- yumekurage0965
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グロテスクな色をした雲が空を流れる。空が次第に彩度を失っていく中で地上からまたグロテスクな色をしたビームが雲を突き刺す。ネオサイタマに夜が来た。しかしこの街の夜は、闇と静寂とは無縁だ。さながらエンシェントスクロールに記されたフェアリーパレードにように踊り跳ね、また人を喰らう。1
2015-06-28 00:30:07『ピューン!ゲームオーバードスエ』「クソゲー!!ペッ!」 ヨシチはゲーム筐体を蹴り飛ばした。そして噛んでいたガムを吐きかけた。実際マナー違反行為だが、こんな程度ネオサイタマのゲームセンターではチャメシ・インシデント。ゲーム筐体を壊さないだけヨシチは行儀の良い方とも言えた。2
2015-06-28 00:32:03「いい気味だぜクソゲーめ。」 『クソプレイヤー ドスエ』 「ア?」 カチャガチャガシンガキン・・・・ ヨシチが最後に見たのは人型ロボットへ変貌するゲーム筐体とそのロボットが構えるZAPガンの冷たい銃口だった。3
2015-06-28 00:34:07『マトニ アテルト ポイント重点!』 ZAP!ZAP!ZAP!ZAP! 「アイエエエエ!?」「アバー!!」 ゲームセンターは一瞬のうちにまさしくアビ・インフェルノ! ロボットのZAPガン暴虐によりツキジめいたネギトロ惨状!4
2015-06-28 00:35:33『チイサイ マトハ ポイント倍点!!』 ロボットは更なる高得点を目指しゲームセンターの外へ繰り出した! そこへネオサイタマシティポリスが到着! 「警察だ!」「手をあげなさい!」「やめないか!」5
2015-06-28 00:36:28ZAP!ZAP!ZAP! 「アバー!」「やめないか!」「アイエエエ!」 ネオサイタマシティポリス無残!爆発蒸発! 何たるマッポー! もはやこの惨劇を止めるものは居ないのか!? その時!6
2015-06-28 00:37:11BAUM!BAUM!疾走するスーパーカーの上に直立しロボットを銃撃する一人の男が現れたのだ! 『ピガッ!ハヤイ マトモ ポイント倍点!』 危うし!ZAPガンは掠っただけでも人間を蒸発させるオーバーキル兵器だ!だが考えて欲しい。スーパーカーの上にただの人間が直立できるだろうか?7
2015-06-28 00:39:48ZAPZAPZAP!! 「イヤーッ!」 な、なんたることか! 謎の男はスポーツカーの上でZAP弾を上半身の動きだけで交わしてみせたのだ! 一体この男は!?8
2015-06-28 00:40:21「何度目だ、カンフューリー!お前は街を守るのか破壊するのかどっちが仕事だ!」 怒鳴りつけてくる課長。いつものことだ。彼には目の前の請求書しか見えていないのだ。12
2015-06-28 00:48:09「お前はいつもそうだ!被害を抑えるという発想がない!爆発は大きいほうがいいんだろ!答えろ!」 煩いBGMを聞きながらカン・フューリーはある夜のことを思い出していた。13
2015-06-28 00:48:38カン・フューリーこと俺は若い警官だった。今から3ヶ月も前のことだから、青二才だ。 若気の至りからか追うなと言われた犯人を深追いした。所謂『N案件』。マッポの禁忌。14
2015-06-28 00:49:58だが俺はその犯人を路地に追い詰め、手錠をかけることに成功した。 「やったな!お手柄だぞ、ニシテミ=サン。」 そう、俺はこの頃ニシテミトヨミチと呼ばれる一介の警官だった。15
2015-06-28 00:51:33そしてかけがえのない相棒が居た。 「貴方のおかげです、ヨギハラ=サン。俺は貴方のことを・・・まるで父お・・」 SLASHH!!16
2015-06-28 00:52:13俺が辛うじて見えたのは銀色の光、赤い飛沫。 チーズのように真っ二つに裂けて地面に落ちる相棒だった。 犯人は・・・いや、その装束、カタナ、メンポ。 つまりニンジャ。 そのニンジャは相棒の血を見せつけるようにカタナをねかせ、残虐な目で俺を見た。17
2015-06-28 00:53:57「AGHAAAAAAA!!!」 俺はその時ニンジャを恐れることも忘れ相棒の死に怒り拳銃を乱射した。 だがニンジャは鼻で笑い銃弾を軽々と避け、俺もチーズのように両断しようと・・・ その時だった18
2015-06-28 00:56:08KABOOOOOOOOMM!! 突然の落雷! あろうことかそれはニシテミトヨミチに落ちた!何たる不運!むしろ残虐なるニンジャの手にかからぬ幸運と呼ぶべきなのか! 残虐なるニンジャ、チーズカットは雷に打たれた哀れなモータルを見下ろし一笑に伏した。19
2015-06-28 00:59:13「・・ア・・・ツ・・・」 チーズカットの思考は今日もシンプルだ。 しぶといモータルには、どうやらまだ息がある。 ならばやることは一つ。チーズのようにカットだ。 「・・・ツ・・・よ・・・」20
2015-06-28 00:59:40カタナを翻し、うわ言を垂れる半BBQモータルをキャンプ・カットだ! 「イヤーッ!」 いままさにキャンプ・カットされキッズ達の取り分け皿に盛りやすいサイズにされる寸前! ニシテミの意識は太古のドージョーの只中へあった。21
2015-06-28 01:02:08「「「ハッ!セイヤッ!イヤーッ!」」」 そのドージョーの庭ではニュービーたちがカラテのトレーンングを一糸乱れず行っている。 意識は玄関をくぐりドージョーの中へと、木人トレーニング部屋や針バーベルの部屋を抜ける。22
2015-06-28 01:05:33そしてドージョーの最奥、香の煙に満たされた秘密の部屋。 その部屋に座すシンピテキなる存在がショドーし言葉を放った。23
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