアセイラムによる結婚宣言が必要だし「その後のスレイン戦は伊奈帆にとってはクライマックスじゃない」という点がポイントですね。

さき @saki0711

A/Z1話ラストシーン 左が虚淵さんの脚本 右が監督の絵コンテ pic.twitter.com/ApFfSCb1W6

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ワイヤーアンカー、タンク＆リール、左右の腿に長箱をブラ下げるシルエット…地球カタフラクトが「立体起動装置」をやってるコトは以前にも触れたが、最終回でそれに完全な確信を得た。使い捨てブレード二刀流までソックリ同じに叩き込んできやがったｗ pic.twitter.com/0BcBRPpSdv

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インクエッジ @02Curry

これだ。かつて「万華鏡」をオマージュした「サイボーグ009」の当該部分と、願い事の台詞の一字一句までもをぴったり同じになるように整えてんだ。 atsites.jp/yoshitoharada/… atsites.jp/yoshitoharada/…